〔15.3.3.日経新聞:グローバルBiz面〕
世界最大の携帯電話見本市「モバイル・ワールド・コングレス(MWC)2015」が2日、スペイン・バルセロナで開幕した。スマートフォン(スマホ)首位の韓国サムスン電子と台湾の宏達国際電子(HTC)が高級感を特徴とする最上位機種を発表した。市場では米アップルと新興国メーカーによる挟み撃ちの様相が強まっている。新機種で劣勢挽回を目指すが、成熟市場で勝ち残るのは容易でない。
「当社史上最も美しいスマホを目指して開発を進め、最良の製品を作り上げることができた」。開幕に先立つ1日に開いた発表会で、サムスンの申宗均(シン・チョンギュン)社長は強調した。サムスンは5.1型の有機ELパネルを搭載した「ギャラクシーS6」、湾曲したパネルが両端まで覆う「同S6エッジ」を4月10日から日本を含む世界各国で順次発売する。
HTCも2000万画素の背面カメラを搭載し、フルハイビジョン(HD)より精細な4Kの動画を撮影できる「HTC One M9」を米国などで発売する。ソニーモバイルコミュニケーションズは2日、1300万画素のカメラや防水機能を備えながら価格を299ユーロ(約4万円)に抑えた製品を欧州などで売ると発表した。
サムスンは従来、作りやすさを優先しスマホの最上位機種の本体にプラスチックを使ってきたが、アルミニウムとガラスに変更。HTCはアルミニウム製の本体を金と銀の2色に加工した。両社とも高級感を打ち出し、上位機種市場で先行するアップルを追う構え。
スマホ市場はフィンランドの通信機器大手のノキアやカナダのブラックベリーが開拓し、アジアの生産力を武器にサムスンなど「第2世代」の企業が一気に拡大した。ただここへきて変調の兆しも見える。米IDCによると、14年の世界出荷台数は12億8800万台に拡大。成長が続くが前年比増加率は26%と過去5年間で最低だ。
先進国で普及が一巡する一方、競争の主戦場は新興国に移りつつある。中国の14年の出荷台数は前年比20%増の4億2070万台に増加。「iPhone(アイフォーン)6」で高級イメージを維持するアップルと、小米(シャオミ)や華為技術(ファーウェイ)など地元メーカーが大きなシェアを握り、第2世代の存在感は薄い。インドでもマイクロマックスなど地元勢の追い上げが激しい。
「スマホは生活に密着した商品で、重要さは変わらない」。ソニーの平井一夫社長は2日の説明会で強調したが、一方で「厳しい市場環境が続く」との見通しを示した。
各社はコスト削減などの対策を急ぐが、アップルと新興勢による挟み撃ちという流れは強まりつつある。「スマホ市場は成熟しており、違いを出すのが難しくなっている」(MM総研の横田英明取締役)との見方も多く、現在のビジネスモデルに固執するだけでは市場の流れを変える一手が見つけにくい状況だ。
バルセロナ=奥平和行、小川義也
世界最大の携帯電話見本市「モバイル・ワールド・コングレス(MWC)2015」が2日、スペイン・バルセロナで開幕した。スマートフォン(スマホ)首位の韓国サムスン電子と台湾の宏達国際電子(HTC)が高級感を特徴とする最上位機種を発表した。市場では米アップルと新興国メーカーによる挟み撃ちの様相が強まっている。新機種で劣勢挽回を目指すが、成熟市場で勝ち残るのは容易でない。
「当社史上最も美しいスマホを目指して開発を進め、最良の製品を作り上げることができた」。開幕に先立つ1日に開いた発表会で、サムスンの申宗均(シン・チョンギュン)社長は強調した。サムスンは5.1型の有機ELパネルを搭載した「ギャラクシーS6」、湾曲したパネルが両端まで覆う「同S6エッジ」を4月10日から日本を含む世界各国で順次発売する。
HTCも2000万画素の背面カメラを搭載し、フルハイビジョン(HD)より精細な4Kの動画を撮影できる「HTC One M9」を米国などで発売する。ソニーモバイルコミュニケーションズは2日、1300万画素のカメラや防水機能を備えながら価格を299ユーロ(約4万円)に抑えた製品を欧州などで売ると発表した。
サムスンは従来、作りやすさを優先しスマホの最上位機種の本体にプラスチックを使ってきたが、アルミニウムとガラスに変更。HTCはアルミニウム製の本体を金と銀の2色に加工した。両社とも高級感を打ち出し、上位機種市場で先行するアップルを追う構え。
スマホ市場はフィンランドの通信機器大手のノキアやカナダのブラックベリーが開拓し、アジアの生産力を武器にサムスンなど「第2世代」の企業が一気に拡大した。ただここへきて変調の兆しも見える。米IDCによると、14年の世界出荷台数は12億8800万台に拡大。成長が続くが前年比増加率は26%と過去5年間で最低だ。
先進国で普及が一巡する一方、競争の主戦場は新興国に移りつつある。中国の14年の出荷台数は前年比20%増の4億2070万台に増加。「iPhone(アイフォーン)6」で高級イメージを維持するアップルと、小米(シャオミ)や華為技術(ファーウェイ)など地元メーカーが大きなシェアを握り、第2世代の存在感は薄い。インドでもマイクロマックスなど地元勢の追い上げが激しい。
「スマホは生活に密着した商品で、重要さは変わらない」。ソニーの平井一夫社長は2日の説明会で強調したが、一方で「厳しい市場環境が続く」との見通しを示した。
各社はコスト削減などの対策を急ぐが、アップルと新興勢による挟み撃ちという流れは強まりつつある。「スマホ市場は成熟しており、違いを出すのが難しくなっている」(MM総研の横田英明取締役)との見方も多く、現在のビジネスモデルに固執するだけでは市場の流れを変える一手が見つけにくい状況だ。
バルセロナ=奥平和行、小川義也