日本株と投資信託のお役立ちノート

株や投信の運用に役立つ記事を探します。
(主に日経,ロイター,WSJから引用。賞味期限の短い記事は今後省きます)

戦略2015(2)1925 大和ハウス工業会長 樋口武男氏 需要減続く住宅市場、活路は? 「ゼロエネ」へ建替提案

2014年12月21日 | 3.建設業
〔14.12.21.日経新聞:企業面〕

 国内の住宅着工はバブル崩壊後で最も多かった1996年(164万戸)の半分程度に落ち込んでいる。消費増税の影響が残るだけでなく、少子高齢化で構造的に需要減が続く中でどこに活路を見いだすのか。大和ハウス工業の樋口武男会長に聞いた。

 ――国内の住宅市場をどう見通していますか。

 「2015年1月から相続税の適用が拡大され、土地所有者による賃貸住宅の建設が増える。消費税率の10%への引き上げは17年4月に延期されることになった。増税前の駆け込み需要が出てくるのは15年度の下期からだろう。それでも15年の着工件数は14年並みにとどまる可能性がある」

 「住宅産業は建設資材だけでなく、家電など幅広い産業に関係する。1997年に消費税率が5%に引き上げられたときは約30万戸減った。20万戸減少すると国内総生産(GDP)は10兆円、税収は1兆7千億~1兆8千億円程度が失われるとの試算もある。政府が景気を最重点とするなら政策の後押しが必要だ。祖父母が子供や孫の住宅づくりを支援できる生前贈与の非課税制度は14年末に終了するが、枠(現在は500万円)を3千万円に引き上げて続ければ効果は大きい」

 ――メーカーとしてどう需要を掘り起こしますか。

 「太陽電池と燃料電池を組み合わせてエネルギーの自給自足を実現する『ゼロエネルギー住宅』への建て替えを提案する。団地開発のノウハウを生かして環境配慮型都市(スマートシティー)の開発も進めたい」

 「耐震性に優れた高価格帯の戸建て住宅は好調だが、全体の販売数からみれば少ない。高気密、高断熱で快適に暮らせる住宅を求めるのが時代の趨勢だ。新商品で業界のパイオニアの役割を果たしていく」

 ――新築のみがターゲットですか。

 「中古住宅の売買仲介にも力を入れていく。当社が売った住宅のリフォームの記録をきちんと残しておいて、住み替えを考える人が中古住宅を安心して買える仕組みを普及させる」

 ――それでも国内市場は長期的な成長は見込めません。

 「米国では16年までに1600億円を投じて賃貸住宅を開発する。中国は景気減速が気がかりだが、大連で開発中の富裕層向け分譲マンション(総戸数2千戸以上)は値引き効果で契約が増えてきた」

 「インドでの事業展開も検討している。海外の売上高は1千億円足らずだが、(将来は)国内を上回る規模にしたい。海外企業のM&A(合併・買収)も進めるつもりだ」

樋口武男会長
 1961年(昭36年)関西学院大法卒、鉄鋼商社を経て63年大和ハウス工業入社。93年大和団地社長、2001年大和ハウス工業社長、04年から現職。住宅生産団体連合会会長。76歳。

聞き手から一言
  国内の住宅着工は少子高齢化の影響で10年後には60万戸程度まで減るとの見方もある。消費税率が2017年4月に10%に引き上げられ、業界が要望する軽減税率の導入も見送られれば住宅市場の縮小に拍車がかかり、業界には大きな打撃となる。

 大和ハウスは商業、物流施設など事業の多角化を成功させ収益基盤は強固だが、戸建て住宅では積水ハウスの後じんを拝する。豊富な資金力や技術力を生かして世界で戦える商品を開発し、海外事業を拡大できるか。その成否が15年に創業60年を迎える同社の今後を左右する。



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