くまえもんのネタ帳2

放置してたのをこちらに引っ越ししてみました。

palm to palm

2008-02-15 13:42:22 | ノンジャンル
その昔、「ロミオとジュリエット」と言う映画の中での台詞に、
「palm to palm」と言うのがあって、その響きの美しさに妙に感心したのを憶えている。
palm」 と言うのは、もちろんヤシのことだけれど、この台詞の場合は「手のひら」のことを指しているんですよね。
「palm to palm 」は「手と手をかさねる」と言うような意味なんですねぇ。



思い出したついでにちょっと検索してみましょう。
あった!
ちょっとここから抜粋ね。

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ROMEO.
If I profane with my unworthiest hand
This holy shrine, the gentle sin is this:
My lips, two blushing pilgrims, ready stand
To smooth that rough touch with a tender kiss.

JULIET.
Good pilgrim, you do wrong your hand too much,
Which mannerly devotion shows in this;
For saints have hands that pilgrims' hands do touch,
And palm to palm is holy palmers' kiss.

ロミオ:
もしわたしの賤しい手が聖なるお堂を汚したのを罪というでしたら、私のくちびるは、顔をあからめた巡礼として、手が行なった粗野なふるまいをやさしい口づけでつぐなおうと待ちかまえています。

ジュリエット:
巡礼さん、それはあなたの手に対してあまりにひどい扱い。作法を守って敬虔な心を示してます。というのも聖者の手は巡礼がふれるためのもの、手のひらと手のひらを合わせるのが聖なる巡礼の口づけですから。
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ところで、ジュリエットの台詞の方では韻を踏むためにpilgrim(巡礼者)がpalmerになってるけど、
巡礼者とヤシの木の関係って何って思ってもうちょっと探したらこんなのが出てきた。

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「巡礼はエルサレムに巡礼した記念に
棕櫚 palmの葉や枝を持ち帰ったため、
palmerとよばれた。
これを掌のpalmにかけて、
ジュリエットは言葉遊びをしている。」
河合祥一郎
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ってことは、シュロって、神聖な樹だってことなんかしらん?
で、さらに調べてみるとここにこんな記述が。
またまた抜粋

英語で棕櫚はpalm。
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語源は、ラテン語のpalma(手の平)つまり、葉の形が手の平と似ていることに由来します。他にpalmの意味としては、勝利の象徴としてのシュロの葉、栄誉、勝利、成功などの意味があります。古代オリンピック競技においても、優勝者には一枝のシュロが授与されたので、この木は勝利の栄冠の意味にも用いられるようになりました。また、棕櫚は10月5日の誕生花であり、花言葉も「勝利」とされています。

棕櫚 の木は古代から聖なる木として崇められており、「棕櫚の日曜日」=復活祭直前の日曜日(英語でPalm Sunday)も、イエス・キリストがローマ軍に捕らえられて処刑のためエルサレムに足を踏み入れた際に、人々は無実にもかかわらず無抵抗で死んでいこうとしているイエス・キリストこそ本当の勝利者であると歓喜して棕櫚の枝をイエス・キリストが連行されていく道に投げたことからきているとされています。
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ふぅ~ん、そうなんだ。
何だかもっと色々調べたくなって来ちゃうけど、べつに映画の話しをするつもりではないので、この辺で。
A(^_^;



いえね、先日都内のちょっとした里山でササ刈りなんかをしたんですが、ついでに増えすぎてるシュロを伐採したんですよ。
シュロの実はヒヨドリが好きでねぇ。
近所の人家の庭に植えられてるのが、どんどん里山の中に入り込んで来ちゃうんですよ。



シュロは間氷期の化石なんかを調べると、関東よりも北に分布してた時期もあったってな事がわかるんですが、現在はというと、関東地方のはみんな人家からのエスケープなんですね。


そんなこんなで、念のため原産について調べると、
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九州南部が原産とも中国から渡来したともいわれていますが、関東地方以西の暖地の山野にまで野生化しています。日本に産するヤシ科では最も耐寒性が強く、庭園などでの栽培は、東北地方にまでおよんでいます。
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なんて調子で、今ひとつハッキリしない。



いずれにしても、林内にはすでにかなり沢山のシュロが入り込んでいて、このまま放置すると目黒自然教育園の白金の森みたいにバランスが崩れて、林床にシュロとアオキ、ヨウシュヤマゴボウばっかりなんて事に成りかねない。
白金の森は、遷移にまかせているので林の中が暗くなるにつれて林床の植物種が減少し、鳥たちの食料が偏ってしまっている。で、つい、シュロやアオキ、ヨウシュヤマゴボウばっかり食べるもんだから、どんどん種がばらまかれて、その他の植物が追いやられてしまっているのだ。
それは、小さな島での生態的バランスの変化とよく似た道筋ではある。


とは言え、ガラパゴス諸島みたいに、独自の進化を遂げるほど十分な大きさと生態的安定を保てるほどの多様性も持ち合わせない林の断片では、そんなバランスの不均衡は避けなければならない。
創始者原理なんて言ってるどころではなくて、小さく分断された林では多くの種は絶滅の方に傾いてしまうケースの方が普通だからね。


ってなわけで、散策路近くのシュロは伐採してるんだけど、これがまぁ、一筋縄ではいかないんだなぁ。
こんな風に地際から切り倒しても、また再生してくるんだよね。
切り口をよく見て欲しい。
三角形の葉柄が並んでるよね。
つまり、葉っぱの部分を切っただけで、成長点のある茎の先端はまだ残されてるって訳。


人の背丈を超えるほどのシュロを根元から切り倒しても、しばらくするとまたこんな風に芽を出してくるのだよ。


じゃぁって言うんで、もっと根本の方から切り戻してみてもらった。


鬼の首を取ったつもり、なんてね。
でも、切り口の方をよく見ると、どうやらまだ成長点より上のところを切っただけのようだ。


念のためばらしてみると、ホラやっぱり!
シュロ皮の中からはバラバラになった葉柄が出てきただけ。
もし成長点まで切り取れていれば、葉柄が束になってくっついているところが出てくるはずなんだよね。

ってことは、もっと地下深くに成長点部分があるって事だよね。
つまり地際から葉っぱが出ているシュロを伐採したかったら、根元から切るんじゃなくて、クワで掘り起こした方が確実って事ですね。
A(ToT;


さて、こっちはべつのケース。
地際よりだいぶ上の方で葉を拡げていたシュロの切り株です。
さっきのと比べてみると、切り口の違いがわかりますよね。
葉柄の三角形が見あたらないでしょ?
この状態で、やっと成長点より下の茎を切ったことになるんです。
シュロの仲間は、いったん成長点を切り取ってしまえば、もう再生できません。


念のためもう1株見てみましょうか。
これはちょっと古い切り株。
だいたい足ぐらいの太さの幹で、地上部で葉っぱが放射状に出ているところより下を切れば、こんな風に再生を防ぐことが出来るんですね。


ことシュロ(palm)に関しては、こういう知識や試行錯誤を手と手をあわせて(palm to palm)伝えていかないと、いくら一生懸命やってもなかなか成功(palm)に繋がらないんですよねぇ。
ふぅ。