第1 設問1について
1 罪名について
(1) 本件捜索差押許可状(以下「本件許可状」という。)は、覚せい剤取締法違反との記載があるが、何条が適用されるかまでの記載は不要か。
(2) 刑訴法219条1項において、「罪名」との記載を要求したのは、憲法35条1項が「正当な理由」に基づかなければならないものとの規定から要求されている。
そして、捜索差押は捜査の初期段階でなされ、流動的に変化するものであり、法の何条まで要求せずとも、何の法に違反したかまで判明できれば「正当な理由」に当たると考える。
(3) 本件においては、覚せい剤取締法違反と、何の法に違反したかが記載されており、何条まで記載していなくても219条1項に反せず適法である。
2 差し押さえるべき物の記載について
(1) 刑訴法219条項は「差し押さえるべき物」を要求しているが、本件許可状には、その他本件に関係ありと思料される一切の文書及び物件とあり、これを満たすか。
(2) 同条項は、一般令状を禁止したものであると考えられ、これは、被処分者の受忍限度の範囲を明らかにし不服申し立ての機会を確保させること(430条2項)、処分者の権限範囲を確定させることをその趣旨としている。また、前述のように捜索差押は捜査の初期の段階になされるため、厳格に求めることは、捜査の確実性、迅速性を害し、糾問的捜査のおそれがあることから、すべきではないと考える。
とすると、罪名や他の例示物件と相まって差し押さえるべき物と特定できるのであれば、一般令状にはならず、適法と考える。
(3) 本件において検討すると、罪名は覚せい剤取締法違反の罪であり、例示として金銭出納簿、預金通帳、メモなどが記載され、これらの類似物件として差し押さえるべき物が特定されるといえる。
(4) よって、本件許可状の記載は適法である。
第2 設問2について
1 本件メモの差押えは本件許可状記載の「メモ」に当たるが、本件被疑事実は平成23年7月1日に乙に対して覚せい剤10グラムを30万円で譲渡したという事実であるが、メモには、平成23年6月30日、丙から覚せい剤100グラムを250万円で購入したという事実が記載されている。これは被疑事実と異なるが、本件許可状の効力が及び認められるか。
2 許可状は、例示物件から著しく外れた物を許可するものではない。しかし、著しく外れていない物については裁判所は司法審査をして認めているというべきである。そして、この著しく外れた物件に対する許可状の範囲が及ぶかどうかは、許可状記載の差し押さえるべき物との関連性、必要性を考慮して判断すべきであると考える。
3 本件許可状に記載されている覚せい剤取締法違反における法41条の2第1項には所持と譲渡、譲受をした者も含まれている。
また、本件令状請求の被疑事実は譲渡であり、本件メモは譲受けであり記載内容が異なるが、覚せい剤を譲受け、これを譲渡したものと考えられる。
さらに、被疑事実に関する内容を捜査するために甲が覚せい剤を譲り受けたルートを特定して、事実を明らかにして甲を起訴すべきであることから、被疑事実とは異なっていてもその関連性と必要性は認められるといえる。
4 よって、本件メモについては、被疑事実との関連性、必要性が認められ差押えをすることができる。
以上
自己評価 B
評価 A
感想
設問1についてはまあまあ書けたが、令状主義というキーワードは出していない。
設問2については書きたいことが分かりにくくなっている。強引過ぎる書き方かもと思った。
関連性と必要性を書けばよいだろうという考慮しか働かなかった。
1 罪名について
(1) 本件捜索差押許可状(以下「本件許可状」という。)は、覚せい剤取締法違反との記載があるが、何条が適用されるかまでの記載は不要か。
(2) 刑訴法219条1項において、「罪名」との記載を要求したのは、憲法35条1項が「正当な理由」に基づかなければならないものとの規定から要求されている。
そして、捜索差押は捜査の初期段階でなされ、流動的に変化するものであり、法の何条まで要求せずとも、何の法に違反したかまで判明できれば「正当な理由」に当たると考える。
(3) 本件においては、覚せい剤取締法違反と、何の法に違反したかが記載されており、何条まで記載していなくても219条1項に反せず適法である。
2 差し押さえるべき物の記載について
(1) 刑訴法219条項は「差し押さえるべき物」を要求しているが、本件許可状には、その他本件に関係ありと思料される一切の文書及び物件とあり、これを満たすか。
(2) 同条項は、一般令状を禁止したものであると考えられ、これは、被処分者の受忍限度の範囲を明らかにし不服申し立ての機会を確保させること(430条2項)、処分者の権限範囲を確定させることをその趣旨としている。また、前述のように捜索差押は捜査の初期の段階になされるため、厳格に求めることは、捜査の確実性、迅速性を害し、糾問的捜査のおそれがあることから、すべきではないと考える。
とすると、罪名や他の例示物件と相まって差し押さえるべき物と特定できるのであれば、一般令状にはならず、適法と考える。
(3) 本件において検討すると、罪名は覚せい剤取締法違反の罪であり、例示として金銭出納簿、預金通帳、メモなどが記載され、これらの類似物件として差し押さえるべき物が特定されるといえる。
(4) よって、本件許可状の記載は適法である。
第2 設問2について
1 本件メモの差押えは本件許可状記載の「メモ」に当たるが、本件被疑事実は平成23年7月1日に乙に対して覚せい剤10グラムを30万円で譲渡したという事実であるが、メモには、平成23年6月30日、丙から覚せい剤100グラムを250万円で購入したという事実が記載されている。これは被疑事実と異なるが、本件許可状の効力が及び認められるか。
2 許可状は、例示物件から著しく外れた物を許可するものではない。しかし、著しく外れていない物については裁判所は司法審査をして認めているというべきである。そして、この著しく外れた物件に対する許可状の範囲が及ぶかどうかは、許可状記載の差し押さえるべき物との関連性、必要性を考慮して判断すべきであると考える。
3 本件許可状に記載されている覚せい剤取締法違反における法41条の2第1項には所持と譲渡、譲受をした者も含まれている。
また、本件令状請求の被疑事実は譲渡であり、本件メモは譲受けであり記載内容が異なるが、覚せい剤を譲受け、これを譲渡したものと考えられる。
さらに、被疑事実に関する内容を捜査するために甲が覚せい剤を譲り受けたルートを特定して、事実を明らかにして甲を起訴すべきであることから、被疑事実とは異なっていてもその関連性と必要性は認められるといえる。
4 よって、本件メモについては、被疑事実との関連性、必要性が認められ差押えをすることができる。
以上
自己評価 B
評価 A
感想
設問1についてはまあまあ書けたが、令状主義というキーワードは出していない。
設問2については書きたいことが分かりにくくなっている。強引過ぎる書き方かもと思った。
関連性と必要性を書けばよいだろうという考慮しか働かなかった。