来週金曜日(2016年4月1日)からの特例公債(赤字国債)の発行のために必要な、「平成28年度から32年度までの特例公債法案」(190閣法7号)が年度内に成立しない公算が高まりました。
法案の正式名称は「東日本大震災からの復興のための施策を実施するために必要な財源の確保に関する特別措置法及び財政運営に必要な財源の確保を図るための公債の発行の特例に関する法律の一部を改正する法律案」 。
消費税軽減税率の平成29年4月1日施行を盛り込んだ、「平成28年度税制改正法案(所得税法改正案)」(190閣法16号)の審議が長引いており、参議院財政金融委員会(大家敏志委員長=自民党)の採決が、24日(木)から29日(火)ごろになる見通し。
参議院の自民党、民進党はすでに、毎年4月1日に関税定率表を書き換える、「関税定率法改正案」(190閣法24号)の審議を優先することに合意。
自民党は、特例公債法案を関税定率法改正案と同時に審査してほしい考え。民進党は法案の趣旨が違うため拒むもよう。政府と自民党は、特例公債法案を「※指定(こめじるししてい)の日切れ法案」だとしていますが、民進党は、3月31日までに成立させる性質のものではなく、徹底審議が必要だとの立場。参議院民進党が独自に提出した対案である「平成28年度のみの特例公債法案」(190参法2号)の審議入りも求めています。
このため、改正軽減税率税制改正法と、改正関税定率法は、3月29日(火)から31日(木)までに成立し、公布される公算ですが、参議院自民党が年度内に採決をめざした場合、強行採決など不正常採決になると考えられます。
参議院民進党は、向こう5年間の特例公債発行については、参考人などの意見を聞く必要があると考えて、4月1日以降も審議することもやぶさかではないと考えています。ただ、法案は「4月1日施行」と書き込んでいるため、4月に参議院で可決しても、衆議院への回付作業が必要になります。
財務省理財局の国債カレンダーによると、4月5日(火)に10年物国債を発行予定。国債の入札参加者は減少傾向ですが、その分需給がひっ迫しており、市場での国債取引の変動性が高まることになります。仮に国債市場での変化があれば、「衆参ねじれの意趣返し」ではなく、柔軟に対応するものとみられます。また、4月1日を過ぎれば、いずれにせよ、修正が必要となることから、自民党が附則も含めた修正に柔軟に応じるかまえをとるかもしれません。
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