[写真]排外主義の震源地、埼玉県川口市で演説する、石破茂首相(自民党総裁)と公明党の矢倉克夫候補、きょう令和7年2025年7月5日(土)、宮崎信行撮影。
減税、備蓄米よりも、排外主義・日本ファーストが情勢を左右する異様な選挙戦となっていますが、きょう3日目(土曜日)、石破茂首相(自民党総裁)が震源地「埼玉・川口」に乗り込み「この川口と、いろいろな外国の方々との問題も、矢倉さんは正面から向き合ってきました。ルールをきちっと守ろうよ」と明言しました。
首相は、埼玉4枠で、自民現職、立憲現職の次の2枠を参政新人(53歳の元飯能市議男性)、国民新人、共産現職、公明現職が競っているとされる、矢倉克夫・公明党埼玉県本部代表を応援しました。
石破さんは次のように語りました。「この川口と、いろいろな外国の方々との問題も、矢倉さんは正面から向き合ってきました。ルールをきちっと守ろうよ(と)いうことです。ルールをきちんと守って、外国の方々に日本の社会でいろんな役割を果たしていただく。それが大事なことであり、日本のいろんな習慣、そういうものをきちんと身につけていただいて、この日本で多くの国の方たちがともに暮らしていくことができる。日本の文化、歴史、伝統、そういうことをきちんと守っていただきながら、外国の人たちにルールを守ってもらう。そういうような社会をつくる。そのときだけの憎しみ、悪口、それで世の中の問題はけっして解決しない。解決するために必要なのは、人の心を思いやるそういう真心であり、誠実さであります。矢倉克夫は誠実な人です」と述べました。
このうち、「そのときだけの憎しみ、悪口、それで世の中の問題はけっして解決しない」との発言は、神谷宗幣代表率いる参政党の10倍増などの序盤情勢を意識したものとみられます。
これに先立ち、首相が隣にいる状況での矢倉さんの演説では、およそ2分弱、触れました。矢倉さんは「最後3つ目。安全安心な埼玉をつくる。外国人の方々、様々な現場で働いていただいております。重要な方々であります。そのうえで現場では外国人の方とのルールがあわない、ルールをしっかり守りあう関係をという課題があります。お互い日本人、外国人がルールを守りあうことが信頼関係の前提です。私、矢倉克夫、法務部会長として政府とも連携し、不法滞在者ゼロプランをまとめました。ルールを守り、そして守っている方は、しっかりと外国人を守る。一方で、不法に滞在している方など、ルールを守らない方は帰っていただく。正当にいる外国人を守るためにも、厳正にルールを対処して、ルールに基づく外国人共生社会、安心な日本を埼玉を矢倉克夫がつくりますので、どうかこの点もお願いします」と演説しました。
首相到着前には、地元の新藤義孝政務調査会長代行も演説。新藤さんも「 そしてあわせて、この川口市にも外国人の問題がありますけれども、ルールを守らない人はこの国にいるわけにはいきません。ルールを守ってみんなと仲良く暮らしていく。そのためにも厳密な法制度の執行をしなければならない」と話しました。
クルド人、トルコ人といった特定の民族名、国名の言及はありませんでした。聴衆には、白人女性、南アジア系男性ら外国人とみられる人も加わりました。石破さんはかなり人気がないということもあってか、矢倉さんの上述の2分弱の演説と、石破さんが最後に矢倉さんの手をとってお願いした場面で最も拍手が大きくなりました。
与党の首相らがこれだけ言及したのですから、クルド人解体業者などの一連の問題は明らか。よく調べもしないで「差別だ差別だ」と絶叫していた左翼リベラルは反省していただきたいところです。一方、安倍晋三首相を失い、LGBT差別理解増進法と選択的夫婦別姓に反対する岩盤保守層が排外主義に流れているような気がします。ジェンダーと家族観と排外主義はまったく別物ですから、神谷さんの発言に「目覚めた人」を参政党各県支部が固められるか、上滑りするかが大きな焦点となる想定外の闘いとなってきました。

[写真]英語での注意書きが目立つ川口市立公園、きょう、宮崎信行撮影。
これとは別に、昨秋の衆院選にも政府税制改正大綱にもなかった奨学金の残高の所得控除は、初日の斉藤鉄夫代表の第一声にも入りました。西田実仁幹事長(税調顧問)の側近である矢倉さんの演説会に西田さんの姿はありませんでしたが、矢倉さんは「奨学金を返せば返すほど減税させるしくみ」と語りました。ただ、所得控除だから残高が減ったら減税にはならないと思いますが、住宅ローン控除と奨学金控除を税制改正の項目にしようと西田税調顧問がたくらんでいるのは間違いありません。大卒後無職なら、控除は受けられず、こどもたちの目線にたった政策ではありません。
首相が「外国人の方々」と演説する最中にも起きている参政党ブーム。県ごとに支部をつくり、自分たちで候補者をつくり、神輿を担いでいることから、1人区で2位につける情勢調査も出てきて、比例も底上げされています。が、上滑りの兆候はいくらでもあります。




[写真]参政党の街頭演説会場のようす、すべて今回の第27回参院選でなく、昨秋の第50回衆院選のときのもので、宮崎信行撮影。
「投票したい政党がないから、自分たちでゼロから作る」と呼びかける神谷代表や川副代表らに、プラカードを持ち「党員さん忙しさに追い込まれて思考停止していませんか」などと党運営を批判し、民間警備会社と思われるスーツ姿の男性らが前にはだかっています。内容の具体性からして、他党の妨害とは思えず、各支部を作っていく過程で、様々な問題が生じていることをうかがわせます。
立憲民主党は、きょうまでに、議席減のジンクスがある「東京プリンスホテル」ではなく、開票センターとしては手狭だと警備からの意見もある党本部に置くことを発表しました。また、あさって月曜日以降、幹部を鹿児島、福岡、大分、佐賀、徳島・高知、富山、新潟などに投入する方針を決め、県連と調整をしています。執行役員でない議員も「党本部預かり」として随行職員をつけて投入する考えで、執行役員以外では、石川かおりネクスト消費者相を最重点区宮崎県小林市文化会館の女性候補の集会に派遣するほか、馬淵澄夫同経財相、福山哲郎同安全保障相、西村ちなみ衆議院法務委員長、安住淳同予算委員長らも応援弁士として派遣することにしました。随行職員はこの時期からですから政調・国対の職員から選ばれるとみられ、総力戦の様相を呈してきました。
以上です。