【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

延長国会(70日間)が1週間も空転 参院自民党から政務官引き抜きで菅首相と6首脳にすきま風

2011年06月28日 23時22分30秒 | 第177常会(2011年1月)大震災・3党合意

〈70日間(49営業日)の延長国会も、1週間も本会議・委員会無しの空転状態〉

 70日間の延長となった第177通常国会ですが、延長国会になってからの1週間、衆参とも本会議も委員会も開かれない「空転国会」が続いています。6月22日(水)の会期末では、直前まで「首相vs民自公3党幹事長合意」という異例の構図の攻防があったので、23日(木)、24日(金)に委員会を立てる(審議を設定する)ことが各党国対委員長や、各委員会の与野党筆頭理事ができなかったのは、やむを得ないと思います。しかし、週明けの6月27日(月)~6月29日(水)に審議が一つもないというのは国会の怠慢ともいえそうです。

 まず、衆参の各委員会審議では、衆・財務金融委員会の「特例公債法案(平成23年度の赤字国債の発行法案)177国会閣法1号」のように、いいところまで審議が行っているのに、ストップしているものがあります。また、内閣が4月に提出している「再生可能エネルギーの全量固定価格買い取り法案(閣51号)」のように、いまだに経済産業大臣の提案理由説明すらされていないものもあります。

 延長国会は、70日間ですから、要するに、10週間ということになります。この間、7月18日の月曜日が海の日で祝日になります。このほか、7月中は土曜日が5日、日曜日が5日、8月中は土曜日が4日、日曜日が4日あります。

 ですから、営業日で言うと、延長の時点では49営業日の審議日数を確保しましたが、そのうち、6月29日時点で5営業日が空転のまま過ぎてしまったわけです。つまり既に1割以上が消えました。仮に国会が第1次産業の農業なら、畑を耕さずに1週間過ぎれば、いいものはできません。第2次産業の「法律工場」だとすれば、大きな法律、付加価値の高い製品をこの後納品すれば、リカバーできますが、第3次産業のサービス業だとすれば、5営業日も休業したら、これはもう、まるまる1割の売り上げ減少でリカバーは不能です。

〈反故になりかけた3党幹事長・政調会長合意に向けて、岡田・玄葉・安住奔走〉

 こうなってしまったのは、やはり菅直人首相の不可解と思われる人事があったからです。参院自民党から浜田和幸議員を一本釣りして総務政務官に起用しましたが、これはやるなら、6人以上でなければ意味がなく、1人では、かえって参院自民党が硬化するだけですから、せっかくの3党「4・29」政調会長合意(子ども手当見直し→特例公債法案成立→年金財源安定化の議論)、3党幹事長の幻の「6・22」合意(2次補正予算の成立、特例公債法案の成立、再生可能エネルギー法の採決、そして新首相(新体制)の下での3次補正予算)が反故になりかねない事態です。ただ、日曜日のテレビでは、3党幹事長の間には、6・22合意は首相のヒトコトで却下されたことにより白紙になったものの、その内容は、3人の心の中で生きているという状態でした。まさに“岡田勧進帳”ということで、この“岡田勧進帳”が第177通常国会の最終盤まで持続するかどうかがカギとなりそうです。「政務官引き抜き人事」があったので風前の灯火かと思いましたが、6月28日、安住淳・民主党国対委員長は逢沢一郎・自民党国対委員長に謝罪し、玄葉光一郎・民主党政調会長も閣議後記者会見で3党協議の再開に自信を示し、岡田幹事長は、両院議員総会で「国会正常化のための、自民党と公明党をはじめとする各党と話し合っている」ことを明らかにしました。なんとか“岡田勧進帳”で、“安宅の関”で義経(菅首相)”を向こうに渡らせちゃいましょう。秋になれば青い空も高く、澄んで見えるようになるでしょう。

〈総理退陣の3条件「再生可能エネルギー法案の“成立”」へ国会のハードル上がり、「一定のめど」→「一つのめど」に菅さんのハードル下がる〉

 6月2日の菅直人・民主党代表(首相)の「震災対応と原子力災害に一定のめどが立った段階で若い世代に責任を引き継ぎたい」は、6月22日の“岡田勧進帳”では「2次補正成立、特例公債法成立、再生エネ法案採決」となりましたが、6月27日の総理記者会見・28日の両院議員総会では「3つの条件の成立」となりハードルが上がりました。これは「エネルギー解散」を総理が模索しているという観測もありますが、参院の採決では、与党だけでなく社民党などからも賛成を得られるでしょうから、「郵政の再来」はないと思われます。

 それとは別に、菅さんは「一定のめど」を「一つのめど」と言い換えており、これは両院議員総会で川内博史さんが指摘しており、今後の課題となりそうです。

〈菅首相vs執行部、菅首相vs民自公の異常事態に〉

 いずれにしろ「首相vs執行部」「首相vs与野党幹事長」という構図ができており、当分の間は、岡田さんが最後まで総理を支えながら、いかにして、弁慶のように、富樫(民主党政府外議員、自公、国民)から暗黙の了解を得ながら、義経(菅さん)を安宅の関を渡らせて、花道へと導くかということになりそうです。

 何とか、週明けの7月5日(火)には、正常化してほしいと願います。そうすると、延長国会は41営業日ということになります。会期末に政府が提出した「原子力賠償スキーム法案」(177国会閣法84号)、野党5党が参議院先議で提出した「原子力災害被害者への国費による仮払い法案」(177参法9号)の審議はできるでしょう。議員立法への取り組みが進んでいる「公的機関の債権買取による二重ローン債務棚上げの法案」、「協働を支援する労働者協同組合の推進法案」なども審議日程にのぼるかもしれません。

〈6月6日の決算委員会で、参院自民党に“刺されていた”蓮舫行政刷新相だが、閣外に出ることは恥ずかしいことではない〉

 ところで、菅直人第2次改造内閣は、追加人事で、細野豪志さんが、「原子力事故の収束と再発防止」担当大臣、節電啓発担当大臣、内閣府特命担当(消費者および食品安全)大臣の3職に任命しました。復興基本法施行に伴い、松本龍さんが東日本復興対策担当大臣(復興相)と内閣府特命担当大臣(防災担当)となり、環境大臣から外れました。環境大臣は、江田五月さんが法相(兼)環境相になりました。そして、枝野幸男さんが内閣官房長官(兼)内閣府特命担当大臣が「沖縄および北方対策」に加えて「行政刷新担当」に復帰しました。閣僚17人枠を橋本行革前の「20人枠」に戻す内閣法改正案(177閣法71号)は衆・復興特別委員会で採決されておらず、廃案になると見られます。このため、蓮舫さんが閣外に出ました。

 蓮舫大臣は6月6日の参・決算委員会で、自民党の山谷えり子さんに「3・11」以降、内閣府の行政刷新会議事務局はどうなっているのか?と質問されています。

 これに対し、蓮舫さんは次のように答弁しています。

 「済みません、通告来ておりませんでしたが、今、行政刷新事務局の人数なんですが、発災以降様々な会議等がありまして事務局併任掛けておりますので若干の減員がありますが、五十人弱、四十七、八人だったと承知をしております」「発災以降、全ての事業は一旦停止をしておりましたが、6月1日に行政刷新会議を開きまして、」「失礼をしました。行政刷新事務局本体で今四十人でございます。」「当然優先されるべきは東日本大震災からの復旧復興だというのは大前提であります」。

 とかなり苦しい答弁をしています。橋本行革以降、内閣府にいろいろなタスクフォースができて、構造改革特区や、郵政改革など、各府省の寄せ集めとはいえ、なかなか面白い仕事ができるようになりました。行政刷新会議もその一つですが、蓮舫さんが自分の権力源である刷新会議について、「3・11」以降も継続している、いわば手勢はたっぷりあると啖呵を切っているようで、少し痛々しい答弁でした。もちろん「仕分けられた人・組織」はこの6月6日の答弁と6月27日に閣外に出たことについて、「今度は蓮舫さんが仕分けられたね」との軽口を叩くかもしれません。しかし、それは本人の答弁にあるとおり、「当然優先されるべきは復旧復興だという大前提」の下、プライオリティ、タイムスケジュールとして行政刷新会議の作業が後回しになるだけであって、民主党政権における蓮舫さん(や枝野さん、仙谷さん)らと事業仕分けの功績は大です。まあ、蓮舫さんも勤続7年ですから、首相補佐官になるということですが、場合によっては無役で、参院の委員会に戻ってもいいのでは。実は、逆転の夏の後、簗瀬進・参院国対委員長の指揮による「法案の嵐」作戦での参院可決第1号「年金流用禁止法案」の筆頭発議者は蓮舫さんだったんですね。菅さんや蓮舫さんの自らの権力に執着する姿勢というのは政治家として当然の姿であり、それを嫉妬したり、「鼻につく」などというのは、違うと考えます。とはいえ、時間ができた、蓮舫さんは参議院警務部にスイカでも差し入れしたらいいんじゃないでしょうか。

〈民主党両院議員総会はさながら1922年委員会(英保守党)の様相?〉

 きょうの両院議員総会でもベテラン参院議員が「過去2年間に政務三役を務めた人は反省して欲しい。だれが正しいか、ではなく、何が正しいか。総理の言う、『世代交代』とは、年齢のことではない」と言っていました。これはこの人が政務三役入りを狙っているからだと考えます。政治家として何も恥ずかしいことではありません。ただし、「紙に書いてきましたので読み上げます」ではなく、台本なしで演じられないのが蓮舫さん菅さんとの違いなわけですが・・・とはいえ、政党政治はチームプレーですから、適材適所というものがあります。

 それと、政権交代後の両院議員総会で、政務官が発言したのは、山井和則・厚労政務官(当時)について、2人目になると思いますが、吉田公一・農水政務官が「衆議院議員の吉田です」と言って、マイクを持ちました。ヨシコーさんは「政治主導というが、全然なっていない。役人から政務官へのレクチャーなんか、1日5~6本になる日もある。だから、私は自分で日程からレクチャーなんて削っちゃう。それも政治主導の一つだ」と発言しました。場内は笑い声に包まれていましたが、どれだけの人がヨシコーさんの発言の意味を骨に肉に染みこませることができるでしょうか。その中で、衆院1期生の橘秀徳さんの「自民党参院議員1人を引き抜いても、かえって野党が硬化するだけなので意味がない。安住淳国対委員長の本音を聞きたい」との発言が良かったと思います。安住さんは「率直に言って、自民党と公明党も、きのうからは(菅の顔だけでなく)安住の顔も見たくない、と言っている。だが、男は黙って与えられた仕事をしていきたい」と答えたのも印象に残りました。

 私の場合は、なかなか、1人でやっているフリーランスの政治ジャーナリストなもんで、ちなみに国会ジャーナリストと名乗ろうかとも最近は考えていますが、「なぜ審議が開かれないのか?」を取材することの難しさを痛感します。衆参与野党国対委員長に聞いたり、各委員会の与野党筆頭理事に聞いて回るのは、体が一つではムリ。取材を積み重ねた上でも、さらに想像力を働かせないと「しない」「できない」ことの真相というのは分かりようがないのが実態です。だからまあ、あすもまた新聞を読むわけです。

 弁慶の岡田幹事長は「私たちの選んだ総理大臣です。しっかり後押しをしていきたい。国会も正常化させていきたい」と述べましたので、ぜひ、6首脳(岡田克也幹事長、輿石東参院議員会長、安住淳国対委員長、玄葉光一郎政調会長、仙谷由人代表代行(兼)内閣官房副長官、枝野幸男・内閣官房長官)が頑張ってほしい。

 そして、井上義久公明党幹事長が26日放送のフジ「新報道2001」で名付けた「代表取締役専務3人組」(岡田幹事長・石原伸晃自民党幹事長・井上幹事長)にも頑張ってほしい。菅首相にも見苦しいほどに権力に執着して欲しい。

 歴史の変動期ですから、これくらいの不安定さに驚いてはいけません。戦国時代の農民の日記にも「今は戦国の世にて・・・」という記述があるそうです。まあ、何とかなります。国民にとっては訓政期。国会議員にとってはまさに正念場(性根場)です。


簗瀬進さんが次の参院選(全国比例)出馬に初名乗り 輿石会長「また晴れる日が来る」

2011年06月26日 15時02分49秒 | 第23回参院選(2013年7月)二番底

[写真]第23回参院選全国比例出馬を表明する後援会大会が成功し、支援者と握手する簗瀬進さん、20116月25日、宇都宮市、宮崎信行撮影。

 2011年(平成23年)6月25日。栃木県宇都宮市に行ってきました。宇都宮線(東北本線)沿線は前日は摂氏38度近くあったと思いますが、この日は、小雨交じりで涼しく、私も1年ぶりにゆったりと都外に出て、気持ちよかったです。

 前民主党参院議員の

 簗瀬進(やなせ・すすむ)さんが、2013年夏(6月ないし7月?)の第23回参議院議員通常選挙に民主党公認候補として全国比例から立候補する意向を表明しました。第23回参院選への出馬表明は、現職・前職・新人問わず、簗瀬さんが初めてだと思われます。


[写真]第23回参院選で全国比例への出馬を表明する簗瀬進さん、2011年6月25日、宮崎信行撮影。

 この日の会合は、「やなせ進後援会」の大会として開かれ、民主党参院議員会長の輿石東さんらが出席しました。民主党栃木県連の衆院議員、参院議員、県議が4人ほど、市町村議会議員(経験者含む)8人ほども顔を出し、県連全体で、簗瀬さんを全国比例に押し上げようという機運を感じました。

 「やなせ進後援会」大会には200人~300人が参加。まあ、やたらと会合への参加人数で、選挙(前の日常活動)について語る人がいますが、それは意味がありません。まして、本戦まで2年前の後援会大会の参加人数などどうだっていい。大事なのは、コアメンバーの熱気です。で、下の写真のように前列はビッシリ埋まって、熱心に耳を傾けていました。引っ込み思案の日本人、こういった会合では恒例の、司会者の「前の方がまだ空いておりますので、お詰め下さい」というアナウンスも開会10分前に1回あっただけ。「やなせ進後援会」は県会議員だったお父さんが初出馬した昭和30年代から続く組織だということですので、人数も多くなりますが、コアメンバーの「簗瀬さんが好きだ」という意気込みが十分に感じられました。じっくりと2年間、各々が手間暇のペース配分を決めて、後援会作りをしてほしいなあ、と感じました。

 
[写真]前列がビッシリ埋まり、熱心に話を聞く、簗瀬進後援会大会出席者のみなさん。

 簗瀬さんは、毎週月曜日に、JR宇都宮駅・東武宇都宮駅・栃木県庁前で配っている「マンデー・リポート」について、「(1990年の第39回衆院選初当選以来)20年間やってきましたが、落選後3ヶ月間、休みました。しかし、『まさに簗瀬進は進む人だ』と思い直し、昨年10月に再スタートしました」と述べました。ビラ配りでは「今の民主党にタイヘン厳しい声が寄せられています。私も野党時代に、有権者のみなさんに『政権交代をすれば変わるよ』と言ってきたことを申し訳なく思うこともあります」と正直な心情を吐露しました。

 しかし、「市民が主役の民主党という志に変わりはない」とし、「きのうの民主党栃木県連常任幹事会で(きょうの後援会大会より)さきに話してしまったことを(後援会員のみなさんに)おわびしたうえで、みなさまの万雷の拍手によるご承認をいただいて、私・簗瀬進は2年後の参院選の全国比例にエントリーさせていただきたい」と話すと、200人以上の後援会員から大きな拍手を得ました。そして、簗瀬さんは「(6月22日の)会期延長の決議で自民党で賛成した2人のうちの1人と話した。政権交代可能な2大政党制が基本だが、その方と政策横断的な新しいうねりをつくり、新しいみなさんと情報交換していきたい」との国政復帰後の抱負を語りました。

 後援会大会は民主党らしくフルオープンで取材が認められましたが、栃木選挙区から全国比例の転出に辺り、「2枚目(の投票用紙)は簗瀬進、ということで、名前をあげていきたい」としましたが、1人単記式投票ですので、「比例となれば連合のみなさんもそれぞれの産別で応援する人がいるでしょうし、あるいは、私が参院国対委員長として手塩にかけて育てた新人(2007年「逆転の夏」チルドレン)の改選ともバッティングしてしまい、心苦しい面もあります」と正直な感想を述べました。

 そして「やなせ進後援会」を県議時代以来の宇都宮中心から、オール栃木県的なものに広げることにし、その作戦をつくるために「やなせ進後援会の再構築委員会」を設け、委員会座長に後援会の幹事長さんを充て、残りのメンバーは簗瀬さんが少数精鋭で人選し、1ヶ月以内に初会合を開くことが了承されました。

 2つめは、これは全国で闘ううえで大事な、資金面。「タイヘンデリケートな話ですが」と恐縮する後援会幹事長さんから「このような経済状況でタイヘン申し訳ないのでが、今後、後援会員に年に1回、振り込み用紙を郵送させていただきたいと思いますが、よろしいでしょうか」と発案し、これもまずまずの拍手で了承されました。ただ、私なんかの手元にはいろいろな議員からしょっちゅう振り込み用紙は郵送されてきますし、ときには番号入りパーティー券が送られてきたこともあります。簗瀬さんは力があるんですから、もっと自信を持って欲しいと、私は会場で感じました。

 議題の3つめは「やなせ進ネット後援会(仮称)」の設立で、これも了承されました。簗瀬さんによると、新党さきがけを立ち上げたときのネット局長だったそうで、パソコン通信時代の「ニフティ」も、国会議員時代の堂本暁子前千葉県知事・達増拓也現岩手県知事と並ぶ常連だったそうです。また、「政治家がホームページを立ち上げてから、更新し続ける最長不倒記録の保持者だ」とのことです。壇上には、長年のネット上の友人だというシステムエンジニアの人が壇上に上がりました。いきなりハンドルネームで自己紹介したので、会場は一瞬面食らった雰囲気でしたが、「東京から来ました。これまでは選挙区外でしたが、次は全国比例ということで喜んでいます」と笑いを誘いながら、正式な議案として「ネット後援会」の発足が承認されました。

 これに先立ち、やなせ進後援会の会長さんは「雨のときがホントウの友達。(小雨交じりの)きょう来てくれた人が、簗瀬進のホントウの友達として、簗瀬の再スタートを切らして欲しい」と語りました。

 来賓あいさつで、参院議員の谷博之さんは「1年前の簗瀬陣営の総合選対本部長として責任を感じている。政権運営は厳しいけれど、民主党が将来の道筋をつけていく時期で、次ぐの総理がだれかという問題ではなく、党がまとまっていることが大事だ」と語りました。


[画像]谷博之・参院議員。

 あいさつに立った県議のうちの一人は「全国比例となると(連合組織内候補予定者などとの)いろいろな関係があるのは事実だが、簗瀬先生の国政復帰に全力を入れたい」と述べました。

 この後、「民主党のこれから」と題して、民主党・新緑風会の輿石東会長が講演しました。輿石会長は「簗瀬さんと私は1990年衆院選初当選組だが、私は当時本会議場の社会党席から見て、『自民党には元気の良いのがいるなあ』と見ていたが、それは簗瀬進さんと岩屋毅さんだった」と切り出しました。


[画像]輿石東・民主党参院議員会長

 輿石さんは、第1次民主党結成の時に、「社会党から大畠章宏さん(国交副大臣)と私(輿石東さん)、さきがけから五十嵐文彦さん(財務副大臣)と簗瀬さんが出て、4人で政策のすりあわせ」をしたというエピソードを披露しました。輿石会長は「私は日教組の出身です。日教組と聞くだけで鳥肌が立つという人もいるがまぎれもなく日教組の出身。私は日教組という全国的な組織の応援を、選挙区の山梨県内で受けているが、簗瀬さんにはそういった全国的な組織がない」として、後援会の拡大を要請しました。

 輿石さんは「社会党出身の私、自民党出身の簗瀬さんらに加えて、新しい人が加わり、政権交代した。民主党は顔合わせをしたが、心あわせをして、そして、力あわせをしていかなければいけない。今はまだ、心合わせができていない。それが政権交代ある政治の完成につながるとして、『民主党のこれから』という演題へのお答えとしたい」と締めくくりました。そして、「一つ付け加えたい」として「ところで、私は簗瀬さんには歌の巧さでは逆立ちしてもかなわないが、私は美空ひばりさんの『川の流れのように』という曲が好きだ。あの中に「いつか晴れる日が来るから」という歌詞がある。ここにいる後援会のみなさんも「いつか晴れる日が来るから」と信じて、簗瀬さんを支えて欲しい」と語りました。

 ◇

 1990年、初当選。

 1993年春。日本新党の候補者公募に合格した枝野幸男弁護士は、「自分が生まれ育ったところは、当時の栃木1区にあたり、そこには簗瀬進さんや船田元さん小林守さんという(栃木県立宇都宮)高校の先輩たちが現職でいました。そこに割り込んでも勝ち目はなさそうでした」として、「こうして、4月の終わりには日本新党埼玉県第5支部長に就任。トントン拍子に決まったわけです」としています。(枝野幸男著『それでも政治は変えられる』68ページ)。

 同年6月。CP研のメンバーの一人で同期の岡田克也さんが当時住んでいた衆院赤坂議員宿舎を2人の議員が訪問しました。「自民党の政治改革をめぐる反対派との厳しい論議をともに、闘い抜き、ともに与党自民党を離党する決断をした同志、簗瀬進君岩屋毅君である」「2人とは別の道を行くことになった。宿舎の玄関先で彼らを見送るとき、なぜか涙があふれ出た。私自身をふくめ、こうした若手議員の政治改革実現への熱狂は、一体何だったのか。当時を顧みて、熱病にかかったようだったと冷ややかに言う人もいる。しかし、あのとき、私たちはひたすらに日本の政治を何とかしたいと思っていた。政治改革実現のためなら、自らの政治生命を捧げても構わないとさえ思いつめていた」としています。(岡田克也著『政権交代』39ページ)。

 そして、宮澤嘘つき解散、第40回衆院選。

 8月。枝野さんは初当選直後をこう振り返っています。「国会が始まる前に、さきがけと一緒の顔合わせのパーティーが開催されました。(略)高校、大学の先輩でもある簗瀬さんとも再会できました。簗瀬さんには、選挙に出る前にも挨拶だけはしていたのですが、こうして当選してみて、自分がテレビによく出る国会議員の人たちと同じ場にいるのが不思議でした。(略)一緒に駅で電車を待っていたりすると、簗瀬さんは有名人でしたから、よく『頑張ってください』なんて知らない人から声をかけられました。(略)最初のうちは、街を歩いていても声をかけられる簗瀬さんを若干うらやましく思いましたが、最近は私も少しは顔が知られてきて、ときどき声をかけられることがあります」(枝野幸男著『それでも政治は変えられる』114ページ)。

 岡田さんが民主党幹事長、枝野さんが内閣官房長官、一方の同じフロントベンチで、岩屋毅さんは影の防衛大臣(会期延長議決に造反のため辞表提出中)をやっています。 


[画像]首相の進退や通常国会の延長について協議するため総理公邸に入る岡田克也幹事長(左)と公邸前でブリーフィングに応じる枝野幸男内閣官房長官(右)、NHKニュース映像から。

 というわけで、後援会大会後の記者会見で、私が「忸怩たる思いはないか?」と簗瀬さんに質問しました。

 
[画像]記者会見の様子、左から簗瀬進さん、輿石東民主党・新緑風会会長、ネット後援会の担当者の方、2011年6月25日、宇都宮市内、宮崎信行撮影。

 簗瀬さんは、今の政治の主流は「90会(きゅーまるかい)だ」として、「私は肝腎なときにこけちゃった。(政治人生の中で、野党時代よりも)現時点がイチバン辛いです。お酒を飲んでもアルコールが染み渡らない。いっそのこと、(資格を持っている)弁護士になった方が(私の)暮らし向きは楽なんだと思います。でも、政治改革の志を持って政治家になった。かつての自民党や社会党のようなイデオロギーの対立でなく、国民政党的なものが2つ必要だ、として、96年民主党をつくりました。その前提は国民のための政権交代。しかし、それには理念が必要なのに、今の現役議員は権力奪取の一面ばかりで、国民そっちのけの政争ごっこをしている。今こそ原点を知っている私が戻って、かつての経験をいかしたい。枝野さん、前原さん、原口さん・・・世代交代が進んでいるように思えるが、自分にできることは必ずあると信じている」としました。

[写真]枝野幸男さん、岡田克也さん、簗瀬進さん(民主党ホームページ

 簗瀬さんは1950年4月23日生まれですから、第23回参院選のときには、63歳、任期満了まで務めると、69歳になります。これまで衆院2期・参院2期で勤続18年8ヶ月間を積み重ねています。昨年7月からの新しい参議院議員会館には入居したことがないということになります。記者会見で、輿石会長は、第23回通常選挙から適用される見通しの新・選挙制度について、全国的団体の組織内の候補者以外でも参院議員になれるような制度にしたいという方向性に言及しました。「簗瀬進が当選できるような参院選挙制度にしたい」と、これは宇都宮にかけつけてのリップサービスも含んだ表現ですが、各会派が合意しての選挙制度改革に自信をのぞかせました。

 簗瀬さんによると、2011年6月27日(月)のマンデーリポートの配布が「通算で887回目になる」とのこと。岡田克也になれなかった、枝野幸男に抜かれた・・・でもだからこそ、簗瀬進さんは政争から一歩離れて政治を見られるのでは。政党政治はチームプレーです。ルール・オブ・ザ・ゲーム(選挙制度)がまだハッキリ分かりませんし、2013年夏には自民党政権になっているかもしれません。そのとき民主党が与党であれ、野党であれ、二大政党デモクラシーの完成のために頑張ってほしいと思います。

 いつかはまた晴れる日が来るから。

【追記 2015年12月25日】

 簗瀬進さんは、大学副学長(兼)憲法学教授として、ご活躍を続けています。

【追記終わり】

このエントリー記事の本文は以上です。 

菅さんが29年前に「再生可能エネルギーを質問」議事録で明らかに 自民党大臣「悪のりしないで」と釘をさす

2011年06月23日 18時44分38秒 | 第177常会(2011年1月)大震災・3党合意

[写真]衆院議員に初当選した菅直人さん、1980年6月の第36回衆院選、江田五月さんのホームページから引用

 菅直人さんが、1年生議員として、衆院科学技術委員会に初登場した29年前に、風力など再生可能エネルギーについて質問し、化石燃料や原子力の問題点を指摘していたことが、国会議事録データベース(国立国会図書館)で分かりました。しかし、質問の最後に自民党政府の中川一郎大臣(科学技術庁長官・原子力担当)から、「(再生可能エネルギーが)あるから、原子力は要らないのではないかということの口実に使う、利用する、乗り過ぎ、悪乗り」をしないようたしなめられていたことも分かりました。

 菅さんは14日の参院・東日本大震災復興特別委員会で「何か私が再生可能エネルギーについても最近言い出したかのような表現をされましたが、是非私の一期目のときの議事録を御覧をいただきたいと思います。風トピア計画という、科学技術庁長官、当時の中川一郎さんとの間で私が交わしたやり取り、私は、アメリカのウインドテストセンター、三宅島にあった風力の二つの大きな発電機、東電が持っておりましたが、そして科学技術庁が行っていた風トピア計画、これらを全部自分の目で見ると同時に、国会でもそのことを取り上げておりまして、別に今回のことで急に申し上げ出したわけではありません」と答弁しました。というわけで、実際に調べたら、その通りでした。

 これは、1982年(昭和57年)3月23日の衆院・科学技術委員会(当時は常任委員会)でのやりとりです。この第96回国会は鈴木善幸内閣として2度目の通常国会で、参院全国区を廃止する公職選挙法改正のため、94日間延長して会期244日間のロングラン国会でした。また、国会議事堂至近のホテル・ニュージャパンで大規模な火災が起きるなど、平和で経済的に安定した中で、本来ならばしっかりと未来への種まきをしておくべき国会だった、と今から振り返ると思います。

 この国会で、菅さんがいた「社民連(江田五月代表)」は同じく野党で金権政治を批判していた「新自由クラブ(河野洋平代表)」と「新自由クラブ・民主連合」という会派を組んでいていたので、小政党ながら13議席あり、そこそこの質問時間は確保できていたようです。そこで、衆院の各委員会が動き出した3月23日の一般質疑に、1年生議員の菅直人さんが颯爽と登場しました。

[議事録から引用はじめ]

 私、この科学技術委員会において初めての質問をさせていただくわけですけれども、きょうは「むつ」の話とか原子力発電所の話とかいろいろ議論がなされたようですけれども、私の方からは、日本におけるエネルギー開発の中でのいわゆるソフトエネルギーといいましょうか、またクリーンエネルギーともいいますけれども、そういった開発の中で特に風力の問題、風の問題について二、三お尋ねをし、また、大臣の御見解を伺いたいというふうに思うわけです。

 エネルギー問題といいますと、石油がだんだんなくなるのではないか、石油がなくなったときに、まず議論をされるのが原子力ということですけれども、実は地球には毎年大変な量の太陽のエネルギーが降り注いでいて、それがただ直接に太陽の熱というだけではなくて、風を起こしたり波を起こしたり、いろいろな形でこの地球にエネルギーをもたらしている、そういうものをもし人類が使うようになれば、クリーンな形であるだけでなくて、まさに無限に再利用ができるリニューアルエネルギーという言い方もしているようですけれども、再生できるエネルギーになってくると思うわけです。
 そういう意味で大臣にまずお伺いしたいのは、こういうエネルギー政策の中において、そうしたソフトエネルギーないしクリーンエネルギー、そういったものの技術開発というものについて、大臣がどのような意欲で取り組もうとされているのか、御見解をお伺いしたいと思います。」

[議事録から引用おわり]

 というわけで、私も議事録を見て、驚いたのですが、29年前の1年生議員・菅さんは再生可能エネルギーとしての、風力について質問しています。そして、「私も、この風トピア計画の実施のころから大変関心を持っておりまして」と述べており、これより前から関心を持っていたことは議事録にしっかりと残っていました。私は菅首相を支持しながらも、人としての菅さんは大嘘つきとの前々から思っていたので、14日の菅答弁が事実で驚いてしまいました。

 「たとえ石炭にかわったとしても、石炭の液化がうまくいったとしても、石炭エネルギーも化石エネルギーとしていつかはなくなるわけですし、また、原子力発電の問題もいろいろな問題を抱えている。ウランがなくても、核融合になれば無限であると言えば言えますけれども、それもまたいろいろ問題を抱えている」と指摘しました。そのうえで、「もともと、太陽から地球に送られてくるエネルギーを一番いい形で使う技術が開発されれば、まさに未来永劫エネルギー問題については展望が開けてくる」と応用物理学科で学んだ造詣を感じさせる発言をしています。

 また、通産省資源エネルギー庁の役人とのやりとりでは、「そうすると、いまの電気事業の法律的な制約の中ではむずかしいということですか」と話、電力業界と自民党政権との構造的な問題に意識を持っていたと思われる発言をしています。

 それから、10回連続当選し、非世襲議員ながら内閣総理大臣となった菅さんが、求心力を落とすなかで、1年生時代の青春の思い出である、再生可能エネルギーの法律を仕上げようとしていることは十分に理解できます。

 なお、この議事録、中川一郎・大臣が最後の答弁で興味深いことを言っています。

 「サンシャインがあるから原子力は要らないのではないかということの口実に使う、利用する、乗り過ぎ、悪乗りこういうことがないようにひとつぜひ御理解をいただきたい、この辺をお願い申し上げておきます。菅委員にはその点ないと思いますが、(略)」

[国会議事録から引用はじめ]

第96回通常国会 衆議院 科学技術委員会 - 3号
昭和57年(1982年)03月23日

昭和五十七年三月二十三日(火曜日)
    午前十時二分開議
 出席委員
   委員長 近藤 鉄雄君
  理事 岸田 文武君 理事 小宮山重四郎君
  理事 保利 耕輔君 理事 与謝野 馨君
  理事 小林 恒人君 理事 関  晴正君
  理事 草川 昭三君 理事 和田 一仁君
      上草 義輝君    小沢 一郎君
      中村喜四郎君    平沼 赳夫君
      前田 正男君    村上  勇君
      五十嵐広三君    安井 吉典君
      山本 幸一君    吉田 之久君
      山原健二郎君    菅  直人君
 出席国務大臣
        国 務 大 臣
        (科学技術庁長
        官)      中川 一郎君
 出席政府委員(略)
 委員外の出席者(略)
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 参考人出頭要求に関する件
 科学技術振興の基本施策に関する件
     ――――◇―――――

○近藤委員長 これより会議を開きます。
 科学技術振興の基本施策に関する件について調査を進めます。
(中略)

○近藤委員長 菅直人君。

○菅委員 私、この科学技術委員会において初めての質問をさせていただくわけですけれども、きょうは「むつ」め話とか原子力発電所の話とかいろいろ議論がなされたようですけれども、私の方からは、日本におけるエネルギー開発の中でのいわゆるソフトエネルギーといいましょうか、またクリーンエネルギーともいいますけれども、そういった開発の中で特に風力の問題、風の問題について二、三お尋ねをし、また、大臣の御見解を伺いたいというふうに思うわけです。
 エネルギー問題といいますと、石油がだんだんなくなるのではないか、石油がなくなったときに、まず議論をされるのが原子力ということですけれども、実は地球には毎年大変な量の太陽のエネルギーが降り注いでいて、それがただ直接に太陽の熱というだけではなくて、風を起こしたり波を起こしたり、いろいろな形でこの地球にエネルギーをもたらしている、そういうものをもし人類が使うようになれば、クリーンな形であるだけでなくて、まさに無限に再利用ができるリニューアルエネルギーという言い方もしているようですけれども、再生できるエネルギーになってくると思うわけです。
 そういう意味で大臣にまずお伺いしたいのは、こういうエネルギー政策の中において、そうしたソフトエネルギーないしクリーンエネルギー、そういったものの技術開発というものについて、大臣がどのような意欲で取り組もうとされているのか、御見解をお伺いしたいと思います。

○中川国務大臣 代替エネルギーの重要性については御理解いただいておりますが、その中でソフトエネルギーの位置づけということでございます。ソフトエネルギーも、量的にも場合によっては相当大きなものもありますし、いろいろ利点もございます。しかしながら、現在の技術的段階では、季節的な問題だとかあるいは時間的な問題だとか、一カ所での発電量というものがきわめて限られる、あるいはコストが高い等々、現段階で大量のエネルギーとして使うことにはまだ定着しない、これはひとりわが国のみならず世界的な傾向でございまして、現段階では石炭とかあるいは天然ガス、並んでやはりコストの面、実用的な面では原子力ではなかろうか、こう言われております。
 ただ、このソフトエネルギー、風力を中心にして無視していいものかというとそうではない。これはやはり長期的なエネルギーとして十分関心を持っていかなければいけない、こういうことについては間違いのないことだと存じます。そこで、研究予算につきましても、自然エネルギー分野の拡充のために昭和五十四年度では八十億円、五十六年度では二百二十三億円、五十七年度予算でも二百四十三億円というものを計上いたしまして取り組んでおる次第でございます。
 ちなみに私も、科学技術庁が委託をして風力の研究をいたしておるのを、たしか石川県でしたか行って見てまいりましたが、一基一キロワット程度ということでございまして、まだまだ当面はむずかしいのではないかと思いますが、粘り強く研究することについて、そういった基本もありますので、努力はしていきたいと思っております。

○菅委員 半ば積極的であり、半ば消極的な回答だったように思うのですけれども、私は最初に申し上げたように、このエネルギー、特にこうしたソフトエネルギーの開発というのは、五年、十年の問題であるという以上に、ある意味では人類がこれから先永久に抱えている問題の解決の一つの大きな可能性があるんじゃないか。
 たとえ石炭にかわったとしても、石炭の液化がうまくいったとしても、石炭エネルギーも化石エネルギーとしていつかはなくなるわけですし、また、原子力発電の問題もいろいろな問題を抱えている。ウランがなくても、核融合になれば無限であると言えば言えますけれども、それもまたいろいろ問題を抱えている。もともと、太陽から地球に送られてくるエネルギーを一番いい形で使う技術が開発されれば、まさに未来永劫エネルギー問題については展望が開けてくる、そういう意味では、確かに現実の中でのむずかしさはあると思うのですけれども、もう少し日本の政府としても積極的な態度をとっていただけないかというふうに思うわけです。
 その中でもう少し具体的な問題をお聞きしたいのですが、科学技術庁として、これまでもクリーンエネルギーの問題、特にきょうは風の問題に的をしぼってみたいのですが、風、風力の利用について過去においても幾つかの研究をされており、現在、将来においてもされようとしているように聞いておりますけれども、その概要をお聞かせいただきたいと思います。

(中略)

○菅委員 あわせて、きょう資源エネルギー庁の方にもおいでいただいていますので、資源エネルギー庁関係で行われているクリーンエネルギーの計画、特に風力について、いまの現況なり過去の実績なりの概要をお知らせいただきたいと思います。

○清木説明員 通産省で実施しております風力の研究開発につきまして、特にサンシャイン計画の関係の風力の開発について御説明させていただきます。(略)

○菅委員 科学技術庁にもう一遍戻りたいのですけれども、先ほど風トピア計画の話をしていただいたのですが、私も、この風トピア計画の実施のころから大変関心を持っておりまして、たしか、三カ所において八基ですか、風車を設置されていろいろとやられてみた。たしか、このときの実験といいましょうか実証実験は、いまも言われたように比較的小さい、一キロから二キロワット程度の発電についてやられたと思うのですけれども、ここに、いろいろ調査結果の概要とかというのが出ているわけですけれども、この内容が、これからの可能性があるという評価だったのか、いや、これはいろいろやってみたけれどもなかなかうまくいかないという評価だったのか。せっかくなさった風トピア計画の結果と、それから次に、いま言われました二千キロワット程度の風力の実験とがどういう形でつながっているのか、そのあたりについてはどうですか。

○下邨政府委員 風トピア計画につきましては、御指摘のように三カ所で行いました。愛知県の武豊町とそれから群馬県の安中市と石川県の金沢市、それぞれ条件の違います三カ所で行いました。温室の冷暖房に使うとか、電気自動車の充電に使うとか、あるいは養魚水槽の加温とか、誘ガ灯の点灯、そういうものに使うというようなことで検討したわけでございます。(略)

○菅委員 少し細かい内容に入りますけれども、私もきょう、ちょうどここへ来る途中、部屋で「フォト」という、これは政府関係のあれだと思いますが、四月一日号に「春風にアイデア風車花ざかり」と書いて、あちこちの風車が出ていまして、大体小型の風車を使っていろいろやっておられる。
 それで、大臣の北海道でも、昔から山田さんという人が開発をした風車が幾つか、もう五十年くらい前から使われていて、それが五十年後にも動いていたというので、いまから数年前にも何かテレビのカメラが入ったり、いろいろあるようでして、私、この風力について、きょうの質問に当たっていろいろと準備をしたときに、この風トピア計画では非常に小さい風車を使われているわけですね。それはそれなりに、いまの話でもわかるように機能した。確かに、一つ当たりのエネルギーの出る量はそれほど膨大ではないけれども、まあコンパクトなもので言えば、それなりに機能した。部分的には、特に離島とか、配線がしにくいようなところでは、経済性も、限られた場所ですけれども十分あり得るのじゃないか。
 それが、次の計画になっていま言われていた二十キロ級の計画になると、今度は非常に大きなブレードを使った、いわゆる風車を使った計画になっている。サンシャイン計画の中身をいろいろ聞いてみますと、これまた三十メートル近い風車を使ってやっている。実は、私も二年ほど前にアメリカのデンバーにあるウインドテストセンターというところで幾つかの風車を見てきたのですけれども、確かに、大きい風車である程度機能しているところもあるようですが、逆に、小さな風車をもっとたくさんつくるようなやり方があるのじゃないだろうか。これは専門的な議論になってしまいますと私もよくわかりませんけれども、たとえば、一つだけそのポイントを挙げてみますと、この風トピア計画のときの風力の強さというのは、大体どのくらいの平均風力だったということになっていますか、ちょっと質問途中ですが……。

(中略)

○菅委員 そうすると、いまの電気事業の法律的な制約の中ではむずかしいということですか。それともいまでも可能だということですか。

(中略)

○菅委員 (略)時間もほとんどありませんので、もう一度最後に大臣に伺いたい。
 これは科学技術庁には限りませんけれども、たとえば石油代替エネルギー法などを見ていても、または石油代替エネルギーの開発にかける国の補助金の総額とかにしてみても、原子力にある程度の費用をかけることそれ自体は、科学の進歩のために危険性をいろいろ除去する上でも必要かと思いますけれども、もう一つの道であるこういった自然エネルギーの道が、先ほど言われた五十五年で八十七億ですか、五十六年で二百二十三億、五十七年で二百四十三億なんといったら、これがどの程度の大きさか大臣はよく御存じだと思います。まさに微々たるものでして、決して相当力を注いでいると言えないと思うのですけれども、科学技術庁の長官として、こういったことについてこれからさらに大いにがんばりたいとか、何かそういった大臣の御意見を伺って、私の質問を終わらせていただきたいと思います。

(中略)

○中川国務大臣 非常に外国のことも勉強されまして、いろいろと御提起をいただきまして、まことにありがとうございました。
 ただ、金額をもって力の入れ方を判断していただいても、御承知のように原子力ということになれば非常に高度の技術が必要である、したがって、研究費もかさまなければならないものである。風力その他については、原理その他はもう大体わかっておりまして、あとは実用化するのに低コストになるためにはどうする、あるいはいま言ったような電気の貯蔵というのですか、使わないときの電気をどうするというような問題もありますので、これから研究していくことについてはやぶさかでなく、金額も二・八倍とかふやしているわけでありますから、防衛費じゃないけれども突出をいたしておりまして、その辺も理解していただきたいし、せっかくの御提言ですから、一生懸命努力していきたいと思います。
 ただ、ここでお願いしておきたいのは、サンシャインがあるから原子力は要らないのではないかということの口実に使う、利用する、乗り過ぎ、悪乗り、こういうことがないようにひとつぜひ御理解をいただきたい、この辺をお願い申し上げておきます。
 菅委員にはその点ないと思いますが、これも必要だが、そういうこともありますということも知っていただきたい。非常に高い両面ということでございますから、その点は高く評価いたしておるところでございます。

○菅委員 終わりにしようと思ったんですが、私の質問にないことまで言っていただきましたので……。
 私は、基本的には、こういう科学技術というのはツーウエー、スリーウエーでいいと思うのです。ただ、やはりそのときのバランスというものがあって、九九・九%こちらだけで、あと〇・一%――それこそ私からも大臣に申し上げたいのは、少しばかり費用をつけているからといって、そういった自然エネルギーについても力を入れてないのではないのだという言いわけに使われないようにぜひお願いをして、質問を終わらせていただきたいと思います。

○近藤委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後五時五十二分散会

[国会議事録から引用おわり]


国会延長を受けて、今後の政治日程を更新しました。

2011年06月23日 14時21分49秒 | 第177常会(2011年1月)大震災・3党合意

 第177回国会の延長を受けて、今後の政治日程 by 下町の太陽・宮崎信行を更新しました。70日間の延長と言うことで、与党が「60日ルール」を使う可能性もあるので、その辺りの想定も加えました。また、第3次補正予算案は、次期国会という観測が浮上していますが、その辺に関して、自分の考えに基づいて、盛り込みました。

 http://regimag.jp/b/sample/list/?blog=65

 こちらのブログは有料ブログで、月840円(税込み)となります。初月度無料ということで試し読みできますので、いつからでもご登録いただけます。なお、今月は初月度無料の試し読みの方が多いので、いつも以上にがんばっております。

 こちらの無料ブログは「NTTレゾナント社」の「gooブログ」ですが、有料ブログは渋谷ビットバレーの「レジまぐ社」という会社の「レジまぐ」というシステムで提供しております。

 これまでのクレジット払いに加えて、「ポイント」を、コンビニ払いや銀行振り込みで購入して頂き、そのポイントを今後の政治日程 by 下町の太陽・宮崎信行の購読に充てていただくことができます。ですから、個人だけでなく、法人として購読していただくこともできます。

 なお、購読者の情報は筆者には、「年代」「性別」の2つしか見えておりませんので、ご安心ください。また、システムの関係で、有料ブログはログ解析ができませんので、ご意見などは、私のメールアドレスにいただければ、参考になります。

 余談ですが、こちら無料ブログの方は、昨日(2011年6月22日)、ブンブンカウンター(リアルタイム解析)の「リモートホスト」解析ーーまあ、私のこの辺のIT用語にはついて行ききれない面もありますが(^^;)ーー、「host3.shugiin.go.jp」からのアクセスが第1位となりました。私の記憶する限り、2007年8月4日のブログ開設以来、初めてだと思います。“業界視聴率”が高いということになりますが、あくまでも、自分の思うことを書くということに徹します。なお、「host3.shugiin.go.jp」のどのパソコンからアクセスがあったかどうかまでは分かりませんから、これからもドンドン今のパソコンから安心してご覧ください。

今後の政治日程 by 下町の太陽・宮崎信行」の購読のしかたは、下のアドレスや、レジまぐ社へのメールなどでご確認下さい。

レジまぐのブログ「今後の政治日程 by 下町の太陽・宮崎信行」の購読のしかたについて、
http://regimag.jp/navigation/buy


「レジまぐ事務局」のメールアドレスは、info@regimag.jp です。


70日間延長決定 第177通常国会は2011年8月31日(水)まで 220日間は国会史上5番目の長さ

2011年06月22日 16時44分12秒 | 第177常会(2011年1月)大震災・3党合意

【2011年6月22日(水) 衆院本会議】

 衆議院は22日の本会議で、第177回国会の会期を「70日間延長」し、8月31日(水)までにすることを決めました。国会法13条により、衆院の議決が優先しました。

 国会法12条では通常国会(常会)の延長は1回のみですので、

 第177回通常国会(常会)の会期は平成23年(2011年)1月24日(月)から同年8月31日(水)までの220日間となりました。

 民主党政権での会期の延長は、第174臨時国会以来2度目。
 通常国会の延長は2年ぶりで、民主党政権としては初めて。

 第71回特別国会(第2次田中角栄内閣)の280日間、第96回通常国会(鈴木善幸内閣)の244日間、第13回通常国会(第3次吉田茂内閣)の235日間、第61回通常国会(第2次佐藤栄作内閣)の222日間に次いで、国会史上(あるいは憲政史上でも)5番目に長い会期の国会となりました。

 衆本は、午後1時の設定でしたが、3時間遅れた、午後4時から開かれました。

 横路孝弘議長が、「会期を70日間延長して、8月31日までとしたい」と発議。

 民主党を代表して「会期延長」の賛成討論に立った高山智司(たかやま・さとし)さんは「(今第177回通常国会では)ここまで67本の閣法、16本の議員立法、12本の条約が通っている」として、野党会派への感謝の念を示しました。「震災復興に与野党はありません」「我々はただひたすら働き続けるしかありません」「震災復興に夏休みなし!会期を8月31日(水)まで延長し、(与野党の)みなさん、全力で働きましょう!」と述べました。

 また、高山演説では、「この国難を乗り越えるには、与党も野党も歩み寄るべきところは歩み寄る。譲るべきところは譲る。そうしないと乗り越えられません」「私たちの仕事は法律と予算をつくることです」「なによりも大切なことは、復興の道筋をつける本格的な第3次補正予算を早期に成立させることです」と含みを持たせて呼びかけましたが、この「3次補正」が今国会中になるのか、次の国会になるのかが焦点となります。仮に首相を代えるとなると、今国会および8月末に間に合わず、遅れることになります。8月22日(月)の週に3次補正を提出すると、ギリギリで会期内に成立させられる可能性もあります。しかし、仮に代表選や首班指名があるとまずムリです。ここが味噌の「70日間延長」というアイディアであると思われます。ここ数日、「いったい会期の延長と延長幅に何の意味があるのか?」と思っていた人が多いでしょうが、通常国会の延長とその延長幅には、「この国のかたちに対する思想」が結集した議案だと私は考えています。

  会期の延長に関する与党の賛成討論には、国会運営で評価の高い若手議員が起用される傾向があります。これは国会全般の流れについて、深い理解が必要だからです。民主党議員が与党議員として、会期の延長の賛成討論に立ったのは、きょうの高山智司さんが結党以来初めてとなりました。第173回臨時国会の延長時には、民主党による賛成討論はありませんでした。このときは、当時の小沢一郎幹事長が山岡賢次・国対委員長に指示して、与党・民主党の演説は省かせたため、議長の発議の後、野党の反対討論が行われ、その後の、採決の結果、発議が圧倒的多数で「賛成」されるという流れがおかしい議事録が残ってしまいました。このため、「政権交代の夏」から3ヶ月と余韻が冷め切っていない1年生議員が大いにクビをひねりました。ただ、この少し前に、小沢幹事長の依頼で講演した東大前総長が「通年国会」に言及したことから、多くの1年生議員が次々とブログで「通年国会が必要だ」と記したので、つくづく「洗脳って恐いな」と恐れおののきました。

 閑話休題。

 これに先立ち、自民党は木村太郎さんが反対討論。高山討論につづいて、公明党は反対の立場から討論に立ち遠藤乙彦・議運理事が「不信任案を出したら、前日に(民主党小沢グループが)70人結集した」「それで代議士会での菅首相の発言につながった」とし、「総理の延命と保身のための会期延長だ」としました。日本共産党の佐々木憲昭さんは賛成討論しました。社民党は服部良一さんが賛成討論をしましたが、話し合いが「大政党だけだった」と注文をつけました。みんなの党も山内康一さんが賛成討論し、同党が「通年国会を主張している」ので、70日間の延長幅は「まことに不十分だ」と述べました。起立採決の結果、賛成多数で議長の発議通り、会期は8月31日(水)まで延長されました。

 〈延長国会の見通し〉

 今次延長国会では、衆・財金委にとどまっている「特例公債法案(平成23年度赤字国債発行法案)」(177閣法1号)、衆・経産委に付託されている「再生可能エネルギーの全量固定価格買い取り法案(177閣法51号)や、衆・予算委員会での「平成23年度第2次補正予算案(未提出)」などが議題となります。また、衆・厚労委での「10月1日以降の子ども手当に関する法案」(民自公政調会長が協議中)、「二重ローン対策法案」が議題となると思われます。

 延長国会のカギとなるのは、やはり予算です。「2次補正(復旧テコ入れ補正)」は、おそらく7月下旬提出~8月上旬成立という流れになりそうな気配です。

 ねじれ国会のなか、与野党および官邸の協議で、70日間延長に成功した7首脳、なかんずく岡田幹事長の功績はきわめて大きいものがあります。朝日新聞によると、官邸官僚が「歴代政権でも首相退陣をめぐるかけひきや混乱はあったが、ここまで表に出てしまうことはなかった」と苦笑した、ということで、「クリーンでオープンな民主党」という菅さん、岡田さん、枝野さんら非世襲グループによる「クリーンでオープンな民主党」路線が続くことになりました。なんとか、世襲グループに政権を奪い返されないよう、国民みんなで支えていきましょう。

〈会期延長に成功した岡田幹事長ら民主党7首脳が続投〉

 各会派の延長の話し合いに失敗して、ハプニング的に閉会してしまった例は過去にあります。福田赳夫首相(自民党総裁)時代の第82回臨時国会は、会期末の11月25日に、(再)延長に失敗し、いろいろな法案が廃案や閉会中となりました。そこで、内閣改造のうえ、1週間後の12月3日に天皇陛下に召集詔書を公布していただき、12月7日から12月10日までの4日間の第83回国会を開きました。この国会では所信表明演説はヒラから図に、前国会で失敗した各法案(離職者対策諸法案、国鉄運賃法改正案、健康保険法など改正案、防衛2法案、国家公務員給与改定5法案)を処理しました。第82臨時国会の不手際については「各派間の話し合いが難航しているうちに時間切れが迫り、本会議を再開したが、法案の審議は一切行われないまま散会した。このため、(略)いずれも審査未了となるという波乱の幕切れとなった」と記されています(『議会制度百年史』の『国会史(下巻)』=衆議院・参議院編、大蔵省印刷局発行=の120ページ)。

 このときとは違い、民主党幹事長の岡田克也さんがねばり強く各会派をとりまとめ、菅直人首相を説得することで会期延長に成功し、最終的には民主党7首脳(菅直人さん、岡田克也さん、枝野幸男さん、仙谷由人さん、輿石東・参院議員会長、安住淳さん、玄葉光一郎さん)がひきつづき政権の重荷の旗振り役を続投することになりました。会期延長により、6月~8月の間に、民主党代表選による政治空白が生まれる可能性はなくなりました。

 明治憲法(大日本帝国憲法)ではその第42条で「帝国議会は3ヶ月をもって会期とす」として、「必要ある場合においては勅命をもって延長することあるべし」となっています。いったん、話が横にそれますが、明治憲法39条には「両議院(衆議院 or 貴族院)の一つにおいて否決したる法律案は同会期中において再び提出することを得ず」となっており、「一事不再議」が憲法で決まっていました。では、なぜ現行法制で憲法どころか国会法にも「一事不再議」がないかというと、現行憲法で初めて国会は予算を審議できることになったので、補正予算が「一事」になるのかどうかという問題があるのが最大の理由です。ですから、「一事不再議」は議会政治の大前提である「会期独立の原則」に基づき、「一つの会期における国会の意思決定は一つ」という考え方に基づくものです。ですから一事不再議は憲法を超越した憲政の常道であると私は考えています。つまり第177回国会として、「内閣を信任」した後に「内閣を不信任」したら、その間に何があったのか、プロセスが歴史のブラックボックスと化してしまいます。だから一事不再議は重要な原則なのです。このことについて、衆議院の職員を経て自由党など参院議員を務めた人が「一事不再議は審議の効率性のため」という解説をしていますが、それは信頼と慣例を積み重ねてできている議会政治の長年のルール、日本で言えば憲政の常道をあまりよくご存じないのではないかと感じざるを得ません。

 閑話休題。

 70日間の延長により、この6月~8月の間に民主党代表選が実施される可能性はなくなりました。ただし、会期がこれより早く終わる可能性は一つだけありますが、今回民主党7首脳が6月2日前後からの不信任案否決をめぐる大波に耐え、会期延長・現体制続投に成功した以上、菅首相の一存でそれ(解散)をするのは厳しく、解散はないと思われます。

〈延長された「正念場(性根場)国会」で試されるのは、岡田克也さん〉

 第2次田中角栄内閣が総選挙の12日後から会期280日間の特別国会(第71回国会)を開いたことがあります。この例からすると、やはり2009年9月16日召集の第172特別国会を4日間ではなく、280日間くらいやって、政治主導確立法、国会法・内閣法・国家行政組織法・衆議院規則・参議院規則を一気に改正してしまった方が良かったと悔やまれます。つくづく、野党・民主党の政策ではなく、統治法の準備不足と、鳩山代表・小沢幹事長のロングスパンの展望を欠いた国会運営が残念でなりません。

 昨年は第22回参院選を控えていたため、延長せず、請願などの継続審議ができないという残念な会期切れとなりましたが、民主党7首脳はなんとか土俵際で逃げ切りました。「3・11」以降の国会劇場は役者(政治家)の性根があらわれる正念場国会となりましたが、さらに延長国会となりました。歌舞伎十八番の内『勧進帳』では、義経を守る弁慶と富樫の「山伏問答」の後、再度富樫が登場してくる場面「弁慶の戦(いくさ)物語」があります。富樫に酒を勧められた弁慶が延年の舞を踊ることになります。義経が菅さん、富樫が自民党なら、弁慶は岡田さんということになります。岡田さんが延長国会の閉幕まで延年の舞を踊ることになるのか。これは正直、私も分からない。1月に「正念場」、3・11には「こういうときこそ人は見られている」と語った岡田さんですが、どうやら延長国会で性根をイチバン見られることになる主役は、岡田克也さんということになりそうです。


国税と地方税の一部改正法が成立 つなぎ切れ8日前セーフ

2011年06月22日 10時50分48秒 | 第177常会(2011年1月)大震災・3党合意

[写真]税の一部改正法の与野党修正協議をてがけた藤井裕久・首相補佐官(プレス民主からキャプチャーのうえ、トリミングさせていただきました)

【2011年6月22日(水) 参院本会議】

 いよいよ会期末の朝となりました。しかも夏至です。第177通常国会は8月31日(水)までの70日間延長され、会期220日間となる見通しです。この間、菅直人首相は続投できる可能性が高まりました。また、世襲議員グループの「参院自民党」が提出をちらつかせていた「菅首相問責決議案」の提出は不発に終わったもようです。

 参院本会議が午前10時に開会しました。「国税の一部改正法(閣法82号)」と「地方税の一部改正法(閣法83号)」が、与野党各党(日本共産党を除く)の賛成多数で、可決・成立しました。天皇陛下の御名御璽が入り、公布され、官報に載ります。

 参院本会議の押しボタン式の投票では、

 国税の一部改正法が「投票総数236、賛成230、反対6」

 地方税の一部改正法が投票総数が「238、賛成232、反対6」

 でした。各議員の投票行動(賛成、反対)は次のホームページから見ることができます→ http://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/vote/177/vote_ind.htm

 なお、実際の議事日程は、藤末健三総務委員長、藤田幸久財政金融委員長の順番で行われました。

 前日(21日)の審議と採決では、総務委員会で自民党の片山さつきさん、財金委員会で自民党の佐藤ゆかりさんが付帯決議を提出。両案とも、日本共産党が反対討論をしたうえで、各党の賛成多数で可決していました。

 やれやれ、ホッとしました。

 この法には、住宅購入時の登録免許税の軽減、中小企業の法人税率の軽減、雇用を促進するために従業員を増やした企業への税制上の優遇措置、NPOなど寄付金税制の拡充、航空機燃料税の引き下げ、証券軽減税率の2年間延長などが入っており、多くの項目では、国税だけでなく、地方税での措置も含まれているようです。

 なお、私の認識では、相続税の基礎控除額の5000万円→3000万円の引き下げと税額の50%→55%への引き上げは見送られたと思います。それと国税通則法の廃止(抜本的見直し)も見送られ、国税通則法という法律は存続することになっていると考えます。この辺は、おそらく税理士さんでも対応できていない人がいると思いますので、直接税務署や国税庁の事務センターなどに問い合わせることをおすすめします。

 これにより、6月30日までのつなぎ措置だった、国税と地方税の税制改正にめどがつきました。なおも、国税は閣法2号と地方税は閣法4号を内閣が修正し、議案として延長国会に残ります。しかし、歳入全体にしめる影響は、いまだに衆院委員会に残っている「特例公債法案(平成23年度の赤字国債を発行する法案)」(閣1)に比べれば軽微ですので、このまま、閣法82号と閣法83号のまま、平成23年度が進むことになりそうな気配を感じています。

 この租税特別措置などのつなぎを踏まえて、6月30日までに、自民党も賛成できる項目を閣法2号、閣法4号から抜き出して法案をつくる修正協議は、民主党は首相補佐官の藤井裕久さん(昭和30年大蔵省入省)、自民党は元自治大臣の野田毅さん(昭和39年大蔵省入省)が担ったそうです。大蔵省の先輩・後輩で、国会議員および「自由党幹事長」としては野田さんが先輩になります。それと野田さんは、どうも「与党政治家らしさ」が強いように私には思え、こういう修正協議では国家国益を優先するタイプだと考えます。この辺は、岡田克也幹事長らの人選が良かったんだろう、と考えます。まあ、野田さんも、まさか未来予想図の「野田財務大臣」が新進党時代の1年生議員の野田佳彦さんとは思っていなかったでしょう。野田聖子さんというのは若干ケーカイしていたかもしれませんが、新進党解党後に、小沢一郎氏から離れていった当選5回生の佳彦さんが財務大臣、小沢氏についていった毅さんは当選13回生にして野党第1党で無役という悔しさを、修正協議にぶつけたのなら、報われたように思います。

 このように、以前は、税制論議には、党人派の山中貞則さんなどがいましたが、最近では、せめて通産官僚(尾見孝次さん、町村信孝さん)がいるくらいで、ほとんど財務官僚(伊吹文明さん、津島雄二さんら)でないと取り扱えない状態になっています。「代表なくして課税無し」が議会政治の発祥ですが、最近の民主党議員は、税調で、特定業界の「免税継続」を訴えたり、税と社会保障の一体改革で「消費税引き上げに反対」するなどといった木を見て森を見ず、の議論ばかりで、ていねいに、税制を体系的に勉強している議員がいないように思えます。たいへん憂慮すべき事態です。

関連エントリー)衆院通過時のエントリー

ねじれ国会の難題1つ解決 6月30日つなぎ切れの税制改革法案が衆本を通過

 なお、参院本会議では、大震災のための金融機能強化・金融機関再編特措法(閣法73号)、総合特区法案(閣法27号)も可決・成立しました。

 この後、午後の衆院本会議で会期延長が決まります。

asahi.com(朝日新聞社):税制改正修正法成立 法人減税や所得・相続増税は先送り - 政治

 2011年度税制改正修正法が、22日の参院本会議で賛成多数で可決、成立した。認定NPO法人に寄付した場合の優遇税制拡大や、従業員を増やした企業を減税する雇用促進税制などを盛り込んだ。法人税減税や所得・相続増税など、当初の改正案の根幹部分は今後、改めて与野党で協議する。

 税制改正法案は、毎年3月末までに成立させるのが慣例。今年は野党の反対で成立が遅れていたが、民主党と自民、公明両党が今月8日に一部項目の修正で合意。期限が切れて増税になると企業や国民生活に影響が大きい租税特別措置を3カ月延長する「つなぎ法」の期限が6月末に迫ったため、与野党の合意項目だけ切り離して成立させた。

 修正法には、離島航路の航空機燃料税や不動産売買契約書につける印紙税の軽減など6月末で切れる租税特別措置の12年3月末までの延長や、低額年金所得者の申告不要制度の創設、11年末に期限が切れる証券優遇税制の2年延長なども盛り込まれた。


ついに藤井裕久さんが「外為特会元本の取り崩し」に言及

2011年06月21日 09時24分03秒 | 第177常会(2011年1月)大震災・3党合意

[写真]藤井裕久さん(筆者撮影)

 ついに藤井裕久さん(昭和30年大蔵省入省)が、ナント外国為替特別会計(外為特会)の元本部分(外貨準備高)の取り崩しについて言及しました。まさに、日本が変革期、正念場を迎えていることを感じさせました。

 発言は、2011年6月20日夜放送のBS11番組の「インサイドアウト」の中で飛び出しました。

 藤井さんは、税と社会保障の一体改革に関して説明した後に、いわゆる霞が関埋蔵金について話しました。

 「埋蔵金といっても、たいていスッカラカンなんですが、(およそ円換算で100兆円前後になる)外為会計(は大きな埋蔵金)ですねえ。(外為特会からの繰り出し分を)一般会計に入れると、技術的には、ドルを売って、円を買うので、ますます(1ドル=80円よりも)円高になっちゃうんですよねえ。(現状では、埋蔵金は)外為(特会)は残してあります。他はスッカラカンです」と述べました。

 司会の二木啓孝さんが「米国債を売るということですか?」と合いの手を入れると、藤井さんは「それですよ」と述べ、外為特会の元本部分である、米国財務省証券の売却という長年のタブーに驚くほど、あっさりと言及しました。そして、「(米国債を売ると、)円が高くなりますから。(外為特会の所管官庁である財務省は)通貨当局の責任者なんですから」として、財務省内で外為特会を担当する理財局と通貨当局を担当する財務官・国際局がおなじ省内である以上、現状では外為特会の元本は取り崩しにくいとしました。しかし、念押しをするように、「でも、議論しないといけない」と明言しました。大蔵・財務官僚出身者が、テレビで公然と外為特会の取り崩しに言及したのは、私が知る限りは、明治維新とそれに続く太政官布告から143年目にして初めてなのではないでしょうか。

 これについては、2011年4月29日の民主党幹事長の岡田克也さんが定例記者会見で言及しており、当ブログでも岡田幹事長、「外為特会の元本に手をつけられるか検討」、タブーに1歩踏み出すというエントリーにまとめてあります。また、野党時代の2008年10月2日に、大塚耕平さん、大久保勉さん、そして菅直人さんの3人が財務省理財局を視察したことで大きな話題を呼びました。

 「3・11」後の不安定さは、未来が生まれてくるビッグバンなのか。この議論、藤井さんや岡田さんがやるなら、ぜひ背中を押したいと考えます。


「枝野幸男さんは私が育てた」法案提出者としての答弁「チャンスどんどんいかして」岡田幹事長

2011年06月21日 06時33分56秒 | 第177常会(2011年1月)大震災・3党合意

[写真]左上から時計回りに、民主党の岡田克也さん、枝野幸男さん、岸本周平さん、後藤祐一さん。

 2011年6月20日(月)の参院本会議でやっと、「東日本大震災復興基本法」が成立しました。提出者は、民主党の黄川田徹さん、後藤祐一さん、公明党の石田祝稔(いしだ・のりとし)さん、自民党の加藤勝信さんでした。ポイントは「復興庁」「復興債」「復興特区」の3点セットで、もともと公明党が使い出した言葉が3つとも盛り込まれた格好です。この後は、内閣府復興庁の設置法案が延長国会に出てくると思います。日本はセクショナリズムの縦割りですから、「細く長くよろしくお願いします」(衆院審議での岩手1区選出の階猛さんの質問)という東北復興のためには、スーパ官庁「復興庁」をつくって、各省から権限を剥がしてきて、集めるというのは官僚機構の風土にあっています。人事では、なるべく「片道切符」で行ってもらう、東北出身者などから「志願兵」を募るかも良いかもしれませんね。かつて総理府(現在の内閣府)にあった沖縄開発庁は1972年~2000年橋本行革までありました。復興庁は、2011年(2012年?)~2030年ぐらいまでのスパンになるのでしょうか。むしろそのくらいに考えた方が、被災者の方にとっても気が楽なような感じもします。

 さて、以前のエントリーにも書きましたとおり、民主党1年生議員の神奈川16区の後藤祐一さん東日本大震災復興基本法(第177国会衆法13号) 、和歌山1区の岸本周平さん が改正NPO促進法(第177国会衆法12号)を提出者として成立させました。両法案は、ともに、与野党の修正協議のうえ、委員長が起草した議員立法です。

 
[画像]参院本会議で答弁する後藤祐一さん(参議院インターネット審議中継)と参院内閣委員会で答弁する岸本周平さん(本人ブログ)

 これについて、1年生議員の校長先生、岡田克也幹事長に、20日の定例記者会見で聞いてみました。

 岡田さんは、「提案者になるのは、あまり期(当選回数)は関係ないんですね。与野党で(法案の修正)協議して、中心的な役割を果たしたからこそ、提案者、答弁者になっている」という傾向があることを明かしました。そして、「1期生であれ、国会の場で答弁するということは、蓄積も必要ですし、経験も必要ですし、良い勉強になります」「まあ、そういう活躍をしていただくことは大歓迎ですし、チャンスはどんどんいかしてほしい」としたうえで、質問者は「少し鍛えるという意味で、与党であれ、野党であれ、厳しい質問もしてほしいと思います」という「岡田流やさしさ」を見せました。

 そして、伝説の第143臨時国会(金融国会)の政策新人類として一躍スター政治家に躍り出た当時34歳の枝野幸男さんを例に挙げて、「提案者に対して、質問する機会があったんですが、まあかなり突っ込んだ質問を枝野提案者にいたしました」と語りました。

 で、この枝野VS岡田の議事録を調べてみました。

 1998年9月8日(火)の衆院・金融安定化に関する特別委員会で、提案者には、民主党から現経産副大臣の池田元久さん、元内閣官房副長官の古川元久さん、官房長官の枝野幸男さん、そして公明党からは現在は政調会長の石井啓一さんらが名を連ねています。政府側の答弁者は宮澤喜一・大蔵大臣でした。

 岡田さんは「民主党の岡田克也です。きょうは、野党三会派の法案について質問をさせていただきたいと思います。質問をする以上、同じ党とはいえ、聞くべきことはきちんと聞く、そういう姿勢で聞かせていただきたいと思いますので、よろしく御答弁をいただきますようお願いします」と切り出しました。そしてまずは「金融再生委員会」(現在の金融庁)がなぜ、国家行政組織法(行組法)3条に定めた「3条機関」と位置づけたのか、という実にオーソドックスで大事な質問からスタートしました。

 そして、この議員立法の条文を精査していて、法の28条について、「ですから、客観的な条件が28条の適用のためには必要ですが、そういうものを満たしておれば、(金融機関が)みずからが払い戻しの停止のおそれがあると認めてそういう申し出をしてくる」「原則的には、金融再生委員会は28条でそれを受けとめて、そして一定の要件がそろえば手続に入っていく、その導入のための規定になるということですね」「これは、おそれですから、(中略)銀行自身がみずからおそれがあると思ってこの申し出をすれば、おそれがあると自分が言っているわけですから、28条でそれを受けとめて、その手続に要件がそろえば入っていく、こういうふうに理解していいですね」と畳みかけます。

 そうすると、枝野提案者は「まさに今御指摘のとおりでありまして・・・」と、34歳にしてすでに閣僚かと見間違うような語り口で、「そういったことから公的管理等に入っていくというケースが、むしろ場合によっては、特に初期の段階は、金融再生委員会が立ち上がっても、そのしっかりとしたルールに基づいての検査というのが終わるまでの間というのは、もしかするとそういったケースの方が多いのかもしれないというふうに思っています」と、今の枝野答弁と比べると、ずいぶんしどろもどろのようにも感じますが、よく考えながらしゃべっているのが議事録からうかがえます。

 当時の岡田さんと枝野さんは、民主党の初代執行部で、政調会長代理と筆頭副会長という、政調の「ナンバー2」と「3」のコンビでした。その前から、民主党結党準備会で、政策すりあわせチームに各々の所属政党の代表者として侃々諤々やっていましたから、その岡田さんから、厳しい”ノック”が飛んでくるとは枝野さんもゆめ思わなかったでしょう。

 岡田さんは「枝野さんからは『なんかずいぶん厳しかった、自民党の質問者よりも厳しかった』と後で文句を言われましたが、そういうこともあってもいい」として、民主党を13年間かけて、政権政党に作り上げてきた自負を感じさせました。



[国会議事録から引用はじめ]

第143臨時国会(小渕恵三首相、いわゆる「金融国会」)

衆議院 金融安定化に関する特別委員会 11号

平成十年(1998年)九月八日(火曜日)
    午前十時一分開議
出席委員
  委員長 相沢 英之君
   理事 石原 伸晃君 理事 藤井 孝男君
   理事 村田 吉隆君 理事 保岡 興治君
   理事 山本 有二君 理事 池田 元久君
   理事 中野 寛成君 理事 坂口  力君
   理事 谷口 隆義君
      愛知 和男君    伊藤 達也君
      伊吹 文明君    岩永 峯一君
      江渡 聡徳君    大野 松茂君
      大野 功統君    金田 英行君
      河村 建夫君    熊谷 市雄君
      倉成 正和君    佐田玄一郎君
      滝   実君    津島 雄二君
      中谷  元君    西川 公也君
      蓮実  進君    宮本 一三君
      目片  信君    望月 義夫君
      山本 公一君    山本 幸三君
     吉田六左エ門君    渡辺 喜美君
      上田 清司君    枝野 幸男君
      岡田 克也君    海江田万里君
      北村 哲男君    佐々木秀典君
      仙谷 由人君    古川 元久君
      細川 律夫君    石井 啓一君
      上田  勇君    大口 善徳君
      並木 正芳君    西川 知雄君
      鈴木 淑夫君    西川太一郎君
      西田  猛君    佐々木憲昭君
      佐々木陸海君    春名 直章君
      濱田 健一君
 出席国務大臣
        大 蔵 大 臣 宮澤 喜一君
 出席政府委員

(中略)

 委員外の出席者
        議     員 池田 元久君
        議     員 枝野 幸男君
        議     員 古川 元久君
        議     員 石井 啓一君
        議     員 西川 知雄君
        議     員 鈴木 淑夫君
        議     員 谷口 隆義君
        衆議院法制局第
        二部長     窪田 勝弘君
        最高裁判所事務
        総局民事局長  石垣 君雄君
        参  考  人
        (金融危機管理
        審査委員会委員
        長)      佐々波楊子君
        衆議院調査局金
        融安定化に関す
        る特別調査室長 藤井 保憲君
    ―――――――――――――
委員の異動
(略)
   ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 参考人出頭要求に関する件
 不動産に関連する権利等の調整に関する臨時措
 置法案(内閣提出第一号)
 金融機能の安定化のための緊急措置に関する法
 律及び預金保険法の一部を改正する法律案(内
 閣提出第二号)
 債権管理回収業に関する特別措置法案(保岡興
 治君外三名提出、衆法第一号)
 金融機関等が有する根抵当権により担保される
 債権の譲渡の円滑化のための臨時措置に関する
 法律案(保岡興治君外三名提出、衆法第二号)
 競売手続の円滑化等を図るための関係法律の整
 備に関する法律案(保岡興治君外四名提出、衆
 法第三号)
 特定競売手続における現況調査及び評価等の特
 例に関する臨時措置法案(保岡興治君外四名提
 出、衆法第四号)
 金融機能の再生のための緊急措置に関する法律
 案(菅直人君外十二名提出、衆法第五号)
 金融再生委員会設置法案(菅直人君外十二名提
 出、衆法第六号)
 預金保険法の一部を改正する法律案(菅直人君
 外十二名提出、衆法第七号)
 金融再生委員会設置法の施行に伴う関係法律の
 整備に関する法律案(菅直人君外十二名提出、
 衆法第八号)
     ――――◇―――――

(前略)

○相沢英之委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。岡田克也君。

○岡田委員 民主党の岡田克也です。
 きょうは、野党三会派の法案について質問をさせていただきたいと思います。質問をする以上、同じ党とはいえ、聞くべきことはきちんと聞く、そういう姿勢で聞かせていただきたいと思いますので、よろしく御答弁をいただきますようお願いします。
 まず、この委員会でもたびたび議論になりました金融再生委員会の性格詮について、少しやりとりをしながら整理をしておきたい、こういうふうに思っております。
 基本的に、この金融再生委員会は国家行政粗織法三条の機関というふうに位置づけられているわけでありますが、なぜわざわざ三条機関ということにしたのか、その基本的考え方についてまず確認をしておきたいと思います。

○池田(元)議員 岡田委員にお答えをいたします。
 国家行政組織法第三条の委員会、いうところの独立行政委員会として金融再生委員会を設置すべしというのは、我々の提案の中心の一つでございます。
 この三条委員会といいますのは、いわゆる国家行政組織の中で、政治的中立性、それから相反する利益の調整等、そういった事務に適するものとして考えられておりますが、この再生委員会は、まさにそれに適合するものとして三条機関としたわけでございます。

○岡田委員 確かに、この金融再生委員会のいろいろな機能の中で、所管事項及び権限ということになるわけですけれども、この中で、例えば検査に係ることあるいは監督に係ること、そういうものは中立性ということが非常に要求されることではないかというふうに思うわけですが、四条の第一項第一号の「金融制度の調査、企画及び立案をすること。」ということも、つまり、今大蔵省にある金融の企画立案機能というものもこの再生委員会に持ってきているわけでございます。
 こういう金融制度の調査、企画、立案をすることということは、ある意味では行政そのものでありまして、そういう意味で、三条機関、独立性を持った三条機関の行う所掌としてはなじまないのではないか、こういう議論が当然出てくるわけでございますが、それに対してどのように御説明されますか。

(中略)

○岡田委員 それは別に裁判所をかませないとできない話ではないように私は思うのですが、ここはなお検討課題だというふうに申し上げておきたいと思います。
 それから、金融整理管財人のもとでいろいろ、最長二年間やっていくわけですが、ここで言われている最終的な処理というのは、合併とか営業譲渡ということをまず念頭に置いて組み立てられておられるのか、原則清算ということを考えておられるのか、いずれなんでしょうか。

○石井啓一議員 清算という言葉に若干いろいろな意味が、意味がといいますか誤解が含まれるような要素があると思いますけれども、ここで私どもが言っておりますのは、単に会社を単純に清算をして全部なくしてしまうということではなく、原則営業譲渡あるいは資産の売却等を行うということを考えておりまして、残った法人を清算する、こういうことでございますので、先生おっしゃるとおりでございます。

○岡田委員 そこで、二十六条の「管理の終了」というのがそこに当たるわけでありますが、原則一年以内、場合によっては一年に限りこの期間を延長する、こういうことになっているわけです。ここが政府・与党のお出しの法案と長さの点において違いがあるわけですが、基本的に原則一年、例外二年ということでそういう合併相手あるいは営業譲渡先というものが見つかるのかどうか、あるいは、これを長くしたときにどういう弊害があるのかということについて御答弁いただきたいと思います。

(中略)

○岡田委員 今の御答弁を整理しますと、だれでも早く合併の相手とか営業譲渡先を見つけたい、一刻も早くそうしたいというのはこれは当然のことでありますから、ポイントはむしろ今の御答弁の後半にあったのであって、最長二年を超えてしまうと結局非常に劣化したものしか残らずに、かえって公的負担がふえてしまう、だから原則一年、例外二年ということで切った、そこが政府と考え方の違うところだ、こういう答弁と理解してよろしいですね。
 それでは最後に、時間が参りましたのでもう一問だけ。
 公的管理のところに関係するわけですが、第五十三条に「金融機関の申出」という規定がございます。金融機関は、「その業務又は財産の状況に照らし預金等の払戻しを停止するおそれがあるときは、その旨及びその理由を、文書をもって、金融再生委員会に申し出なければならない。」ーーこういうふうになっておりますが、このことと、それから二十八条の「特別公的管理の開始の決定」というものはどういうふうにリンクしているんでしょうか。

○古川元久議員 今委員の御指摘の「金融機関の申出」は、御承知のようにこれは雑則のところに入っておりまして、これはそもそも、金融再生委員会が、いわゆる特別な公的な管理に入るか、あるいは金融整理管財人をつけるか、その判断をする前のところのアクションを起こすときの両方にこれはかかっているんですね。
 別に、この申し出があったら必ずこれは特別公的管理に入るというわけではなくて、そういう申し出があれば、これは事実上、つまりあしたの資金繰りもつかないというような状況に金融機関が立ち入って、そこで、今そういう状況ですということを再生委員会に申し出てくるということになりますから、そこでは、これは前の方で言っておりますように、その場合にはこの再生委員会でいわゆる破綻した金融機関というふうに認定をして、それによって、ある場合には金融整理管財人、そしてある場合には特別公的管理、そういった従来のスキームの中でこれを判断していくということになると思います。

○岡田委員 ですから、客観的な条件が二十八条の適用のためには必要ですが、そういうものを満たしておれば、みずからが払い戻しの停止のおそれがあると認めてそういう申し出をしてくるわけですから、原則的には、金融再生委員会は二十八条でそれを受けとめて、そして一定の要件がそろえば手続に入っていく、その導入のための規定になるということですね。
 これは、おそれですから、実際に債務超過であるとか実際に停止であるということは必要ありませんので、銀行自身がみずからおそれがあると思ってこの申し出をすれば、おそれがあると自分が言っているわけですから、二十八条でそれを受けとめて、その手続に要件がそろえば入っていく、こういうふうに理解していいですね。

○枝野議員 まさに今御指摘のとおりでありまして、そういったことから公的管理等に入っていくというケースが、むしろ場合によっては、特に初期の段階は、金融再生委員会が立ち上がっても、そのしっかりとしたルールに基づいての検査というのが終わるまでの間というのは、もしかするとそういったケースの方が多いのかもしれないというふうに思っています。

○岡田委員 これで終わります。

(後略)

[国会議事録から引用おわり]


【保存版】「予算要望虎の巻」、菅・岡田民主党が公開 政治を国民の手に取り戻そう

2011年06月19日 19時24分59秒 | その他

 民主党が月2回発行している機関紙「プレス民主」の2011年6月17日号に目を見はる記事が載っていました。

 政権交代後に、自民党やさきがけで与党の経験がある4世議員の鳩山由紀夫代表と、自民党や新生党や自由党で与党の経験がある2世議員の小沢一郎幹事長の世襲議員グループは、陳情(要望)の党本部幹事長室への一元化をしました。これは英断だと思いますが、いかんせん、世襲議員グループは「家業が政治」なので、独占欲求が強く、自分の権力欲、(おそらく)金銭欲につなげてしまったので、政権交代の希望が失われ、大きく支持率が下がりました。

 そこで、2010年6月からは、菅直人さん、枝野幸男さん、岡田克也さん、仙谷由人さん、玄葉光一郎さん、野田佳彦・財務大臣、輿石東・参院議員会長さんらが非世襲議員グループが民主党の舵取りをするようになり、なんとか盛り返してきました。

 陳情の一元化は民主党で継続され、陳情要請対応本部ということで、本部長が岡田幹事長、本部長代行が長妻昭・筆頭副幹事長、本部長代理が横光克彦・党組織委員長(47都道府県連のまとめ役)という同じく非世襲議員グループがシステムをつくって、情報を共有しながらやっています。

 プレス民主によると、2011年6月9日には、2012年度(平成24年度)本予算(当初予算案)に向けて、予算のつくり方について、都道府県連代表である国会議員への説明会を開いたとの記事。これはおそらく、自民党議員からしたら「そんなことも知らないの?」、「民主党はお子ちゃまだねえ」という内容でしょうが、鳩山・小沢民主党が執行部が独占していた予算に関する情報を、菅・岡田民主党では、都道府県連代表の国会議員(ちなみに岩手は小沢一郎さん)に情報を開示(ディスクロージャー)し、情報を共有する。そして、機関紙にもその内容を載せる。で、この記事には6月~7月は「地方自治体や経済団体などが政府・与党に予算要望などを提出」する時期だとされています。ですから、私たち国民も、この6月~7月に予算要望を都道府県連にすれば、平成24年度予算に反映されるかもしれません。こういった情報が、経団連、電事連、日本医師会、JA、日本航空、連合以外にも開かれることは、画期的なことだと思います。

 プレス民主によると、長妻さんは「役所は8月末に(財務省主計局に提出する)概算要求を決定する」として、「その前に、自治体、関係団体から概算要求への要望事項を都道府県連としてヒアリングして把握し、その内容を今月中(6月30日までに)にとりまとめて本部に届けてほしい」と述べました。ですから、有権者として予算要望をするのは、ぜひ今週中にでも、各都道府県連に申し出ればいいということになります。

 【保存版】予算編成の流れ(プレス民主2011年6月17日号を参考に宮崎信行作成)

 ●6月 民主党都道府県連が自治体や各種団体にヒアリングして、要望書を民主党本部陳情要請対応本部に提出。
 ●6月~7月 自治体や経済団体などが政府・与党に予算要望などを提出。
 ●7月下旬頃 概算要求基準を閣議で了解。財務省が各府省からの概算要求の上限(シーリング)や重点分野などをあらかじめ示す。
 ●8月 各府省の各局・各課などが自治体各種団体などの要望もふまえて概算要求項目を作成。与党と相談しながら、各府省の概算要求書をまとめて、8月31日まで(昨年の場合)に財務省に提出。
 ●9月~ 財務省が査定し、年末(12月20日ごろ)までに財務省原案を作成。
 ●12月下旬ころ。 財務省原案のうち、事務方で決着しない項目などは関係閣僚による政治折衝で決着。以前は与党議員が大臣を送り出す決起集会もあったが、民主党政権では実務的に進む。
 ●12月24日ころ。予算(政府原案)を閣議決定。歳入面では、税収、各種収入、公債金などの内訳、歳出面では所管府省別、主要経費分野別内訳など予算の概算枠組みが決まる。
 ●1月下旬 細かな計数整理などをへて予算書ができあがり、国会に提出。
 ●3月末ころ 予算が成立。

 このような流れになります。

 ちなみに、今国会では、復旧・復興に関する補正予算案について、自民党が「予算は組んだ首相が執行まで責任をとるべきだ」として、菅首相を交代させるべきだ、と言っています。これは「筋が通った」意見のようで、実はメチャクチャなまるで小沢さんのような理屈です。予算というのは、365日間執行されています。今、執行されている予算は、菅首相が概算要求から政府原案・国会答弁まで手がけて成立させた平成23年度予算であり、5月2日に補正された予算です。ですから、今の予算を執行する責任は、菅首相にあるのだから、菅さんは来年3月31日までは首相をやらなければいけないということになります。自民党はもっともらしいワンフレーズをテレビで繰り返して、国民を誘導する政治はホントウにもうやめてほしい。

 で、菅・岡田民主党による、こういった権力の源泉である予算の情報の開示の流れの一環として、1年生議員を幹事長補佐(兼)陳情要請対応本部副本部長補佐にして、さまざまな政策要望を知り、各種団体とも上品な人脈をつくりながら、政務三役と交渉するというオン・ザ・ジョブ・トレーニング(OJT)による予算編成をしています。

 岡田克也幹事長が、2011年6月6日付で幹事長補佐に任命したのは、続投組も含めて次の1年生議員のみなさんです。

 網屋信介さん、岡田康裕さん、金森正さん、櫛渕万里さん、小村寿明さん、柴橋正直さん、竹田光明さん、中林美恵子さん、福田衣里子さん、湯原俊二さん、吉川政重さんの各衆院議員と、石橋通宏さん、小西洋之さんの両参院議員の13人です。

 また、政権交代後、財務省主計局の「予算・決算」のホームページは格段に見やすくなりましたから、とっつきにくいでしょうが、ぜひ一度見てください。アドレスはhttp://www.mof.go.jp/budget/index.html
 です。

 で、この「予算・決算」のホームページの使い方ですが、例えば
http://www.mof.go.jp/budget/budger_workflow/account/fy2009/index.htm
 のページを開いてみて、平成21年度決算書を見ることができます。

 このページに含まれる情報から取り出すと、平成21年度(2009年度)の国の財政で、法人税収が6・4兆円だったに対して、所得税は12・9兆円だったことが分かります。ということは、企業の利益にかかる法人税よりも、私たちの給料・所得にかかる税金がおおまかにいって2倍以上だったことになります。歳入では、法人よりも個人の方がはるかに国家財政に貢献しているのですから、歳出だって、経団連、JA、電事連などの法人より、私たち個人の声が、「1票」以外にもっと反映されるべきです。

 物言わずに原子力災害に耐える日本国民から、しっかりと物を言い、かつ揚げ足取りでない建設的な議論で、日本列島の財産を細くても長くしっかり、シェア(共有)する日本国民へ。

 「政治を国民の手に取り戻す」ーーそれは「私たちの権利」というよりもはや「私たちの義務」になったと思います。非世襲の成り上がり「菅・岡田・枝野・野田政権」の背中を押しましょう。今が踏ん張り所、まさに正念場です。

 【追記 2011年6月19日 午後9時半】

 一つ大事なことを付け加えないといけません。ここでご紹介した民主党の機関紙「プレス民主」は民主党の党員(年6千円)登録した人が送ってもらえます。なお、サポーター(年2千円)でも、総支部によっては、対応してくれるかもしれません。ぜひ興味のある方は、ゆかりのある、民主党総支部(衆参国会議員など)に電話して、6月中に登録してみてください。選挙区事務所でも、国会事務所でも対応していると思います。いずれにしろ、電話などで問い合わせてみてください。ぜひ6月中の早い時期に。私からもよろしくお願い申しあげます。<(_ _)> 【追記おわり】

参考エントリー)2年前に書いた下のエントリーを書き直しましたので、ご参照下さい。 

【保存版】予算書コード番号の読み方 財務省主計局長の解説


「菅君の続投は、国民のみなさんの世論調査次第だ」恒三さん、首相の続投に道筋

2011年06月19日 09時09分37秒 | 第177常会(2011年1月)大震災・3党合意

[写真]渡部恒三さん(本人公式ホームページから)

 さあいよいよ、第177通常国会会期末の週を迎えました。しあさって23日(水)が会期末の攻防となりますが、不信任政局の混乱のあおりで、参議院自民党は問責決議案を提出できない状況に追い込まれたもようです。

 渡部恒三さんは2011年6月19日(日)放送のTBS「時事放談」に出演しました。

 「菅直人首相が2日の民主党代議士会で退陣を表明した」という誤報について、恒三さんは「代議士会での発言なり、記者会見なりを聞いていると菅君は『辞める』なんてヒトコトも言っていないんですよね」、「一定のメドがついた段階で、若い世代に責任を引き継ぐという言葉は、私なんかは(政権交代ある二大政党デモクラシーをめざして衆議院副議長を退任して野党・民主党に入党した)10年前から言っているんですから」としました。そのうえで、「前の総理が今の総理に『ペテン師』だなんて言ってみっともない」、「鳩山君は頭は良くないのは前から知っていたけど、育ちは良いのでコロッとだまされちゃったんだろうな」と、いつもやさしい恒三さんにしては珍しく毒のある表現で、解説しました。司会の御厨貴さんは「それはまあ、複雑な言い回しでおっしゃいましたねえ」と驚いたようす。これは、国対委員長当時の「起き上がりこぼし事件」のように、やんわりと、鳩山由紀夫さんら、菅降ろしに懸命な世襲議員グループ(小沢一郎氏、鳩山由紀夫氏、田中眞紀子氏、および自民党の谷垣禎一氏、石破茂氏)らに新しい政治への幕開けに協力するよう直接的なメッセージを送ったようにも思えます。「3・11」後の日本では、他国同様に、このような直接的なメッセージが増え、意思決定のスピードが速くなると私は予想しています。

 恒三さんは「この国が生きるか、死ぬかのイチバン大事なときに、イチバン国民のみなさんから信用されない(といけない)政治が混迷している。国が滅びるか、滅びないかの大事なときに混迷している。ですから、国民から政治が信用されなければ、どんなに頭の良い奴が上手いこと言ったって(ダメなので)、国民から信用されること(が大事だ)」としました。そして、「来週マスコミ各社の世論調査をするでしょう。そこで、世論が『続けろ』といえば続けていいし、『できるだけ早く辞めてくれ』という世論なら辞めていただく。国民の意見に従う! 」と述べました。

 このように、非世襲議員である恒三さんが、国民の世論調査の結果次第で、菅直人さんの首相続投を表明したことから、国会周辺でも菅続投の機運が開けてくることが考えられます。

 ちなみになぜ6月2日夕刊に「首相退陣表明」という横見出しが載ってしまったのか。これは、正午からの民主党代議士会がNHKで生中継されていたので、これを本社にいる政治部長・デスク、整理部長らが、「一定のめどがついた段階で、若い世代に責任を引き継ぐ」というのが菅さんの文脈からして、無期限続投表明なのは明らかです。そこで、平河クラブ(自民党記者クラブ)を現場の頂点とする本社詰めの幹部が、“菅語”を理解できずにそのまま見出しをつくってしまったのでしょう。社民連記者クラブなんて初めからありませんからね。そこで引っ込みがつかなくなっているのが、各マスコミの現状ではないでしょうか。現時点では、朝日と産経が引っ込みがつかなくてなっている一方、日経と東京(中日)はかなり軌道修正ができていると考えます。

 ところで、TBS「時事放談」はフジ「新報道2001」、NHK「日曜討論」、テレ朝「サンデーフロントライン」「サンデースクランブル」とは違い、収録番組で、金曜日に収録されています。この収録風景は、国会取材の記者に公開されています。そのため、事前に内容の一部が報道されることになりますが、必ず「TBS」という文字を入れて報道するよう、お願いしているようです。なお、私は時事放談をよくエントリー化していますが、すべて実際にテレビ放送を見て、記事にしており、事前に番組収録現場にでかけて取材したことはありません。

時事ドットコム:世論みて進退判断を=民主・渡部氏

 民主党の渡部恒三最高顧問は17日、TBSのテレビ番組の収録で、菅直人首相の進退について「今、辞めるべきとか辞めるべきでないということは言わない。(マスコミ)各社の世論調査で続けろという支持が多ければ続けていいし、できるだけ早く辞めてくれという世論なら辞めていただく」と述べた。
 渡部氏はこれまで首相は特例公債法案の成立と引き換えに退陣すべきだとしていた。


やっと通常国会に青空が広がる、税制、子ども手当→特例公債法案」が来週にもメド、100日間?延長へ

2011年06月18日 22時24分06秒 | 第177常会(2011年1月)大震災・3党合意

【2011年6月17日(金) 参院本会議】

 来週の6月22日(水)が会期末となっていますので、週5日間たっぷり使えたのは今週がとりあえずは、最後となりました。

 17日(金)の参院本会議では、6本の議員立法(衆法=衆議院議員提出法案)が大量に可決・成立しました。

 自民党の二階俊博さんら和歌山県選出などの議員が取り組んできた、「津波対策推進法」(177衆14号)が成立しました。「3・11」以前に提出されていたので、遅きに失しました。この背景には、2007年の参院選でのねじれ国会、2009年政権交代後の与党慣れしない民主党と野党慣れしない自民党の国会運営が“宿題”を積み重ねてきたことがあります。

 このほか、衆院・文部科学委員会として、今国会2本目の議員立法となる「スポーツ基本法」(衆11)が、森喜朗さんに加えて、参院側では田村亮子さんら幅広い年齢・層の議員力の結集で成立しました。法案が大渋滞している、厚生労働委員会も3本の議員立法を1日で成立させました。お疲れ様です。「障害者の虐待防止とその養護者の支援法」(衆16)、「母体保護法改正案」(衆17)、そして、「社会保険病院存続の法律」(衆15)が成立しました。

 評価したいのは「社会保険病院の存続法」。これは今まで超党派のつなぎ法(時限立法)から、社会保険病院と厚生年金病院を存続させることを恒久法にしたものです。私は以前から自民党政権の末期症状のひとつとして、「特措法政治(時限立法国会)の限界」を挙げたことがあります。これが野党・民主党による、インド洋からの海上自衛隊の一時撤退、ガソリン値下げ(暫定税率の一時失効)を実現させ、政権交代につながりました。だから、政権交代の原点に戻るのなら、なるべく時限立法「特措法」「特例法」「つなぎ法」は避けて、恒久法案を出すべきです。

 さて、今週の国会では、6月30日に「つなぎ法」が切れる、税制改正法案が国税・地方税とも、衆院を通過しました。民自公が合意してつくった法案ですので、参院でも来週成立するでしょう。これにより、政府・与党執行部の第177通常国会の見場(みば)は大きく良くなりました。まるで丘に登って青空をながめるような気分です。そして、4月29日の3党合意に基づき、民自公の政調会長が子ども手当の見直しをしていて、合意次第、「特例公債法案(平成23年度の赤字国債発行法案)」も民自公3党で、衆参とも通過するメドが立ちます。

 審議日程からすると、税制改正法案(国、地方)、子どもの手当の新法案、特例公債法案とも22日(水)には間にあわないないでしょう。ですから会期延長です。22日(水)に衆参本会議で、第177通常国会の延長が議決される運びになるでしょう。通常国会は、国会法12条の第2項で、1回しか延長できないため、延長幅が高度な政治判断で決まります。私は、おそらく子ども手当つなぎ法が9月30日((金)で切れるので、そこまでのちょうど「100日間の延長」ということになると予測しています。民自公3党の政調会長は「オレを信頼していないのか」と怒るかもしれませんが、危機管理上も9月30日(金)を会期末にすべきです。そして、この間に、第2次補正予算案(復旧テコ入れ予算)、第3次補正予算案(復興スタート予算)が提出されることになりそうです。国会会期の延長は国会法12条に続く13条で「衆院の優越」がありますので、波乱なく、政府・民主党執行部の判断した通りの延長幅になります。

 6月1日(水)提出、6月2日(木)の衆院での内閣不信任決議案をめぐる政局の波風はいまだに衆参与野党に影響しています。1日夜、民主党の小沢グループの71人の議員がホテルニューオータニに集まっている頃、解散総選挙のポスターのキャッチフレーズを考えたり、いつでも引き払えるように議員宿舎掃除をした議員もいました。そうした「天気晴朗なれど波高し」の国会で、こうやって議員立法が6本も通るというのは心強い限りです。また、参議院はがんばっていると考えます。

 17日の参院本会議では、閣法でも、大震災の被災者の相続期間にかかる民法特例法(衆18号)、刑法改正案「サイバー犯罪防止法」(閣42号)も成立しました。いわゆる「六法」の一つである、民法および刑法の関連法の改正は、今国会で2回目以上になるのではないでしょうか。一つの会期で、民法や刑事関連法が2回以上、改正案が成立したというのは、おそらく極めて異例だと考えます。スピードです。このほか、「北朝鮮制裁の特定船舶入港禁止法」の政府の延長措置に関する承認も国土交通委員会の報告通り、本会議で議決されました。

 さて、延長国会では自民党に攻め手がないように感じます。予算委・決算委の「集中審議」は面白いのですが、これは法案とは関係ありません。塩崎恭久さんがやっている原子力災害の国会での調査委員会の設置法案でもいいでしょうし、自民党の知恵を結集して、法案を出して欲しいです。公明党も「東北復興銀行」設置法案を他党の協力を得て、出したらいいのではないでしょうか。

 私は国会の青空を見て、100日間延長でもどんと来い、楽しみが増えて良かったと感じています。まあ、ことしは夏休みにどこかに出かける気もしませんから、良かったです。さあいよいよ、国会の巻き返しが始まります。


ねじれ国会の難題1つ解決 6月30日つなぎ切れの税制改革法案が衆本を通過

2011年06月16日 13時30分16秒 | 第177常会(2011年1月)大震災・3党合意

【2011年6月16日(木)衆院本会議】

 やれやれ、ホッとしました。

 ねじれ国会による自民党の抵抗のため、6月30日までのつなぎとなっていた平成23年度の税制改正法案(国税などの改正案、地方税などの改正案)が衆院本会議で民主党、自民党、公明党などの賛成多数で可決しました。衆院に送られます。委員会審議では日本共産党だけが反対討論をしていましたから、参議院でも可決、成立すると思います。

 これは藤井裕久さんや、野田毅さんが実務者として協議していました。

 国税などの改正法案は、閣法2号と閣法82号に分割し、閣法82号が衆院で可決しました。閣法2号に残ったのは、「個人所得課税、法人課税(法人税率の引き下げなど)、資産課税(固定資産税の控除額の引き下げと税率引き上げ)、消費課税に関する税制の抜本改革、それと、国税通則法の抜本改正」の4分野は残したままにして、閣法2号はそのまま、第177国会の議題として残ります。ですから、固定資産税の増税はこの6月末でも見送られることになります。

 そして、新しく作った「閣法82号」の方に、「つなぎ」の免税措置と、雇用促進税制、NPO寄付優遇税制、航空機燃料税への減免措置、年金所得者の申告の簡素化などを加えて、この閣法82号が、衆本で可決しましたので、とりあえず、これは期限なしにずっと有効ということになります。なお、閣法2号がどうなるかは、ハッキリ言って、与党幹部も分からない状態だと考えます。

 地方税などの改正法案は閣法4号と、閣法83号に分割し、閣法83号が衆院を通過しました。閣法83号では、寄付金の税額控除の見直し、都道府県税・市町村税である個人住民税の脱税犯への懲役刑の引き上げ、税負担軽減措置を入れた内容だとのことです。

 ただ、衆議院ホームページの「議案」を見ても、本文が載る前に、もう審議を終えて、衆院を通過してしまっているんですよね。いつもこうです。いったい、衆議院事務局は1000人以上も職員がいて、何をやっているんでしょうか。英国庶民院などはツイッターで、「きょうの党首討論の議事録は、3時間後にホームページにアップしますよ~」と自らプレッシャーをかけながらやっているのに。

 各種世論調査で、国会が信頼できるという人は15%前後にとどまっています。衆議院事務局ももっとスピーディーに仕事をやらなければいけません。官僚ももっと、法案の名前が「国会の見える化」につながるように考えて名付けないといけません。どうせ仕事をするのなら、メリハリつけて、効率よくやってください。

 


菅首相、第2次補正予算(案)編成を指示 第177「正念場」通常国会は9月下旬頃まで延長へ

2011年06月15日 21時56分44秒 | 第177常会(2011年1月)大震災・3党合意

 菅直人首相は、2011年6月14日(火)の閣議に続いて、財務省の野田佳彦大臣、事務次官の勝栄二郎さん(昭和50年大蔵省)、主計局長の真砂靖さん(昭和53年大蔵省)を官邸に呼び、平成23年度第2次補正予算(案)を編成するよう命じました。2次補正は7月上旬にも国会に提出する見通し。

 これを受けて、民主党幹事長の岡田克也さん、国対委員長の安住淳さん、枝野幸男官房長官らは、第177回国会を6月22日(水)から3ヶ月程度延長する方針を決めました。通常国会の延長幅は1回しか決められず、また途中で会期を打ち切りことはできない(ただし、衆議院解散の場合はその時点で会期切れとなるのが唯一の例外である)ため、来週の22日(水)までギリギリの高度に政治的な判断を迫られます。会期の延長は国会法12条に続く、13条の規定により、衆院の議決が優先します。

 なお、補正とはいっても予算は予算なので、第2次補正予算案(復旧テコ入れ予算)、第3次補正予算案(本格復興着手予算)ともに、日本国憲法60条の「30日ルール」を使えます。仮に野党・自民党が抵抗した場合は、30日ルールを使えますが、世論が許さないのは間違いありません。そして、特例公債法案(平成23年度当初予算の赤字国債発行法案、今国会閣法1号)についても、参議院に送った後に、自民党らが吊しても、衆議院で3分の2で再可決が可能なように、日本国憲法59条にもとづく「60日ルール」が使えるように、およそ90日間程度の延長幅になる可能性が高くなってきました。

 1月24日(月)に召集された今国会は、最重要法案(特例公債法案、税制改革法案)が通っていないので、錯覚しがちですが、多くの法案が成立しています。すでに衆院の常任委員会の一部には一服感があるので、各府省は、閣法をこれから出したり、民主党政府外議員や、野党議員は議員立法のチャンスが到来することになります。

 なお、みんなの党の江田憲司幹事長は記者会見で、「参院での菅直人君問責決議案の共同提出者にならない」と明言したようです。日本共産党も、衆院での内閣不信任案を棄権しました。これにより、6月にしろ、9月にしろ、参院自民党が問責決議案を出しても、欠席者や反対者を考えると、可決しない可能性が出てきました。とくに、今、参院で問責決議案を出すと、「参議院なんて要らない」という参議院不要論が世論の趨勢となりそうな気配となっています。

 付け加えると、今国会を「走りながら考えて」きた岡田幹事長は、子ども手当延長法案で、参院で、日本共産党などの賛成を受けたり、内閣不信任決議(案)では衆院で日本共産党や社民党の棄権などいろいろと不思議に道が拓けています。しかし、ここは大胆に、民主党規約の改定にとどまらず、国会法・衆議院規則・参議院規則・内閣法・国家行政組織法の改正に大胆に取り組んでいかないといけないと思います。

 菅さんも中国国民党元主席で、元台湾(中華民国)総統の李登輝さんに自宅に招かれご指導を受けたことを、14日の参院特別委員会で明らかにしましたが、世はまさに正念場(性根場)であるとともに訓政期。国民党初代主席の孫文が唱えた「訓政期」において、私たちが学ぶべきことは「権力とは何か?」ということです。菅さんは見苦しいまでに権力に執着して、その教材になってほしいと感じております。政治家は自らの性根をさらけ出すのが仕事です。

首相「1・5次補正」編成指示も… - goo ニュース

 菅首相は14日午前の閣僚懇談会で、東日本大震災からの復旧を柱とした2011年度第2次補正予算案の編成を指示した。
  7月上旬にも国会提出を目指す。22日に会期末となる今国会の1~2か月程度の大幅延長が念頭にあるとみられるが、自民、公明両党は菅首相による2次補正の編成に反対を表明した。
 首相は14日午前の参院東日本大震災復興特別委員会で、2次補正について、「1次補正に盛り込み切れなかった急ぐべき対策を盛り込んだ『1・5次補正』とも言えるもの」と述べた。内容は、被災企業や個人が既存の借金に加えて新たな債務を抱える二重ローン問題対策などを挙げた。枝野官房長官は同日の記者会見で、「復興国債などの財源措置を想定しない」と述べ、2次補正が小規模になるとの見通しを示した。

菅政権、国会3カ月延長の方針 首相交代と「矛盾せず」(朝日新聞) - goo ニュース

 菅政権は15日、22日に会期末を迎える今国会の会期を3カ月延長する方針を固めた。菅直人首相が編成を指示した第2次補正予算案に加え、震災の本格的な復旧・復興予算を盛り込んだ3次補正の成立もめざす。一方、複数の政権幹部は15日、会期の大幅延長とは別に、首相は早期に辞任すべきだとの考えを相次いで表明した。
 民主、自民、公明3党の幹事長、国会対策委員長は15日昼、国会内で会談。民主党の岡田克也幹事長が「大幅延長したい」と要請した。


「鳩山由紀夫さんは民間企業なら即刻クビですよ」 みんなの党の松田公太さん

2011年06月15日 19時30分28秒 | 第177常会(2011年1月)大震災・3党合意

[画像]みんなの党の松田公太・参院議員、2011年6月14日、参議院インターネット審議中継からキャプチャ

【2011年6月14日(火) 参院東日本大震災復興特別委員会】

 7月24日正午の地上波アナログテレビ終了を前に、力のある新人議員が、各党とも続々テレビデビューしました。

 みんなの党の松田公太さん。国会内の3つの議員会館すべてにある「タリーズコーヒー」の創業者ですが、ちなみに議員会館プロジェクトは松田さんが社長を退任してからということで、関係ないとのこと。

 公太さんは、復興基本法案の審議に先立ち、今なお、国政にさざ波を立て続けている、異例に早い時期の衆院での内閣不信任(案)について、「(衆院での)内閣不信任案のドタバタ劇。私が政治家になって、もっともがっかりした出来事でした。今もなお、怒りが収まりません。元総理大臣の鳩山由紀夫さんでさえ、失礼ながら、民間企業にお勤めだったら、仕事ができない奴だと言われてもしかたがないことをされていました」と述べました。

 ちなみに、私は現時点でも6月2日に、菅直人総理が退陣を表明したとは認識していません。これは、正午からの代議士会だったので、シメキリギリギリで、各新聞社とも夕刊に「退陣表明」と横見出しを付けてしまったので、引っ込みがつかなくなっているのですが、虚心坦懐に、「お詫びと訂正」とまではいかなくても、「読者の皆様へ」ということで、軌道修正すべきではないでしょうか。

 さて、公太さんは「何なんですか、あの総理と交わされた確認書というのは。民間企業で、もしあれほどあやふやな契約書や確認書を喜んで会社に持ってきたら、即刻クビですよ。一般社員じゃなくて、代表者だったら、それこそ株主代表訴訟(を起こされる)ということになります。菅総理の肩を持つつもりはありませんが、あれで(鳩山さんが菅さんのことを)『ペテン師』呼ばわりするのはおかしい」と述べました。

 
[画像]鳩山由紀夫さん、2009年5月の民主党代表選、この4ヶ月後に天皇陛下が第93代首相に任命。

 そのうえ、総理の「一定のめど」について、公太さんは「会社で出世したければ、仕事の納期をしっかりしなさい」と言っていたとの思い出を振り返り、菅さんに質問します。菅総理は「私は特許事務所(弁理士事務所)にいましたから、時間によって儲けが変わる仕事をしていましたので、納期はしっかり守るようにしています」と述べました。

【民主党内の「菅降ろし」は、非世襲グループvs世襲グループの争い】

 ちなみに民主党内では、15年ぶりに非世襲・非二世議員の菅直人さんが首相になったことで、「世襲グループ」と「非世襲グループ」の争いが顕在化しています。つまり、世襲議員グループの鳩山由紀夫さん、小沢一郎さん、田中眞紀子さん、松野頼久さんといったグループです。この中で、サラリーマン経験というと、鳩山さんが専修大学助教授、松野さんが日本新党職員ぐらいで、民間企業の経験はありません。小沢さんは大学院生から衆院議員にになっていますし、田中さんは越後交通といっても、親から受け継いだ家業の社長ですから、サラリーマンではありません。

 一方、菅直人さんは弁理士で、弁理士事務所もやっています。総理となった今でも、こちらの方の収入があるようです。弁理士として、組織人のきつさはあまり知らないかもしれないですが、一応サラリーマンです。岡田克也さんは通産省に12年勤めており、官僚ながら「不眠不休」はオイルショックのときぐらいだったようですが、マッチー町村(町村信孝元外相)を直属の上司とする組織人の辛さを知っています。また、政治家になったきっかけは、組織人として自民党の大臣・政務次官のひどさを知り、当初人生計画に入っていなかった「選挙に出る」という道を選んだようです。北澤俊美さんは、1962年に最初に就職した会社が倒産(会社更生法申請)してしまい、「高度成長の真っ最中、希望は失わなかった」ということです。そして、今では一流企業の前田道路株式会社に入社。東海銀行から同社再建のために送り込まれた荻野英利さん(後に代表取締役)と2人で「30億円の完成工事高と株主への配当復活(復配)は何年間で可能か?」という当時の前田道路にとってタイヘン厳しいシミュレーションを夜遅くまで2人で必死に計算したそうです。日経新聞交遊抄(1998年)では、俊美さんは「私はいつも上司に反抗していた」「私にとって前田道路での8年間は『社会を見る窓』を開けてくれた、私の青春のすべてだ」と記しています。枝野幸男さんは「高山法律事務所」の高山征治郎所長(弁護士)の「イソ弁(いそうろう弁護士)」をしていたから、サラリーマンです。平野博文さんも松下電器産業の社員や議員秘書をしていたから、サラリーマンです。野田佳彦さんや前原誠司さんも非世襲ですが、残念ながらサラリーマン経験はありません。例えば、研修をしたことがあっても、サラリーマン、いわば奴隷になる見返りに、給料をもらうという、組織人の辛さは、筆舌に尽くしがたいものがあります。

 そう言う意味では、15年ぶりの「成金・菅政権」に対して、「政治が家業」の小鳩グループが政権奪還に必死になり、田中さんが総理を「市民運動家上がり!」とののしったり、同じく世襲政治家の鹿野道彦農相を代表選に立てようとする、いわば反動が出てきていますが、ここは踏ん張りどころ。ここはがんばって非世襲議員を盛り上げないといけません。このときに、トップはだれであれ、私たち国民が上手く使いたいのは、「東大法学部卒業生」です。東大法卒も18年間首相の座から遠ざかっていますが、首相でなくても、東大法学部を上手く脇を固めるように使えば、官僚機構の力を引き出すことができます。そういう意味では、仙谷由人さんが官僚を使うのが上手いのは、事務次官よりも先輩の東大法学部出身者だからという面もあります。非世襲+東大法学部グループを使って、政治を前に進めましょう。歴史上は、チャーチルをはじめ2世議員からも優秀な人材が出ていますが、今の日本では、民主党にしろ、自民党にしろ、世襲議員を遠ざける動きが向こう10年間前後、必要だと考えます。

【菅さん「政治に嫌気を持たないでください」】

 菅さんは松田公太さんへ「初当選から1年、どうか政治に嫌気を持たないでください」と答弁すると、松田さんは「嫌気を持つどころか、ますますナントカしないといけないな、と思いました」と応じました。東京選出議員、がんばってください!!田舎の世襲議員に負けるな!


「総理、これじゃダメなんです!」民主党1年生の後藤祐一さん、岸本周平さんが答弁 元気の源は?

2011年06月14日 23時59分59秒 | 第177常会(2011年1月)大震災・3党合意

[写真]民主党1年生議員の左から後藤祐一さん(神奈川16区)と岸本周平さん(和歌山1区)

(このエントリーの初投稿日は2011年6月16日)

 後藤祐一さん岸本周平さんの2人の民主党1年生衆院議員が、議員立法(閣法の民自公修正含む)の提案者として、参議院委員会で答弁しました。140人を超える政権交代チルドレンですが、そろそろ差がついてきたようです。大幅な延長国会になれば、議員立法のチャンスが増しますから、党内内輪の政調で吼えるんでなく、公の国会の委員会で、与野党合意で、法案作りをしたらどうでしょうか。

【2011年6月14日(火)参・東日本大震災復興特別委員会】

 先のエントリーでも紹介したこの日の委員会ですが、衆院で民自公が修正した「東日本大震災からの復興基本法案」(177国会衆法13号)の修正者として、黄川田徹・特別委員長、自民党の加藤勝信さん、公明党の石田祝稔さん、民主党の後藤祐一さんら答弁者席に座りました。社民党の吉田忠智さんの質問で、内閣府に設けられる「復興庁」と、地方一括交付金(内閣府の地域自主戦略交付金)について後藤さんが答弁しました。

 後藤さんは「内閣府復興庁」の構想について、「①被災地のためになる、②ワンストップでできる、③スピード感を持ってやる」の3条件つけました。そして、「二重行政にならないように」復興庁設置法案をつくっていきたいとし、設置法案への関与にも意気込みを示しました。後藤さんは経産省出身ですが、内閣府の構造改革特区担当大臣の事務局にいたことがありそうですから、”ごちゃ混ぜ”の内閣府のことにも詳しいのだと思います。マニフェストでは「地方一括交付金」で、内閣府の主管となり、なぜか「地域自主戦略交付金」に名前が変わった制度について、苦言を呈しながら次のように答弁しました。

 「一括交付金的なおカネを、というご質問ですが、現に今、被災地(の自治体で)ものすごくたくさんの事業をやりたい。ところが、この事業は(国庫)補助事業になるのか、ならないのか(不明確だ)。こういったものが何百とあるわけです。これについて、補助金の拡充に関して、この委員会での午前中の審議でも菅総理、片山善博・総務大臣から前向きな答弁がありましたので、ぜひ2次補正予算案に入れて欲しいと思います」とちゃっかり、総理に予算要望。
 そして、「23年度当初予算に入っている内閣府の地域自主戦略交付金というのがあるんですが、これが使いにくいんです。これじゃダメなんです、総理!
 
[画像]「これじゃダメなんです、総理」と言って、菅首相を振り向く、答弁席(演台)の後藤祐一さん。右は拡大写真、赤丸が後藤さんと菅首相。(参議院インターネット審議中継から)

 と言って、答弁席から菅総理を振り向き総理を諫めると、委員会室から「オーッ!」というどよめきが挙がりました。そのうえで、「ぜひいろいろな交付金、いろいろな補助対象、補助率の自由度の高い交付金を与野党共同してつくっていただきますようお願いします」と締めくくると、「総理より良い答弁だ!」のヤジが飛びました。

【2011年6月14日(火)参・内閣委員会】

 岸本周平さんは、「NPO促進法の改正案(177国会衆法12号)」の答弁で、参院委員会室に。ちょっとこの法案のことはあまり詳しくないので、岸本さんのブログからの引用を含めてお伝えします。



[画像]答弁席に座る左から逢坂誠二・総務政務官、玄葉光一郎・国家戦略大臣、荒井聰・衆院内閣委員長(元国家戦略大臣)、岸本周平・衆院議員(岸本さんのブログから)

 岸本さんは「参議院の委員会室は、衆議院と違って、こじんまりとしています。答弁者もテーブル席に座っているので、答弁はその場でできます。一々、答弁席に歩いて行って答弁しなくても良いので、合理的ですね」、「採決も、衆議院では起立採決ですが、参議院は挙手による採決でした」との感想でした。私もこのエントリーの国会傍聴は両方ともネット傍聴ですが、衆院と参院を同時に聞いていると、ビミョーな疲れが出るんですよね。ぜひ、その衆参の違いを日本を前に進める方向に進めて欲しいものです。

 岸本さんは、NPOへの優遇税制について、「NPOの認定基準は国税の減税につながる。だからといって、基準を不利にすることはあってはならない」と答弁。「私は(財務官僚時代に)に税務署長の経験もありますが、」とさりげなくアピールしながら、「自治体の条例に任せるのが妥当だ」としました。制度の悪用への懸念については、「公益法人と同じような監督権限」を都道府県庁に持たせるという考えを答弁しました。

 岸本さんは、答弁を終えて、「自分が、国会議員として議員立法を手がけたことで、まさに、英語で言う“Lawmaker(立法府の議員)”になり得たと実感しました」と振り返っています。

【岡田パワーマネーが背中を押した若手が八面六臂の大活躍】

 ところで、後藤さんは昨年6月の代表選で菅直人候補の推薦人に、岸本さんは、昨年9月の代表選で小沢一郎候補の推薦になっています。ところが、2人とも、当選前の総支部長時代に、副代表だった岡田克也さんからパワーマネーを注入され、元気モリモリと初当選してきた新人です。「融通が利かない」、「グループを持たない」、「友達がいない」と小沢グループ・鳩山グループに散々こき下ろされている岡田さんだけに、みなさん、意外に思うでしょう。

 岡田さんには、第44回衆院選(2005年9月11日)の翌日に民主党代表を辞めて、常任幹事、副代表を経て、鳩山由紀夫代表の下、野党幹事長(2009年5月)に復帰するまでの3年半の「野党内野党」というすさまじく閑職だったころがありました。岡田さんは中曽根康弘さんのアドバイスに基づき、"kill the time"(時間を殺す)していました。といっても寝ていたわけではなく、日本を2周半して、衆院予算委で安倍晋三首相に「私も代表・幹事長時代は時間がなかったけれども」としながらも、「地方は疲弊しているんじゃなくて、死んでますよ!」と地方行脚のススメをしました。NPO(非政府組織)「民主党」の代表者を名乗り、インドネシア・バリ島の国際会議に私費ででかけ、自民党の環境大臣のはるか後方の席から見ながら、休憩中のロビーで、話しかけて人脈を作るといった時間を過ごしていました。

 この全国行脚では、第44回衆院選で落選した浪人組を手厚く回っています。麻生太郎首相が2008年10月上旬に解散するそぶりをしながら、リーマン・ショックの景気対策を口実に「死んだふり続投」して、民主党浪人組は兵糧攻めでとても苦しくなった時期があります。この辺は当ブログでも散々書いていました。最近になって当ブログをお読みいただくようになった方は、2008年10月から2009年7月までのエントリーを目を通していただきたいと思います。



 岡田さんは政治資金管理団体を一つしか持っていません。「岡田かつや後援会」だけで、それと民主党三重県第3区総支部の代表者をしています。岡田かつや後援会からは、2007年と2008年だけで、18人に900万円のパワーマネーを注入しています。そして、このうち、やむなく引退した佐藤謙一郎さんをのぞく、ほとんどが小選挙区で当選し、今の民主党政権の中心人物となっています。

 岡田パワーマネーは、2007年は政治資金パーティのチケット購入が中心でした。2月22日に佐藤謙一郎さんの総支部から20万円のパーティー券を買いましたが、佐藤さんは引退し、現在「配達員」をされているようです。そして、同年3月7日には、生方幸夫さんの「実行委員会」から10万円、5月1日には城島光力さんの実行委員会から10万円、10月9日には、樽床伸二さんの政治団体から20万円、10月30日には山花郁夫さんの実行委員会から10万円、11月5日には中川治さんの総支部から10万円、11月28日には海江田万里さんの実行委員会から10万円、12月11日には辻恵さんの政治団体から10万円のパーティー券を買うことで、パワーマネーを注入しています。この人はみな、このころみな浪人中の苦しい時期でした。

 2008年には、第44回総選挙初出馬落選組を中心に、パワーマネーが増えます。そして、麻生解散先送り兵糧攻めの中で、現在の1期生議員にもパワーマネーを注入しました。1月9日付で玉木雄一郎さんの後援会に30万円、1月10日付で、岡田康裕さんの後援会に100万円を寄付、1月10日に和田隆志さんの総支部に100万円を寄付しました。そして、自らの比例の議席を捨てて、山口2区補欠選挙に打って出た東大法学部同級生の平岡秀夫さんには、3月10日付で後援会に20万円。軍資金としてはちょっと少ない気もしますが、岡田さんなりの考えがあったのでしょう。5月3日には荒井聰さん(知事選出馬のため、浪人中)の後援会に10万円、6月3日には、石井登志郎さんの総支部に10万円、6月25日には後藤祐一さんの後援会に10万円、8月20日には、江端貴子さんの出版記念パーティー(著者名は「えばたたかこ」名義)に10万円。

 そして、麻生解散先送り兵糧攻めの12月5日付一気に10人にパワーマネーを注入しました。これは森本和義さんの後援会に50万円、緒方林太郎さんの後援会に50万円、稲富修二さんの後援会に50万円、阪口直人さんの後援会に50万円、玉木雄一郎さんの総支部に20万円、元職・本多平直さんの後援会に30万円、後藤祐一さんの後援会に40万円、谷田川元さんの後援会に30万円、岸本周平さんの総支部に50万円、そして、三重5区の藤田大助さんの後援会に100万円となっています。この2008年12月には玉木雄一郎さんが自身のブログで「兵糧攻めが知れ渡ってきたからでしょうか、白菜やネギの現物支給をいただくことが増えました」として、「現物支給大歓迎です」と記しています。そのタイミング、岡田パワーマネーが投入されたわけです。そうでなければ、こういった人材が息切れして日の目をみなかったかもしれません。全国を2周半まわっていたので、麻生解散先送り兵糧攻めの中で、議員会館の自室から電話で総支部長から窮乏状況その他をヒアリングし、岡田さんの判断で金額を決め、伝票を切り、パワーマネーを注入しました。この2008年12月5日の姿こそ、岡田さんが本来持つやさしさです。

 さらに、2009年になると、1月8日に、岡田康裕さんの後援会に100万円を寄付。続いて、1月8日に橘秀徳さんの後援会からパーティー券を10万円、2月23日に城島光力さんの後援会からパーティ券を20万円、3月2日に谷田川元さんの「実行委員会」から10万円のパーティー券を、3月23日には山花郁夫さんの後援会からパーティー券を10万円買います。

 さらに地方議員では、「新政みえ」の三谷哲央・県会議長(当時)が2007年8月28日に6万円、同じく「新政みえ」の稲垣昭義・県議が4万円のパーティー券を買ってもらっています。地方議員では、県議とはいえ、政治資金パーティーを開催するのはなかなか難しいのですが、私としては20年近いお付き合いになる稲垣先輩がパーティーを開催することができ、岡田さんに4万円買ってもらっていることを心から誇りに思います。

 こうなると、「岡田パワーマネー」は引退の佐藤さんを除くと、当確100%。そして、小選挙区も難攻不落の三重5区の藤田大助さんを除いて、全勝です。樽床さんが代表選に出馬し、荒井さんは国家戦略相、海江田さんは経財相・経産相になりました。平岡さん、和田さん、山花さんは政務三役になり、城島さんは政調会長代理です。三谷さん、稲垣さんも4月の統一地方選は優秀な成績で当選回数を重ねました。



 その中で、きょう、法案提出者として、参議院に出かけて答弁した、衆院議員というか、Law-makerとして1年生議員の中で一歩リードした、岸本周平さん、後藤祐一さんはともに岡田さんからパワーマネーを注入して元気モリモリ初当選した人材です。政治は嫉妬の世界。ここに名前が出て来ない民主党議員は面白くないでしょう。でも、一つ聞きたい。その人は、パーティーをやるときに、岡田さんに「買ってください」と営業に行ったんでしょうか。たぶん、「岡田さんは融通が利かないケチだ」という小沢グループの情報を信じて、初めから営業に行っていないんでしょう。

 世の中、ため息ばかりですが、こうやって、正念場国会で、力のある政治家が見えてきました。1年に1回総理を変えれば、人材不足になるのは当たり前です。後藤さん、岸本さんに限らず、玉木さん、樽床さん、海江田さんなどまだまだ有望株がいます。そして、どうやら岡田さんには、「一定のメドがついた段階で責任を引き継ぐ若い世代」の人材が見えているフシがあります。今は党本部幹事長ですから、全員野球ということですが、人材育成という面でも岡田さんが適任者だと考えます。パワーマネーを注入されたうち、純然たる二世議員は山花郁夫・現外務政務官(山花貞男・元日本社会党委員長の息子、山花秀雄元同党副委員長の孫)だけで、後は、石井登志郎さん(石井一さんの甥で養子だが選挙区は神戸市ではなく、芦屋市・西宮市)、谷田川元さん(よど号人質の山村新治郎さんのいとこ)ぐらいです。非世襲議員の首相だと、海部俊樹さん、村山富市さん、森喜朗さん(お父さんは中選挙区内の現役町長だった)、菅直人さんと、4代とも政権内の政府外議員や官僚を使いこなせていない印象がありますが、その辺は、父親の首相政務秘書官を務めた福田康夫さん、外務大臣秘書官を務めた安倍晋三さんら「家業」の人たちには劣るでしょう。でも、ここ10年ぐらいは、非世襲議員が首相をやらないと日本は復活できません。ぜひ、この岡田パワーマネーで元気モリモリ集団に期待したいところです。

 うんざりしないで、1歩1歩前に進んでいきましょう。