[画像]平成25年度本予算(案)を提出し、施政方針演説する安倍首相、2013年2月28日(火)、参議院インターネット審議中継から。
政府は2013年2月28日(木)、平成25年度本予算(当初予算)案を提出し、政府4演説(安倍首相の施政方針演説、岸田外相の外交演説、麻生財務相の財政演説、甘利経財相の経済演説)を行いました。
総予算3案(一般会計、特別会計、政府関係機関予算)は次のホームページから見ることができます。
http://www.bb.mof.go.jp/hdocs/bxss010bh25.html
一般会計予算はhttp://www.bb.mof.go.jp/server/2013/pdfhdocs/201311001Main.html
特別会計予算はhttp://www.bb.mof.go.jp/server/2013/pdfhdocs/201312001Main.html
政府関係機関はhttp://www.bb.mof.go.jp/server/2013/pdfhdocs/201313001Main.html
平成25年度一般会計予算は予算総則で
「第1 条平成25 年度歳入歳出予算は、歳入歳出それぞれ92,611,539,328 千円とし」、一般会計は92・6兆円。
「第6 条「財政法」第4 条第1 項ただし書の規定により平成25 年度において公債を発行することができる限度額は、5,775,000,000 千円とする」とし、5・7兆円の建設公債を発行。
「2 「財政運営に必要な財源の確保を図るための公債の発行の特例に関する法律」第2 条第1 項の規定により平成25 年度において公債を発行することができる限度額は、37,076,000,000 千円とする」とし、3党合意による新・特例公債法(昨年11月16日成立)による特例公債(赤字国債)は37・0兆円。
「3 「財政運営に必要な財源の確保を図るための公債の発行の特例に関する法律」第4 条第1 項の規定により平成25 年度において公債を発行することができる限度額は、2,611,042,408 千円とする」とし、年金特例公債を2・6兆円発行します。年金特例公債はこれが最初で最後の発行になる可能性があります。
まとめると、一般会計は92・6兆円。歳入は5・7兆円の建設公債、37・0兆円の赤字国債、2・6兆円の年金特例債を発行することになります。
一方、麻生太郎財務大臣は財政演説で「歳入につきましては、租税等の収入は、四十三兆九百六十億円(略)を見込んでおります」と述べました。しかし、この43兆960億円は見積もりに過ぎない根拠のない数字です。私たち庶民は再来年から消費税8%になり、その先食いである年金特例公債が来年度すでに計上されています。だったら、法人税に、均等割を設け、繰越欠損控除は永久に全額認めるべきですが、欠損法人にも毎年ほぼ同額の税を負担させ、税収を安定化させるべし。これについては、2009年の仙谷・与謝野問答が参考になります。結果として仙谷さんの指摘した方が決算としては正しい数字でした。入るを計って出るを制す。これが国の予算においては極めてずぼらな状況が続いています。なので審議のもって行き方で、最終段階で、「歳入の税収見積もりを減額修正する」という野党共同修正案が今国会で出てくるかも。
◇
ところで、クイズですが、20年前の宮沢解散で、経済演説をした大臣は誰だったか? これは船田元・経済企画庁長官でした。ご存じの通り、宮沢内閣不信任案の上程の直前に筋を通して大臣を辞任。あれから20年・・・船田先生は59歳で自民党衆院議員すが再入閣はありません。そして、同い年で、当時1期生だった岡田克也さんは、前の任期で、外相として初入閣し、副総理を歴任しました。
さて、2月28日の本予算提出は、1990年2月28日の第2次海部内閣の「平成2年度本予算」以来です。これは第39回衆院選をうけた第118回特別国会に第2次海部内閣が出したものです。つまり、次の画像の翌日ということになります。
[画像]初登院日に「これから20年30年かけて今の初心を忘れずに」と語る、自民党経世会の岡田克也さん、フジテレビさん映像から。
このときも衆参ねじれでしたので、2月28日提出で、5月10日に衆院を通過し、6月7日に参院で「否決」され、両院協議会の結果、成立しました。この前年の竹下登先生内閣は2月8日に提出し、4月27日に衆院通過、5月27日、参院が採決しないため否決したとみなし、衆議院が成立を宣言しました。平成になってから、1月召集になってから、「2月提出」はこの2回しかありません。そしてこれより遅い「3月提出」は1回あり、ご存じの通り、第129通常国会の細川内閣の3月4日提出。これは羽田内閣になった6月23日に成立しました。ただし、この3例は、いずれもおしりに参院選を控えていません(第2次海部内閣は特別国会)。求めると、前回の「2月28日提出」は、「5月10日衆院通過、6月7日成立」だということでしょうか。これを考えると、新聞が「5月連休前後に成立」と報道しているのは、自民党政府向けの世論誘導だといっていいでしょう。しっかり審議すべきです。
衆参本会議で、安倍首相は施政方針演説し、「議員定数の削減や、選挙制度の見直しについても、各党各会派で話し合い、しっかりと結論を出していこうではありませんか。」と明言しました。
午前中は補正予算審議の一環である衆議院予算委員会集中審議がNHK中継されるという異例の国会日程となり、選挙後週3~4日間地元を回っているという玄葉光一郎前外相がさしかえで登場、「現場に神が降りている」と現場の大事さを解きました。この後の外交をめぐる議論のなかで、安倍首相が逆ギレする場面があり、十分に逆転の芽が出てきました。議運畑の玄葉さんが野党議員として衆議院予算委員会に立ったのは8年ぶりで、在職19年で4回目。さすがに慣れていない印象もありましたが、強気が良かったのと、やはり民主党がテコ入れに入ったのではないかと考えます。安倍ちゃんを逆ギレさせたのは大変良かった。
安倍首相の施政方針演説は次の通り。
[首相官邸ホームページから引用はじめ]
平成25年2月28日
第百八十三回国会における安倍内閣総理大臣施政方針演説
一 はじめに
「強い日本」。それを創るのは、他の誰でもありません。私たち自身です。
「一身独立して一国独立する」
私たち自身が、誰かに寄り掛かる心を捨て、それぞれの持ち場で、自ら運命を切り拓こうという意志を持たない限り、私たちの未来は開けません。
日本は、今、いくつもの難しい課題を抱えています。しかし、くじけてはいけない。諦めてはいけません。
私たち一人ひとりが、自ら立って前を向き、未来は明るいと信じて前進することが、私たちの次の、そのまた次の世代の日本人に、立派な国、強い国を残す唯一の道であります。
「苦楽を与(とも)にするに若(し)かざるなり」
一身の独立を唱えた福沢諭吉も、自立した個人を基礎としつつ、国民も、国家も、苦楽を共にすべきだと述べています。
「共助」や「公助」の精神は、単に可哀想(かわいそう)な人を救うことではありません。
懸命に生きる人同士が、苦楽を共にする仲間だからこそ、何かあれば助け合う。そのような精神であると考えます。
二 被災者の皆さんの強い自立心と復興の加速化
「みんなで声を掛け合って、励まし合っている。」
総理就任以来、私は、毎月、被災地を訪問し、避難生活を強いられている方々の声を直接伺ってまいりました。
仮設住宅の厳しい環境の下でも、思いやりの心が、そこにはありました。自立して支え合おうとする気概を感じるのです。
一方、個人の意志や努力だけではどうにもならない問題が、今なお立ちはだかっています。高台移転は、ようやく動き始めたものの、土地の買収や、様々な手続により、大幅な遅れが目立ちます。
仮設住宅暮らしの長期化による、先の見えない不安。お年寄りの方からは、「時間がない」という悲痛なお話も伺いました。
「どんなに小さくてもいいから、自分の家に住みたい」
今を懸命に生きる人たちに、復興を加速することで、応えていかねばなりません。解決すべき課題は、地域ごとに異なりますが、復興庁が、現場主義を徹底し、課題を具体的に整理して、一つひとつ解決します。
福島は、今も、原発事故による被害に苦しんでいます。子どもたちは、屋外で十分に遊ぶことすらできません。除染、風評被害の防止、早期帰還に、行政の縦割りを排し、全力を尽くすべきは当然です。しかし、私たちは、その先にある「希望」を創らねばなりません。
若者たちが、「希望」に胸を膨らませることができる東北を、私たちは創り上げます。それこそが、真の復興です。
既に、再生可能エネルギー産業や医療関連産業など、将来の成長産業が東北で芽吹きつつあります。復興を更に強力に進めるため、復興予算十九兆円枠を見直し、必要な財源を確保することとしました。
今年も、間もなく三月十一日がやってきます。厳しく長い冬が続いた東北にも、もうすぐ春が訪れます。冬の寒さに耐えて、春に咲き誇る花のように、「新たな創造と可能性の地」としての東北を、皆さん、共に創り上げようではありませんか。
三 経済成長を成し遂げる意志と勇気
さて、日本経済の将来に、今の若者たちは「希望」を持てるでしょうか。
若者たちが、「未来は明るい」と信じることができる、力強い日本経済を立て直すことが、私たちの世代の責任であります。
「三本の矢」を、力強く、射込みます。大胆な金融政策であり、機動的な財政政策。そして、民間投資を喚起する成長戦略です。
今までと同じやり方では、激変している国際経済に、立ち向かうことはできません。
日本の経済成長は、世界を覆う大競争の荒波に、ためらうことなく漕(こ)ぎ出していく、私たちの意志と、それから勇気にかかっています。
(世界のフロンティアへ羽ばたく)
正にそうした勇気を示し、遠くアルジェリアの砂漠で働いていた方々が、犠牲となりました。
彼らに非業の死を遂げさせたテロリストたちの卑劣と非道を、我が国は決して許しません。テロの犠牲を繰り返さないため、何を為さねばならないかを検証し、具体的な対策を進めます。
私が恐れていることは、今回の事件によって、日本人が、世界に羽ばたく意志と勇気を失うことです。
世界の成長センターは、アジアから、中南米、アフリカへと広がっています。今回犠牲となった方々の志を無にしないためにも、海外の成長を日本に取り込むべく、世界のどこへでも、フロンティアに果敢に飛び込んでいかねばなりません。
そのカバンに詰め込むべき、魅力ある商品は、たくさんあります。
健康的な日本食は、世界でブームを巻き起こしています。四季の移ろいの中で、きめ細やかに育てられた、日本の農産物。世界で豊かな人が増えれば増えるほど、人気が高まることは間違いありません。そのためにも、「攻めの農業政策」が必要です。日本は瑞穂の国です。息を飲むほど美しい棚田の風景、伝統ある文化。若者たちが、こうした美しい故郷(ふるさと)を守り、未来に「希望」を持てる「強い農業」を創ってまいります。
健康は、誰もが求める、世界共通のテーマです。日本発の技術であるiPS細胞を利用した再生医療・創薬など、最先端の医療技術を積極的に活用して、世界に先駆けて健康長寿社会を目指します。世界に誇る国民皆保険制度が育んだ、我が国の医療技術とサービスに、更に磨きをかけ、国際的な医療協力なども通じて、世界に積極的に展開してまいります。
日本のコンテンツやファッション、文化・伝統の強みも、世界から注目されています。アニメなどのブームを一過性のものに終わらせることなく、世界の人たちを惹(ひ)きつける観光立国を推進することに加え、「クール・ジャパン」を世界に誇るビジネスにしていきましょう。
それから環境技術です。資源制約を抱える世界で、その解決策を、日本は持っています。ここにも、商機があります。最先端の技術で、世界の温暖化対策に貢献し、低炭素社会を創出していくという我が国の基本方針は不変です。
詰め込むカバンの中身が、技術、サービス、知的財産など多様化する現代では、活発でフェアな国際競争を確保するため、貿易や投資のルールを国際的に調和していかねばなりません。
我が国は、受け身であってはなりません。グローバルなレベルでも、地域レベルや二国間レベルでも、日本は、ルールを「待つ」のではなく、「創る」国でありたいと考えます。
アジア・太平洋地域、東アジア地域、欧州などとの経済連携を、戦略的に推進します。我が国の外交力を駆使して、守るべきものは守り、国益にかなう経済連携を進めます。
TPPについては、「聖域なき関税撤廃」は、前提ではないことを、先般、オバマ大統領と直接会談し、確認いたしました。今後、政府の責任において、交渉参加について判断いたします。
意欲のある全ての日本人が、世界の成長センターで、存分に活躍できる環境を整えます。
(日本が世界の成長センターになる)
一方で、日本から世界へという流れだけでなく、世界から日本に、優れた企業や人を集め、日本をもう一度成長センターにしていく気概も必要です。
優れた人たちは、今、日本で能力を発揮したいと考えるでしょうか。
日本での研究環境に満足できない研究者たちが、海外にどんどん流出しています。
「世界で最もイノベーションに適した国」を創り上げます。総合科学技術会議が、その司令塔です。大胆な規制改革を含め、世界中の研究者が日本に集まるような環境を整備します。
その萌(ほう)芽とも呼ぶべき「希望」に、私は、沖縄で出会いました。
「非常に素晴らしい研究機会が与えられると考えて、沖縄にやってきた。」
アメリカから来たこの学生は、かつてハーバード大学やイェール大学で研究に携わってきました。その上で、昨年開学した沖縄科学技術大学院大学で研究する道を選びました。
最新の研究設備に加え、沖縄の美(ちゅ)ら海に面した素晴らしい雰囲気の中で、世界中から卓越した教授陣と優秀な学生たちが集まりつつあります。沖縄の地に、世界一のイノベーション拠点を創り上げます。
世界初の海洋メタンハイドレート産出試験、世界に冠たるロケット打ち上げ成功率、世界最先端の加速器技術への挑戦など、日本は、先端分野において、世界のイノベーションをけん引しています。
将来の資源大国にもつながる海洋開発、安全保障や防災など幅広い活用が期待できる宇宙利用、テレワークや遠隔医療など社会に変革をもたらし得るIT活用。
日本に「新たな可能性」をもたらすこれらのイノベーションを、省庁の縦割りを打破し、司令塔機能を強化して、力強く進めてまいります。
世界の優れた企業は、日本に立地したいと考えるでしょうか。
むしろ、我が国は、深刻な産業空洞化の課題に直面しています。
長引くデフレからの早期脱却に加え、エネルギーの安定供給とエネルギーコストの低減に向けて、責任あるエネルギー政策を構築してまいります。
東京電力福島第一原発事故の反省に立ち、原子力規制委員会の下で、妥協することなく安全性を高める新たな安全文化を創り上げます。その上で、安全が確認された原発は再稼働します。
省エネルギーと再生可能エネルギーの最大限の導入を進め、できる限り原発依存度を低減させていきます。同時に、電力システムの抜本的な改革にも着手します。
「世界で一番企業が活躍しやすい国」を目指します。
「国際先端テスト」を導入し、聖域なき規制改革を進めます。企業活動を妨げる障害を、一つひとつ解消していきます。これが、新たな「規制改革会議」の使命です。
行政や公務員制度の在り方も、これまでの改革の成果に加え、国際的な大競争時代への変化をとらえ、改革します。公務員には、誇りと責任を持って、世界との競争に打ち勝つ国づくりを、それぞれの持ち場で能動的に進めるよう期待します。
魅力あふれる地域を創ります。その鍵(かぎ)は、地域ごとの創意工夫を活(い)かすための、地方分権改革です。大都市制度の改革を始め、地方に対する権限移譲や規制緩和を進めます。また、「地域の元気づくり」を応援します。
(世界一を目指す気概)
小さな町工場から、フェラーリやBMWに、果敢に挑戦している皆さんがいます。
自動車ではありません。東京都大田区の中小企業を経営する細貝さんは、仲間と共に、ボブスレー競技用「そり」の国産化プロジェクトを立ち上げました。
「世界最速のマシンをつくりたい」
三十社を超える町工場が、これまで培ってきた、ものづくりの力を結集して、来年のソチ五輪を目指し、世界に挑んでいます。
高い技術と意欲を持つ中小企業・小規模事業者の挑戦を応援します。試作品開発や販路開拓など、新しいチャレンジを応援する仕組みを用意します。
ひたすらに世界一を目指す気概。こういう皆さんがいる限り、日本はまだまだ成長できると、私は、確信しています。
今一度、申し上げます。皆さん、今こそ、世界一を目指していこうではありませんか。
(家計のための経済成長)
なぜ、私たちは、世界一を目指し、経済を成長させなければならないのか。
それは、働く意欲のある人たちに仕事を創り、頑張る人たちの手取りを増やすために他なりません。
このため、私自身、可能な限り報酬の引上げを行ってほしいと、産業界に直接要請しました。政府も、税制で、利益を従業員に還元する企業を応援します。
既に、この方針に御賛同いただき、従業員の報酬引上げを宣言する企業も現れています。うれしいことです。
家計のやりくりは、大変な御苦労です。日々の暮らしを少しでも良くするために、私たちは、「強い経済」を取り戻します。
四 世界一安全・安心な国
経済だけではありません。様々なリスクにさらされる国民の生命と財産を、断固として守る、「強靭(じん)な国づくり」も急務です。
旅行で、仕事で、普段何気なく通るトンネルで、その事故は起きました。笹子トンネル事故です。
私の育った時代、高速道路が次々と延びていく姿は、「成長する日本」の象徴でありました。しかし、あの頃できたインフラが、老いつつある。人の命まで奪った現実に、向き合わなければなりません。
命を守るための「国土強靭(じん)化」が、焦眉(び)の急です。首都直下地震や南海トラフ地震など、大規模な自然災害への備えも急がなければなりません。徹底した防災・減災対策、老朽化対策を進め、国民の安全を守ります。
治安に対する信頼も欠かせません。ネット社会の脅威であるサイバー犯罪・サイバー攻撃や、平穏な暮らしを脅かす暴力団やテロリストなどへの対策・取締りを徹底します。
悪質商法によるトラブルから、消費者を守らねばなりません。地方の相談窓口の充実や監視強化などによって、消費者の安全・安心を確保します。
「世界一安心な国」、「世界一安全な国、日本」を創り上げます。
五 暮らしの不安に一つひとつ対応する政治
さて、今、この演説を聞く国民一人ひとりが、悩みや不安を抱えておられます。
家計のやりくり、教育、子育て、介護。こうした不安に目を向け、一つひとつ対応することも、政治の使命です。
「車座ふるさとトーク」を始めました。皆さんの声を直接お伺いするため、閣僚が、地方に足を運びます。一人ひとりの思いを、直接、具体的な政策につなげていきます。
(子どもたちが主役の教育再生)
子どもを持つ親は、常に子どもの教育に頭を悩ませています。
いじめや体罰を背景に、子どもの尊(とうと)い命が絶たれる事案が発生しています。「子どもの命は何としても守り抜く」との強い意志と責任感を、私たち大人が持って、直ちに行動に移さねばなりません。
六年前に改正した教育基本法を踏まえ、現場での具体的な改革を進めます。まずは、先般、「教育再生実行会議」が取りまとめた、道徳教育の充実を始めとする、いじめ対策の提言を実行します。
教育現場で起きる問題に、的確で速やかな対応が行える体制を整えます。現行の教育委員会制度について、責任体制を明確にすることを始め、抜本的な改革に向けた検討を進めます。
学力の向上も、公教育に求められる重要な役割です。世界トップレベルの学力を育むため、力ある教師を養成し、グローバル化に対応したカリキュラムなどを充実していきます。「大学力」は、国力そのものです。大学の強化なくして、我が国の発展はありません。世界トップレベルとなるよう、大学の在り方を見直します。
私も、子どもの頃、野球選手や警察官などと、色々な「夢」を見ました。教育再生とは、子どもたちが、「夢」を実現する意志を持って、自分たちの道を歩んでいけるよう手助けするためのものに他なりません。
その主役は、子どもたちです。
六・三・三・四制の見直しによる「平成の学制大改革」を始め、教育再生に向けた具体的な課題について、今後検討を進めます。
(子育て・介護を支える社会)
子育てに頑張るお父さんやお母さんが、育児を取るか仕事を取るかという二者択一を迫られている現実があります。
待機児童の解消に向けて保育所の受入児童数を拡大します。多様な保育ニーズに応えるためには、休日・夜間保育なども拡充していかねばなりません。放課後児童クラブを増設し、地域による子育て支援も力を入れてまいります。
仕事との両立支援と併せ、仕事への復帰を応援します。両立支援に取り組む事業者への助成、マザーズハローワークの拡充に取り組みます。
年老いた親の介護と仕事の両立に御苦労される方も、増えつつあります。
介護と仕事も、両立しやすい社会を創っていかねばなりません。まずは、その第一歩として、両立するための知識やノウハウを、働く方々や職場に周知して、様々な支援を受けられるようにします。地域のお年寄りの皆さんに、質が高く、必要な介護が行われる体制も整えます。
全てを家庭に任せるのではなく、社会も共に子育てや介護を支えていきます。
(女性が輝く日本)
他方、家庭に専念して、子育てや介護に尽くしている方々もいらっしゃいます。皆さんの御苦労は、経済指標だけでは測れない、かけがえのないものです。
皆さんの社会での活躍が、日本の新たな活力を生み出すと信じます。皆さんが、いつでも仕事に復帰できるよう、トライアル雇用制度を活用するなど、再就職支援を実施します。
仕事で活躍している女性も、家庭に専念している女性も、全ての女性が、その生き方に自信と誇りを持ち、輝けるような国づくりを進めます。皆さん、女性が輝く日本を、共に創り上げていこうではありませんか。
(誰もが再チャレンジできる社会)
老いも若きも、障害や病気を抱える方も、意欲があるならば、世のため人のために活躍できる機会を創ります。その先に、活力あふれる日本が待っています。
個々の事情に応じた就労支援を、きめ細かく行います。「若者・女性活躍推進フォーラム」の場を通じて、更なる課題を抽出し、具体策を検討していきます。
一度の失敗で烙(らく)印が押され、「負け組」が固定化するような社会は、「頑張る人が報われる社会」とは言えません。何度でもチャレンジできる社会を創り上げてまいります。
(持続可能な社会保障制度の構築)
しかし、どんなに意欲を持っていても、病気や加齢などにより、思い通りにならない方々がいらっしゃいます。
こうした方々にも安心感を持っていただくため、持続可能な社会保障制度を創らねばなりません。少子高齢化が進む中、安定財源を確保し、受益と負担の均衡がとれた制度を構築します。
自助・自立を第一に、共助と公助を組み合わせ、弱い立場の人には、しっかりと援助の手を差し伸べます。自由民主党、公明党、民主党による三党間での協議の進展も踏まえ、社会保障制度改革国民会議において御議論いただき、改革を具体化してまいります。
国・地方のプライマリーバランスについて、二〇一五年度までに二〇一〇年度に比べ赤字の対GDP比の半減、二〇二〇年度までに黒字化、との財政健全化目標の実現を目指します。
六 原則に基づく外交・安全保障
さて、外交・安全保障について、お話しいたします。
私の外交には、原則があります。先般のアセアン諸国訪問の際には対アセアン外交の五原則を発表しましたが、私の外交は、「戦略的な外交」、「普遍的価値を重視する外交」、そして国益を守る「主張する外交」が基本です。傷ついた日本外交を立て直し、世界における確固とした立ち位置を明確にしていきます。
その基軸となるのは、やはり日米同盟です。
開かれた海の下、世界最大の海洋国家である米国と、アジア最大の海洋民主主義国家である日本とが、パートナーを成すのは理の当然であり、不断の強化が必要です。
先日のオバマ大統領との会談により、緊密な日米同盟は完全に復活いたしました。政治、経済、安全保障だけではなく、アジア・太平洋地域、更には国際社会共通の課題に至るまで、同じ戦略意識を持ち、同じ目的を共有していることを確認したのであります。緊密な日米同盟の復活を内外に示し、世界の平和と安定のために、日米が手を携えて協力していくことを鮮明にすることができました。
日米安保体制には、抑止力という大切な公共財があります。これを高めるために、我が国は更なる役割を果たしてまいります。同時に、在日米軍再編には、現行の日米合意に従って進め、抑止力を維持しつつ、沖縄の負担軽減に全力で取り組みます。特に、普天間飛行場の固定化はあってはなりません。沖縄の方々の声によく耳を傾け、信頼関係を構築しながら、普天間飛行場の移設及び嘉手納以南の土地の返還計画を早期に進めてまいります。
北朝鮮が核実験を強行したことは、断じて容認できません。安保理決議にも明確に違反するものであり、厳重に抗議し、非難します。北朝鮮が平和と繁栄を求めるのであれば、このような挑発的な行動を取ることが何の利益にもならないことを理解させるべく、米国、韓国を始め、中国、ロシアといった関係国と連携して、断固たる対応を追求します。
拉致問題については、全ての拉致被害者の御家族が御自身の手で肉親を抱きしめる日が訪れるまで、私の使命は終わりません。北朝鮮に「対話と圧力」の方針を貫き、全ての拉致被害者の安全確保及び即時帰国、拉致に関する真相究明、拉致実行犯の引渡しの三点に向けて、全力を尽くします。
拉致、核、ミサイルの諸懸案の包括的な解決に向けて具体的な行動を取るよう、北朝鮮に強く求めます。
尖閣諸島が日本固有の領土であることは、歴史的にも国際法上も明白であり、そもそも解決すべき領有権の問題は存在しません。
先般の我が国護衛艦に対する火器管制レーダー照射のような、事態をエスカレートさせる危険な行為は厳に慎むよう、強く自制を求めます。国際的なルールに従った行動が必要であります。
同時に、日中関係は、最も重要な二国間関係の一つであり、個別の問題が関係全体に影響を及ぼさないようコントロールしていくとの「戦略的互恵関係」の原点に立ち戻るよう、求めてまいります。私の対話のドアは、常にオープンです。
韓国は、自由や民主主義といった基本的価値と利益を共有する最も重要な隣国です。朴(パク)槿(ク)惠(ネ)新大統領の就任を心より歓迎いたします。日韓の間には、困難な問題もありますが、二十一世紀にふさわしい未来志向で重要なパートナーシップの構築を目指して協力していきます。
もう一つの隣国であるロシアとの関係は、最も可能性に富んだ二国間関係の一つであります。本年に予定されているロシア訪問を、日露関係の発展に新たな弾みを与えるものとしたいと考えています。アジア・太平洋地域のパートナーとしてふさわしい関係を構築すべく、日露関係全体の発展を図りながら、最大の懸案である北方領土問題を解決して平和条約を締結すべく、腰を据えて取り組みます。
緊密な日米関係を基軸として、豪州やインド、アセアン諸国などの海洋アジア諸国との連携を深めてまいります。G8、G20や我が国で開催する第五回アフリカ開発会議などの国際的枠組みを通じ、貧困や開発といった国際社会に共通する課題の解決に向け、我が国は、世界の大国にふさわしい責任を果たしていきます。
七 今、そこにある危機
我が国の領土・領海・領空や主権に対する挑発が続いており、我が国を取り巻く安全保障環境は、一層厳しさを増しております。
先般、沖縄を訪問し、最前線で任務に当たっている、海上保安庁や警察、自衛隊の諸君を激励する機会を得ました。その真剣なまなざしと、みなぎる緊張感を目の当たりにしました。彼らを送り出してくれた御家族にも、感謝の念で一杯です。
私は、彼らの先頭に立って、国民の生命・財産、我が国の領土・領海・領空を断固として守り抜く決意であります。
十一年ぶりに防衛関係費の増加を図ります。今後、防衛大綱を見直し、南西地域を含め、自衛隊の対応能力の向上に取り組んでまいります。
我が国の外交・安全保障政策の司令塔となる「国家安全保障会議」の設置に向けた検討を本格化します。同時に、「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」において、二十一世紀の国際情勢にふさわしい我が国の立ち位置を追求してまいります。
危機にあって、大切なことは、大局を見失わないことです。
我が国の国益は、万古不易です。我が国の存立基盤である「海」を、徹底してオープンなものとし、自由で平和なものとすることであります。
「全世界にとっての基本的に重要な原則、すなわち何よりも国際法が力の行使に勝たなくてはならないという原則を守ろうとしていた」
フォークランド紛争を振り返って、イギリスのマーガレット・サッチャー元首相は、こう語りました。
「海における法の支配」。私は、現代において、「力の行使による現状変更」は、何も正当化しないということを、国際社会に対して訴えたいと思います。
安全保障の危機は、「他人事」ではありません。「今、そこにある危機」なのです。
今、この瞬間も、海上保安庁や警察、自衛隊の諸君は、強い意志と忍耐力で任務に当たっています。荒波を恐れず、乱気流を乗り越え、極度の緊張感に耐え、強い誇りを持って任務を果たしています。皆さん、与野党を超えて、今、この場から、彼らに対し、感謝の意を表そうではありませんか。
八 おわりに
江戸時代の高名な学者である貝原(かいばら)益軒(えきけん)は、牡(ぼ)丹の花を大切に育てていました。ある日、外に出ていた間に、留守番の若者が、その花を折ってしまいました。怒られるのではないか、と心配する若者に対して、益軒(えきけん)は、こう述べて許したと言います。
「自分が牡(ぼ)丹を植えたのは、楽しむためで、怒るためではない。」
「何のため」に牡(ぼ)丹を植えたのか、という初心を常に忘れず、そこに立ち戻ることによって、寛大な心を持つことができた益軒(えきけん)。
私は、この議場にいる全ての国会議員の皆さんに、呼び掛けたいと思います。
我々は、「何のため」に、国会議員を志したのか。
それは、「この国を良くしたい」、「国民のために力を尽くしたい」、との思いからであって、間違っても、政局に明け暮れたり、足の引っ張り合いをするためではなかったはずです。
全ては国家、国民のため、互いに寛容の心を持って、建設的な議論を行い、結果を出していくことが、私たち国会議員に課せられた使命であります。
議員定数の削減や、選挙制度の見直しについても、各党各会派で話し合い、しっかりと結論を出していこうではありませんか。
憲法審査会の議論を促進し、憲法改正に向けた国民的な議論を深めようではありませんか。
政権与党である自由民主党と公明党が、政権運営に主たる責任を負っていることは言うまでもありません。その上で、私は、各党各会派の皆さんと丁寧な議論を積み重ね、合意を得る努力を進めてまいります。
この議場にいらっしゃる皆さんには、是非とも国会議員となったときの熱い初心を思い出していただき、どうか建設的な議論を行っていただけますよう、最後にお願いして、私の施政方針演説といたします。
[引用おわり]
[麻生太郎財務大臣の財政演説、財務省ホームページから引用はじめ]
平成二十五年度予算の御審議に当たり、財政政策等の基本的な考え方について所信を申し述べますとともに、予算の大要を御説明申し上げます。
(日本経済の現状と財政政策等の基本的な考え方)
一九九〇年代以降、グローバル競争が激化するなど、内外の経済環境が構造的に大きく変化する中、日本経済は、長きにわたりデフレが継続しております。
賃金の下落が続き、消費や設備投資が伸び悩む中で、成長期待の低下やデフレ予想の固定化が見られ、将来不安などから国民の間に生じた閉塞感を払拭できない状況が続いてまいりました。戦後、こうしたデフレ不況を経験しているのは世界中で日本のみであります。
デフレは、未来への投資を阻害するという意味で日本を劣化させるものであり、日本経済を衰弱させてきた根深い問題であります。こうした状況を打破し、デフレ不況から脱却するためには、従来の延長線上にある対応では不十分です。第二次安倍政権では、これまでとは次元の違う大胆な政策パッケージとして、「大胆な金融政策」、「機動的な財政政策」、「民間投資を喚起する成長戦略」の「三本の矢」を一体的かつ強力に実行して経済再生を推し進めてまいります。
第二次安倍政権は、発足後一ヶ月余りの短い期間で、「日本経済再生に向けた緊急経済対策」の策定、平成二十四年度補正予算の編成、日本銀行との「共同声明」のとりまとめ等、果断かつ的確な政策対応を矢継ぎ早に重ねてまいりました。
こうした第二次安倍政権の経済政策に対しては、去る二月十五・十六日、モスクワで開催されたG20においても、諸外国から強い関心が寄せられました。私からは、新政権が日本経済の再生に着実に取り組んでおり、日本が再び活気を取り戻すことで世界経済にも良い影響を与えることをしっかりと説明してきたところです。
昨年後半には、世界経済の減速等も背景に、日本の景気は弱い動きとなり、景気の底割れが懸念されておりましたが、最近では、株価も回復し始めるなど、明るい兆しも見え始めています。今後とも為替市場の動向について引き続き注視するとともに、こうした動きを、民間投資の喚起や雇用・所得の拡大を通じて、確かな経済の再生につなげていかなければなりません。
そのためには、先に成立した平成二十四年度補正予算の速やかな執行を期すとともに、「十五カ月予算」として同補正予算と一体的に編成した平成二十五年度予算、平成二十五年度税制改正を着実に実行に移していく必要があると考えております。さらには、本年半ばを目途に、日本経済の競争力と成長力の強化に向け、経済構造の変革を図る観点から、大胆な規制・制度改革を含む野心的な成長戦略をとりまとめることとしており、引き続き、切れ目のない政策対応に全力で取り組んでまいります。
一方で、いつまでも財政出動を続けるわけにはいきません。依然として非常に厳しい日本の財政の現状も踏まえ、日本の財政に対する信認を確保していくことも重要です。社会保障・税一体改革を継続するとともに、二〇一五年度までに国・地方のプライマリーバランスの赤字の対GDP比を二〇一〇年度の水準から半減し、二〇二〇年度までに黒字化するとの財政健全化目標の実現を目指し、財政健全化と日本経済再生の双方を実現する道筋について検討を進めてまいります。
(平成二十五年度予算及び税制改正の大要)
続いて、平成二十五年度予算及び税制改正の大要を御説明申し上げます。
平成二十五年度予算につきましては、緊急経済対策に基づく平成二十四年度補正予算と同様に、「復興・防災対策」、「成長による富の創出」、「暮らしの安心・地域活性化」を重視しております。また、老朽化対策など国民の命と暮らしを守る公共事業予算や国民の安心のための防衛予算を充実させる一方で、生活保護や地方公務員給与等について適正化・見直しを行うなど、予算の効率化を図っております。こうした取組を通じて、四年振りに税収が公債金を上回る状態を回復させるとともに、プライマリーバランスを着実に改善させ、財政健全化目標の達成に向けた第一歩となる予算としております。
基礎的財政収支対象経費は、七十兆三千七百億円であり、これに国債費二十二兆二千四百十五億円を合わせた一般会計総額は、九十二兆六千百十五億円となっております。
一方、歳入につきましては、租税等の収入は、四十三兆九百六十億円、その他収入は、四兆五百三十五億円を見込んでおります。また、公債金は四十二兆八千五百十億円、年金特例公債金は二兆六千百十億円となっております。
次に、主要な経費について申し述べます
社会保障関係費につきましては、国民負担の増大を極力抑制する観点から、生活扶助基準・医療扶助の適正化等の生活保護の見直しを行うとともに、暮らしの安心を確保するため、生活困窮者の自立・就労支援、及び生活保護世帯の子どもに対する学習支援等を推進することとしております。また、待機児童解消のための保育所の定員増加等子育て支援の充実や、難病・がん対策の充実・強化に取り組むこととしております。加えて、成長による富の創出を実現する観点から、医療関連分野におけるイノベーションの一体的推進に取り組むこととしております。
文教及び科学振興費につきましては、学力等の向上に向けた施策やいじめ対応等の施策を充実するほか、奨学金等の就学支援、大学改革、学校耐震化等の施策を推進することとしております。また、科学技術関係予算につきましては、研究環境を改革して研究支援人材の確保と安定的雇用の実現を図るとともに、研究資金の改革や産学連携を進めることとしております。
地方財政につきましては、震災対応に万全を期すほか、地方歳出について地域の課題に迅速かつ的確に対応するため、地方公務員給与の削減を要請するなどの取組を行いつつ、地方の安定的な財政運営に必要な地方税、地方交付税等の地方の一般財源の総額を適切に確保することとしており、地方に最大限配慮しております。
防衛関係費につきましては、日本を取り巻く安全保障環境が一層厳しさを増している状況を踏まえ、周辺海空域における警戒監視の強化・安全確保や島嶼防衛態勢の強化、各種事態への即応性の向上等を図ることとしており、実質的に十一年振りに対前年度増額となっております。
公共事業関係費につきましては、引き続き投資の重点化・効率化を図りつつ、国民の命と暮らしを守るインフラの老朽化対策や防災・減災対策等の課題に対応するため、真に必要な社会資本整備等に取り組むこととしております。
経済協力費につきましては、日本の成長にもつながる分野等への重点化を進めるなど、経費の見直しを行いつつ、ODA全体の事業量の確保を図っております。
中小企業対策費につきましては、中小企業の活性化を図るため、小規模事業者に係る支援を拡充しつつ、資金調達の円滑化に関する施策、研究開発支援等に重点化を行うほか、最低賃金引上げに向けた中小企業支援にも取り組むこととしております。
エネルギー対策費につきましては、原子力規制・防災対策の推進、再生可能エネルギー導入及び省エネルギー推進に対する支援や海外資源権益の確保等に重点化を図っております。
農林水産関係予算につきましては、「攻めの農林水産業」を推進するため、担い手への農地集積の加速化や新規就農者の確保・育成、六次産業化や輸出拡大等の推進、農業基盤整備の充実等を図ることとしております。
治安関係予算につきましては、国民の暮らしと命を守るため、警察活動基盤の一層の充実や、出所者等の再犯防止に向けた処遇の強化等に取り組むこととしております。
国家公務員の人件費は、給与改定臨時特例法による給与減額のほか、退職手当の引下げや定員縮減等を的確に予算に反映させております。
なお、震災からの復興につきましては、平成二十七年度までのいわゆる復興財源フレームを見直し、平成二十五年度を含め今後の事業費が十九兆円を上回る部分について、日本郵政株式の売却収入等の六兆円程度を充てることとし、復興財源に対する被災地の不安を払拭することとしております。その上で、平成二十五年度東日本大震災復興特別会計においては、歳出について、東日本大震災復興経費三兆七千百七十八億円、復興債費六百六十二億円、復興加速化・福島再生予備費六千億円を計上し、歳入について、復興特別税一兆二千二百四十億円、一般会計からの受入金一兆二千四百六十二億円、その他収入百十二億円、復興公債金一兆九千二十六億円を見込んでおります。
平成二十五年度財政投融資計画につきましては、緊急経済対策等を踏まえ、長期リスクマネー等を呼び水として供給し、民間投資の喚起、中小企業等の支援や日本企業の海外展開支援等に積極的に対応することとし、計画の規模は十八兆三千八百九十六億円となっております。
借換債等を含む国債発行総額につきましては、百七十兆五千四百五十二億円と、平成二十四年度と比べ減額となりましたが、国債発行総額・残高とも極めて高い水準にあります。財政規律を維持して、市場の信認を確保するとともに、市場との緊密な対話に基づき、そのニーズ・動向等を踏まえた発行を行うなど、国債管理政策を適切に運営してまいります。
平成二十五年度税制改正におきましては、現下の経済情勢等を踏まえ、成長による富の創出に向けた税制上の対応、社会保障・税一体改革の着実な実施、震災からの復興支援のための税制上の対応、円滑・適正な納税のための環境整備等、所要の措置を講ずることとしております。
具体的には、生産等設備投資促進税制及び所得拡大促進税制の創設、研究開発税制の拡充、事業承継税制の見直し、所得税の最高税率の見直し、相続税の基礎控除及び税率構造の見直し等を行うこととしております。
(むすび)
以上、財政政策等の基本的な考え方と、平成二十五年度予算の大要について御説明申し上げました。
長引く円高・デフレ不況を脱却し、日本経済再生の道筋を確かなものとするためには、本予算の一刻も早い成立が必要であります。
何とぞ御審議の上、速やかに御賛同いただきますようお願い申し上げます。
グローバル競争の激化や少子高齢化などは、日本だけが直面している問題ではありません。諸外国も、デフレ不況からの脱却を目指す政策パッケージとして、日本の経済政策に高い関心を寄せております。日本は、先駆者として、デフレ不況からの脱却を実現し、世界にその解決策の一つの形を提示していかなければなりません。強い日本経済を取り戻すため、私も諸般の課題に全力で取り組んでまいります。
国民各位の御理解と御協力を切にお願い申し上げます。
[引用終わり]
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