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ニュースサイト宮崎信行の国会傍聴記

元日本経済新聞記者の政治ジャーナリスト宮崎信行が衆参両院と提出予定法案を網羅して書いています。

【予算、公債、税制が衆通過へ】共産党が民維の組み替え動議に賛成する歴史的転換 平成28年度

2016年03月01日 18時52分47秒 | 第190回通常国会(2016年前半)

[画像]民維提出の組み替え動議に賛成する、共産党の高橋千鶴子さん(1列目)、藤野保史さん(2列目)、衆議院インターネット審議中継からスクリーンショット。

【平成28年3月1日(火) 衆議院本会議】

 午後4時設定。「平成28年度予算案」(190予算3~5号)が、議事進行係の緊急上程の動議をえて、議題になりました。

 委員長報告の後、民主党・維新の党が組み替え動議(撤回のうえ編成替えを求める動議)を提出し、趣旨弁明がありました。討論では、自民党の金田勝利さんが(動議に反対し)、政府原案に賛成、民主党の本村賢太郎さんが反対、公明党が賛成、共産党の畠山和也さんが「政府原案に反対し、民維の組み替え動議に賛成する」立場で討論し、民主党から拍手を浴びました。討論が終局し、記名投票で採決。投票総数462、賛成326、反対136の賛成多数で可決しました。

 次に、「平成28年度地方税法改正案」(190閣法21号)「地方交付税法改正案」(190閣法22号)が議題になりました。民維共などの反対、自公・おおさか維新の会などの賛成多数で可決しました。

 続いて、「平成28年度から平成32年度までの特例公債法案」(190閣法7号)「平成28年度国税改正法案」(190閣法16号)が一括して議題になりました。

 討論は民維クから落合貴之さんが登壇し、一括採決に反論して、「私の段では特例公債法案について反対する。特例公債は将来に何を残すのか」と問いました。落合さんは36歳。中野寛成先生が36歳で初登壇し、昭和52年特例公債法案に反対討論「坊蔵相が引退しても、政府の借金は棒引きできません」と演説した日から39年がたったことになります。次に、自民党の大塚高司さんが賛成討論。この後、民主党の鈴木克昌さん(72歳)が登壇し、税制改正法案に反対討論しました。討論終結後に採決し、可決しました。

【同日 衆議院予算委員会】

 前日のうちに、採決で合意していたため、「集中的締めくくり質疑」と銘打ち、2年連続でNHK国会中継が入りました。昨年の前原誠司筆頭理事時代から締めくくり質疑が集中審議と合体した「集中的締めくくり質疑」になったので、NHK国会中継が入るようになり、山井和則筆頭理事時代にも引き継がれました。

 竹下亘委員長は午後12時8分、質疑終局を宣言。

 民主党・維新の党、共産党、おおさか維新の会の3会派から組み替え動議(政府原案を撤回の上政府に編成替えを求める動議)が出ました。

 民維は西村智奈美さんが「アベノミクスが失敗していることは審議でも明らかだ」として、歳出の組み替え案として(1)給付型奨学金の創設(2)児童扶養手当の第2子以降の加算をより増額する(3)概算要求額を超える額がついている歳出を精査のうえ、すべて概算要求額以下で査定する(4)見合いの交付金、ひも付き補助金をやめ一括交付金にする(5)農業の交付金を減らして農業者戸別所得補償を復活させるーーことを提案しました。

 共産党は(1)介護報酬の削減の中止(2)大学運営費の削減の中止(3)原発立地交付金の削減ーーなどを提案した、組み替え動議を提出しました。

 おおさか維新の会は、省ごとに、いくつかの歳出項目を丸ごと削り、歳出総額で1・2兆円を削減する案を口頭と文書で示しました。

 討論。自民党は賛成の理由を「経済再生と財政再建を両立させるため民需主導の好循環をつくり我が国の重要課題に対応した予算だ」としました。

 民主党・維新の党は篠原豪さんが討論し、政府原案に反対し、民維の組み替え動議に賛成しました。

 公明党は賛成。

 共産党は政府原案に反対し、自党の組み替え動議に賛成しました。討論の最後に、「なお一言付言します」として、民維の動議に言及し、給付型奨学金、介護など「いずれも大事なことであり、部分的に賛成します」と述べました。他の党の組み替え動議に「部分的に賛成」すると言及するのは極めて異例。民維議員席から「オー」という声が上がりました。

 おおさか維新の会は反対。改革結集の会も「与党の暴走は目に余る」という強い口調で反対。組み替え動議は、(1)民維案反対、(2)共案反対、(3)おおさか維新の会の組み替え動議に賛成しました。

 採決。

 組み替え動議の採決で、民維案に、共産党の高橋千鶴子さん、藤野保史さんが起立しました。

 岡田さんが先週末、2016年2月26日に言った、「本日を日本の政治の流れを変える歴史的転換点にしたい」との発言を彷彿とさせました。

 民維・共・おおさか維新の会・改革結集の会の反対、自公の賛成多数で平成28年度予算案は可決しました。

 本会議に緊急上程へ。 

 竹下亘委員長は「さまざまなことがありました」としながら、与野党の理事・委員に感謝しました。

 午後12時45分散会。

【同日 衆議院財務金融委員会】

 午後1時設定。

 「平成28年度から32年度までの特例公債法案」(190閣法7号)「平成28年度国税改正法案」(190閣法16号)

 特例公債と年次税制改正の異例の一括審査となりましたが、きょうは2度目の総理入り質疑があり、与党が当然の配慮をしたようです。

 総理入り質疑は2時間、その後、1時間質疑。
 質疑終局後、民維が「平成28年度から32年度を平成28年度に修正する」との案を提出。

 採決では政府原案通り可決。

 対決色が強かった委員会ですが、最後は、民主党の古川元久さんが代表して国税改正法案の附帯決議を付け、散会しました。

【同日 衆議院総務委員会】

 午後1時設定。 

 「平成28年度地方税法改正法案」(190閣法21号)と、「地方交付税法改正案」(190閣法22号)を審議し、採決の結果、可決しました。

 この後、超党派で「地方財政基盤の確立を求める決議(案)」が提出され、自民党の原田憲治さんが提案理由説明。臨時財政対策債の償還への配慮や、規模の小さい自治体の起債への配慮などを求めました。全会一致で採択。高市総務相は「十分に尊重する」と発言し、拍手で散会しました。

このエントリー記事の本文は以上です。

(C)宮崎信行 Nobuyuki Miyazaki 
(http://miyazakinobuyuki.net/)

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