【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

株価暴落、追証強制決済でろうばい売りか、岸田文雄首相「秋の経済対策」

2024年08月05日 09時36分30秒 | 第214回国会
[写真]東京証券取引所、おととし2022年夏、宮崎信行撮影。

 植田日銀総裁が、利上げをしたことで、日米金利差が縮小し円安が是正されたことから、輸出製造業のウエイトが多い「日経平均株価」が大暴落しています。リーマン・ショック以来の16年ぶりとなります。日銀は既に「株式ETF」の購入を全くゼロにすると5月に決定しましたので政府による「クジラ」で上げることもできません。10年物国債の利回りは下落(価格は上昇)しましたので、財務省理財局は一息付けます。

 先物取引に必要な証拠金の3倍を下回る株価になると、強制決済になったり、現金を差し入れたりしないといけないため、きょう後場からはさらに下がる見通し。

 さて、岸田文雄首相は、令和6年2024年6月21日の通常国会閉会にあたっての記者会見で次のように述べました。

 首相は「一方で、物価水準が高止まる中で、年金(生活)世帯や価格転嫁を進められない中小企業の皆様には、厳しい状況が続いています。移行に取り残されるおそれがある方々へのきめ細かな支援が必要です。このため、二段構えでの対応を採ってまいります。第一段は、早急に着手可能で即効性のある対策、第二段は、秋に策定することを目指す経済対策の一環として講じる対策です」と述べました。
 首相は「まず、第一段の対策としては、地方経済や低所得世帯に即効性の高いエネルギー補助を速やかに実施いたします。まず、燃油激変緩和措置は、年内に限り継続することといたします。そして、酷暑、暑い夏を乗り切るための緊急支援、「酷暑乗り切り緊急支援」として、8月・9月・10月分、3か月について、電気・ガス料金補助を行います。いずれも、具体的な内容について、早急に与党と調整いたします。これらの措置による、年末までの消費者物価の押し下げ効果を、措置がなかった場合と比べ、月平均0.5パーセントポイント以上とするべく、検討してまいります」と語りました。
 
 大事なのはここからです。首相は「次に、第二段の対策として、年金(生活)世帯や低所得者、地方経済に焦点を絞って、思い切った検討をしてまいります。具体的には、物価高の中で食費の高騰などに苦しんでおられる年金(生活)世帯や低所得者世帯を対象として、追加の給付金で支援することを検討いたします。さらに、学校給食費等の保護者負担の軽減、飼料高騰などの影響を受ける酪農経営などの農林水産業、そして中小企業、医療・介護、保育、学校施設、公衆浴場、地域公共交通、そして物流、地域観光業等に対する物価高騰への幅広い支援を、(物価高騰対応)重点支援地方(創生臨時)交付金の拡充により、きめ細かく講ずることを検討してまいります」と語りました。

 この「第二弾の対策」について、首相は8月1日の千葉県内のぶら下がりで「そのために、既に重点支援地方交付金の措置を行っているところではありますが、物価高等への対応について、秋に策定することを目指しています経済対策の一環として、この第二弾の対策の中に、是非こういった対応を検討してまいりたいと考えています 」と話しました。

 秋の経済対策ですが、「秋の」は広辞苑によると、9月・10月・11月のことを意味します。 9月の総裁選後に「秋の経済対策」をまとめることになりそうです。首相は再選しても内閣改造をしないかもしれないとの観測もあります。茂木幹事長・森山総務会長・小渕選対委員長らが党内政局をしかけていないからです。

 岸田さんが「秋の経済対策」で予備費でなく、補正予算案を作成して臨時国会を召集するかどうかは五分五分だといえそうです。

 以上です。