「縦横無尽」 フローレ21社長のコラム

花の仲卸フローレ21社長小池潔がつれづれに語ります 快調に更新中

卸売市場と仲卸の前途

2007-01-28 12:38:12 | Weblog
民間調査会社の東京商工リサーチが2007年1月19日に発表した企業倒産状況によると、2006年の全国倒産(負債総額1,000万円以上)件数は前年比1.9%増の1万3,245件となり、5年ぶりに増加した。
負債総額は5兆5,005億円で、前年比1兆2,029億減(17.9%減)となり、94年以来12年ぶりに6兆円を割り込んだ。
件数が増えて負債総額が減ったのは地方の小規模企業の倒産などが目立ったことによる。

花卉業界もご多分漏れず、1月19日(金)の営業をもって相模原園芸市場が閉鎖をした。
資産を売却し、ほぼ負債を補ってことなきをえた、相模原園芸は世田谷中央市場が開設をされ売参人が世田谷に移ったことによる売上げの低下を、補う営業活動が行なわれていなかった、またおりからの切花や鉢物の単価の下落により大幅な収益の悪化が原因と思われる。
いずれにしろ「千葉中央」の廃業とも含め20億未満の市場が今後将来にわたり存続していくことの難しさを示唆しているように思う。

フローレが100%の資本金を出資している「飯田橋生花市場」においても同様の現象が出始めている。
1994年浅草橋生花市場から営業権を取得して以来、当時売上げが3億未満だった市場を順調に売上を伸ばし2004年10年で10億を超える売上げまでまで伸ばした。
しかし、この1・2年売上げの低迷と下落に悩んでいる。
近い将来、大胆な統合、合併など前向きな改革が必要になって来ている。
飯田橋生花市場が抱えている問題は全国の中小の生花・園芸市場が全てが抱えている問題でもある。
花卉の消費が1990年代後半から少しづつ減りはじめ、いまだに、その回復のめどが立っていないという現状。
単価の下落による、仕事量が増加しながら売上が下がるという矛盾、売るという行為がシステム化されていない市場は、その多くの作業を長時間労働で支えていることでの人材難、与信管理の甘さからくる貸し倒れ等幾つもの要因が経営を不安定にさせている。
業界の中で将来にわたり中小の卸売市場は生き残りが可能なのか?大いに論議をし模索をしていただきたいと思う。

市場ばかりでなく、仲卸にはもっと構造的な不安定要因が課せられている。
大田中央市場内の我々の仲間である「株式会社ベル」が12月に倒産した。大田市場1990年開場以来20社の仲卸の約半数が入れ替わることになる。
このことが圧倒的な日本一の物量を誇る大田市場内で起こっていることに驚きと、謎がある。
大田花き、FAJ合わせて500億を越える物量があり、その比率は日本全体の10%を占めている。
仲卸が商いをするには、これ以上の恵まれた環境は他には見当たらない中で倒産と廃業が繰り返されている。
仲卸はどんなにシステム化しても売上げを上げれば上げるほど労働集約型の産業である。
もともと資本、金融に弱体な体質を持つているために一発の貸し倒れで経営そのものが不安定になる、まして何度かそのことが続いたなら今度の「ベル」のような倒産ということである。

昨年より「東京花の仲卸会」(55社)の代表をひき受けることとなり、少なからず会員の様子は注意深く見守っているつもりでいる。
しかし今回のようなことはなかなか本人の言葉を介さないとわからないものである。
2月には55名の会員で、できるだけ多くの参加を募り、新年会の前半にたっぷり時間を取り、意見を交わしたいとおもっている。

いずれにしろ花の消費が伸び、拡大しなければ、花によって生計を立てている花卉業界全体が苦しんでいかなくてはならない。野菜はどんなにがんばってみても一人当たりに一年間110kgというのが消費量である。
花はその限界がない商品である。少しのお金の余裕と心の余裕、心の豊かさがあればもっともっと伸びなければならない商品だと思う、伸びない理由を業界全体が一つづつ排除していくことが、今望まれている。