「縦横無尽」 フローレ21社長のコラム

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タイムズ誌「世界で最も影響のあった100人」2011年

2012-07-19 07:48:54 | Weblog
アメリカのタイムズ誌が毎年「世界で最も影響力のある100 人」を選び出す。2011 年選ばれた面々はオバマ大統領とミシェル夫人、ミャンマー民主化の指導者アウン・サンスーチー、スペインリーグ・バルセロナで活躍中アルゼンチンのリオネル・メッシ、ウイリアム王子とケ-ト、ブラジルルセフ女性大統領など超大物揃いです。

日本から二人が選ばれた。一人は南相馬市長桜井勝延。福島第一原発から25km以内にあり、地震、津波、放射能で政府からはまともな情報や救済が行われず。東電にいたっては原発事故を起こした当事者意識もなく、まるで天災であるかのような立ち振る舞いに怒り爆発。ユーチューブで事故の模様を発信、世界に向けてSOS を叫んだ。政府の無策ぶり、東電の無責任さを世界に暴いた。
もう一人の日本人が志津川病院の医師菅野武(33 歳)。3 月11 日いつものように病院で治療にあたっていた。経験したことのない長時間の大きな揺れ。そして大津波警報。医師、看護婦、職員は津波マニュアルにそって3 階以上への避難を開始した。しかし地震の大きな揺れから、少しでも高いところへの避難を職員で確認、患者の移動を5 階へ目指し搬送した。
勿論エレベーターは停止、車椅子や担架での移動となった。防災無線の警報から40 分、病院の電源は失われ、町全体が濁流に飲み込まれた。看護婦は「患者さん全てを5 階へ運び込むことができなかった」病院の4 階まで津波が来ていた。
菅野医師は初めて死を意識した、そして同時に「後悔したくない、これ以上誰も死んでほしない」「これから先、たとえ死が避けられないとしても、最後まで医師として後悔しないときを過ごすと覚悟を決めた」こう言われた。
そこから菅野医師の不屈の救援、治療活動が始まる。菅野医師は奥様そして3歳になる美月ちゃん、奥様のお腹の中には臨月を迎えた胎児がいた。
志津川病院のすぐ下のアパートに暮らしていた自宅は、家も車も全てが濁流に飲み込まれ跡形なく流されていた。生まれてくる子供が家族の命を救った。出産予定日3 月16 日を控え、仙台の実家へ出産準備で戻っていたことで一命を取り留めた。
彼は産まれた男の子に「怜」と名付けた。2つの意味が込められており、ひとつは光、そしてもうひとつは困難に打ち勝つことを意味する。
タイムズ誌2011 年最も影響力のある100 人に選ばれた菅野医師は「目の前の困っている人を助けるという当たり前のことを、震災という受難の中でも続けただけ」「すごいことをしたとも思わないが、日本人全体が復興に向けて頑張っている中で、その1人として選ばれたと考えることにした」「地域でも一流の治療が受けられるようにしたい。南三陸町には通い続けるつもり」と話された。
菅野医師は「さくら並木ネットワーク」の活動に共感いただき支援の輪を広げていただいている。SNN の役員数人と数時間、奥様の由紀恵さん、美月ちゃん、玲君を含め懇談し、たくさんの想いの詰まった貴重なお話を聴かせていただいた。
さくら並木ネットワークは創立一周年と普天間かおりのさくら並木を歌った楽曲「さくらいろのみち」(仮称)のリリースを10 月24 日下北沢都民協会で行う。菅野先生にも講演を依頼、スケジュールが運よく空いていれば御出で頂くことになっている。

・あきなめないこと・自分にできることを必死で果たすこと・そして一人でないことを知り、皆でつながって人の輪の力を信じること。菅野武

(参考資料「寄り添い支える」-公立志津川病院若き内科医の3・11ー著者菅野武)