「縦横無尽」 フローレ21社長のコラム

花の仲卸フローレ21社長小池潔がつれづれに語ります 快調に更新中

「三春の滝桜」

2012-04-07 09:00:54 | Weblog
砧公園の桜もこの土曜日曜が見ごろを迎える。半月ばかり遅い春がやってきた。大勢の人でお花見だ、皆桜を愛でて何を思うのか?
10人が10人きっとさまざまな思いを抱き今年のさくらを眺めるのだろう。

4月初旬福島三春町を訪問、「三春の滝桜」に会いに行った。現場に着いたのは日落ちる少し前だった。
勿論一輪の花もつけていない滝桜が20mもあると思われる枝を東西南北に大きく張り出し垂れ下がっているようすは、桜の王者を十分感じさせる存在であった。
この桜が満開の花を咲かしたら自分は何を思い、何を感じるのか、花の咲いた滝桜に巡り合いたいとも思った。
三春町への訪問は滝桜に会うことが目的ではなく、この滝桜をも守っている村田春治(82歳)さんに会うためである。

「さくら並木ネットワーク」が今春、植樹した90%の桜は「江戸彼岸桜」だった。樹齢が長く、東北の地へ植えるのに適した品種と言うことで推奨した桜である。
「三春の滝桜」も原木はこの江戸彼岸桜が突然変異で枝垂れたものらしい。
「三春の滝桜」の種子を育てても2割3割しか枝垂れるものは現れない、三春以外の枝垂れではその確立はさらに十分一程度になると言う。
突然変異の突然変異が三春の滝桜らしい。これを守っている村田春治さんも滝桜と変わらぬぐらい、変わってる人であった。
82歳で後継者がいなくて、一人で何町歩もの畑と庭を管理するのは酷な話である。
残念ながら手入れがいきとどいてなくて、頂ける「三春の滝桜」は一本もなかったが、多くの貴重なお話を聞かせて頂き勉強になった。
しかしどうしても今回の三春訪問で純粋の「滝桜」を5本6本、目途を付けなければならい事情があった。
時間がない中走り回り、手入れのいきとどいた立派な畑で「三春の滝桜」に出会うことができた。
その畑の滝桜は、何度も移植を繰り返し、根きりをして新しい根毛を育て移植に耐え、成長するような立ち姿を素人の私たちにも感じさせてくれた。

樹木に特別の知見を持っておられる、東京農大の濱野教授を訪問。お話を伺った折「さくらは人の手が入れば入るだけ、良い木となる」「それも小さいうちが大切である」人の子を育てるのと変わりがないのだなと思った。
その畑の「三春の桜」は子供を育てるように育てている愛情が私にも伝わり「この滝桜なら喜んで頂ける」と確信した。

大した知識もなく「さくら並木ネットワーク」を立ち上げ、問題にぶつかるたび識者に教えを乞い解決してきた。
桜の持っている力にも驚かされたが、桜を植え、育てる過程おいても深い深い知識と経験が必要だと感じさせられた。

「さくら並木ネットワーク」が遠い将来、発展的に解消する時が来たとしたら、その後の組織は「さくら並木を守る会」として再出発しなければならないが、それは次の世代に託すしかない。

最新の画像もっと見る