女装子愛好クラブ

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キャンディ・ミルキィさんのこと(2)

2024年07月25日 | 私的東京女装史
承前です。
山崎邦紀氏のプロフィールはこちらです→★

繰り返しになりますが、出所は『コミック女装奴隷 vol.1』 2011年 一水社です。
これは成年向けなのでここではリンクは貼れません。
またAmazonでは書名の奴隷が●隷となっています。
御容赦を。

 本人に確認したわけではないので、実際のところ、どうだったかは分からないが、戯画化されたロリコン漫画的衣裳でオフロードバイクを疾駆するキャンディさんの勇姿には、沙漠のゲリラのような鮮烈な印象があったことも確かである。
 渡辺教授の理論闘争や、キャンディ・ミルキィさんのゲリラ的実践を一方の極とすると、女装の世界のもう一方には日々の日常生活の中に静かに埋没し、潜航艇のように時折見え隠れしている一群の人々があった。そんな 「彼女たち」とわたしは上野公園で花見をしたことがあったが、待ち合せをした東京駅の銀の鈴(名古屋から上京してくる人たちもいた)で、わたしは世界の裏と表が入れ違ったような感覚を味わった。

 女装者と「普通の人」の区別がまるで分からないのだ。初めて会うので、目を皿のようにして待ち合せポイントに集まってくる人たちを眺めているのだが、見れば見るほど通行人の普通の女性たちが女装者のように見えてくる。その間に決定的な差異は伺も無かった。
 総勢十人近いグループとなったが、いずれも地味な奥さんといった風情で、人の目を引くようなところがいっさい無い。わたしたちは上野公園で花見し、酒を飲んだ後、なぜか国立博物館を見学したが、周囲で女装者であることに気付いた人はほとんどいなかった。それほど「彼女たち」の女装は、日常性の中に忍者のように忍び込んでいたのである。

 そこでわたしが興味を惹かれたのは、ある女装者に付き添ってきた老紳士で、パトロンか何かなのだろうが、男として女を愛するのではなく、また男として男を愛するのでもなく、明らかに男が女の衣裳を着た女装者を、性的に愛するタイプの男たちがいることを初めて知った。

 その後「女装と日本人」 (講談社現代新書)の著者、三橋順子さんの文章や講演によって、女装者を性的に愛好する男たちのディープな世界が浮かび上がってきた。なお、三橋さんが研究者としてカミングアウトする以前に、結局は2号で敢えなく廃刊となった、 『クロス・ドレッシング』創刊号でグラビア・デビューを飾っていたことは、知る人ぞ知る、誰も知らなくても何の問題も無い、実に些末な事実である。

 かつてあった女装者を性的に愛好する男たちの欲望と、女装男子や「男の娘」に萌える現代の男や女たちの性的ファンタジーが、どのように交絹するのか、しないのか、もし本誌に次号があれば考察してみたい。(山崎邦紀)
出所:『コミック女装奴隷 vol.1』 2011年 一水社
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