『前田国交相をクビにして”尖閣”を守れ!』(夕刊フジ、平成24年6月2日付けより抜粋)
野田佳彦首相が、内閣改造を行う方針を固めた。交代濃厚な前田武志国交相(74)だが、問責可決後も居座ったため、海上保安庁に離島で違法行為に及んだ外国人の身柄を拘束する権限を与える「海上保安庁法改正案」を、衆院国交委員会で審議できない状態が続いている。中国が沖縄・尖閣諸島への野心を見せるなか、危機感が薄いといわざるを得ない。
現行法では、海保が逮捕などの警察権を行使できるのは洋上に限られ、離島に上陸されたら手が出せない。例えば、外国人が不法上陸した場合には、わざわざヘリや船で警察官を連れてくる必要がある。2010年の尖閣諸島での中国漁船衝突事件を受け、野田内閣は今年2月28日、この“隙”を埋める改正案を提出した。
同委員会の自民党筆頭理事、山本公一氏は夕刊フジの取材に対し、「理事会で、委員会に残っている10法案を、優先順位A、B、Cに分けた。同法案は国益に直結するので最優先の『A』に分類し、民主、自民、公明の各党は『早くやろう』と合意していた」と明かした。
しかし、4月20日に前田氏の問責が可決されたため、委員会審議はストップ。同法案は所信演説すらできていない状態だ。
山本氏は「前田氏は明らかな選挙違反をして問責された。それでも、交代せずに、審議に応じろというのはあり得ない。建設官僚出身の前田氏は、誰よりも法案が成立しない苦しみと、大臣の重みを分かっているはずだ。国会を動かすために、早く決断すべきだった」と話している。