小浜逸郎・ことばの闘い

評論家をやっています。ジャンルは、思想・哲学・文学などが主ですが、時に応じて政治・社会・教育・音楽などを論じます。

「希望」拾遺集

2017年10月05日 10時53分18秒 | 思想



上記のように「希望の党」の公約原案が公表されました。
一見して、支離滅裂というしかありません。
この支離滅裂さは、次の二つの理由に拠っています。

①他党の綱領やこれまで誰かが言ってきたことをそのままパクっていること。
②選挙対応策として、自民に対抗する姿勢を顕著に打ち出すための目玉商品を、見境もなく打ち出していること。

①と②との間で矛盾をきたしてしまうのは当然ですね。

①は、主として日本維新の会のそれです。
一院制導入、国会議員定数と報酬削減、国会権限強化、道州制などがこれに相当します。
これらはいずれも、緊縮路線であると同時に、地方の過疎・貧困化促進の政策です。
維新の全体主義的性格をそのまま受け継いでいるわけです。
いったい何のために自党の政策として一院制や道州制を導入するのか、小池代表は説明する義務があるでしょう。

また、しばしば説かれてきたベーシックインカムは、じつは、日本のこれまでの社会保障システムを崩壊に導くためのばらまき路線です。
極少額のお金を支給して、その後に、これをアリバイにして、皆保険制度、年金制度、生活保護制度などに手を付ける魂胆、見え見えですね。

原発ゼロは、サヨクに媚びを売るための目玉ですね。
その一方で、「再稼働できる原発は有効活用」とは、なんのこっちゃ。
わが国のエネルギー安全保障など何も考えていない。不真面目極まります。

消費税引き上げ反対は、対自民党対策の目玉ですが、増税を強硬に主張する財務官僚やバカマスコミの壁をどのように突破するのか。

「金融緩和と財政出動に過度に依存しない」というのは、本来のアベノミクスの否定ですが、同時に、財務省が泣いて喜ぶ緊縮路線そのものです。
これにより、デフレはますます進むでしょう。

企業の内部留保課税は、財政出動の回避であるとともに、民間の資産(ストック)に対する財産権の侵害、つまり憲法違反です。

にわかごしらえの「希望の党」、かくもデタラメの公約を披露して、天下に恥じないらしい。

さて、先日来、フェイスブックその他を通じて、「旧」民進党と希望の党をめぐる流れを揶揄する狂歌その他をいくつか発表してきましたが、これに呼応して、何人かのみなさんが、なかなかの傑作を寄せてくださいました。
そのまま消えてしまうのはもったいない気がしますので、以下、拙作も含め、発表順に「拾遺集」としてここに記録させていただきます。
いちいち了解を求める余裕がないため、無断転載となりますが、どうぞ作者のみなさまには、お許しを願う次第です。


                               逸 郎
池のはたに 咲く白百合に 惑わされ 前の原ぐさ みななびくかな      (10月1日)


                              伸 二  
立つよ必ず 都民を捨てて あと白波の ゆりのすけ              (10月1日)

                            
                          よみびと知らず 
安倍がつき 小池がこねし 天下餅 すわりしままに 食うは竹中       (10月1日)


                              逸 郎
《返し》竹中を 打ち割りてみれば こなれたる 安倍川餅や 小池の魚     (10月1日)


                              草 一
ミサイル飛ぶ 日本の空に 雲深し 身捨つるほどの 政策はありや      (10月1日)


                              逸 郎
みんしんと 夜の更けるまに 人は去り 枝の先まで やせ細るかな      (10月2日)


                              逸 郎   
このたびは  知事も捨てきれず  小池山  人集めなど  金のまにまに     (10月4日)


                              重 忠
総理取ろうか 都知事にするか ここが思案の 豊洲駅            (10月4日)


                              逸 郎
希望とは 政治用語か 民進の 身の置き所とは なりにけるかな       (10月4日)


                              重 忠
希望とは 夕立避ける 庇なり 晴れなきゃ母屋 脅し取るまで        (10月4日)


  希望が民進の政治資金を頼みとするを揶揄して詠める    逸 郎
解党と はっきり言わなきゃ OKと 小池前原 アウフヘーベン        (10月4日)


                              草 一
兎も角も 選挙で勝つのが かんじんてーぜ あんちがひなんか 知らん顔しよう(10月4日)


                              重 忠
解凍は うまくないよと 新さんま                     (10月4日)


                              逸 郎    
希望という名の あなたを訪ねて 新しい党へと また方針変える
あなたはいまの 私のあこがれ 権力の夢 叶えてくれそう
けれど私が プロポーズした日に 冷たい踏み絵を 突きつけたあなた
いつかあなたと 妥協するまでは 私の旅は 終わりが見える旅        (10月4日)


                              重 忠
懐かしや 「うそ」口ずさみ 票入れる 中条きよし             (10月4日)


こんなところですが、まだまだできそうですね。

最後に
 
    希望の党の公約わりなきを嘆きて詠める        逸 郎
膏薬を あまた貼りたる 晴れ姿 はしと見ゆれど うつろ隠せず       (10月5日)