内的自己対話-川の畔のささめごと

日々考えていることをフランスから発信しています。自分の研究生活に関わる話題が多いですが、時に日常生活雑記も含まれます。

パリのホテルから ― 新型コロナウイルス感染拡大の影響について

2020-02-28 14:38:46 | 雑感

 明日のイナルコでの日本哲学研究会に参加するために前日の今日の昼からパリに来ている。宿泊先のホテルの部屋でこの記事を書いている。
 昨晩、三月に予定されていた日本の大学との交流プログラムの一つが新型コロナウイルス感染の欧州での急速な拡大という理由から中止になったという連絡がこちら側の担当者から入った。学生たちの研修旅行自体を中止するという決定がその日本の大学当局によって下されたのである。今朝、もう一つの研修プログラムもおそらく中止になるだろうと別の日本の大学から連絡が入った。そして、今さっき、ホテルに着いてメールボックスを開いたら、来週の木曜日に私の授業で受け入れることになっていたまた別の日本の大学からも同じ理由で研修旅行が中止になったと連絡が入った。
 感染の拡大がヨーロッパでも深刻化しており有効な治療法もいまだ見つかっていない現状ではこの判断はやむを得ないだろう。これらの研修の参加者たちの中には海外旅行ははじめてという学生も少なくなく、慣れない土地での滞在はいくら若くて体力があるといってもやはり体調を崩しやすくなる。たとえ海外研修は参加学生たちにとってとてもいい経験になるとわかっていても、このような状況下で無理をしてまで実施するべきではないだろう。
 日本ほどまだ深刻化してはいないが、フランスでも今朝の時点で、全国で確認された感染者が39人、うち2人が死亡、12人が入院後快癒して退院、25人が現在も入院中、そのうち2人が重篤な症状を示しているという。また、中国および感染者数が多いイタリアのロンバルディア地方からの渡航者・旅行者・帰国者たち数十名がヴァカンス施設などに隔離されているという。
 感染拡大は世界中で今後さらに深刻化すると覚悟しなくてはならないだろう。個人としては、しなくてもすむ外出は極力避け(って、よりによってこんなときに私はパリに来ています)、感染を未然に防ぐ対策を十分に取り、息を潜めてこのパンデミックの終息を待つしかないのだろうか。