内的自己対話-川の畔のささめごと

日々考えていることをフランスから発信しています。自分の研究生活に関わる話題が多いですが、時に日常生活雑記も含まれます。

AI の拓く未来の恍惚と不安、そして旧前田侯爵邸見学の記

2019-01-05 18:46:05 | 雑感

 今日の昼は、代々木上原駅近くで、AI の分野で最先端の研究をされていて、現在はケンブリッジ大学の客員研究員としてサバティカルイヤーをお過ごし中のT先生と年末年始一時帰国中のミニ「新年会」。三月からのサバティカルの後半はコロンビア大学で過ごすというのが当初の計画だったが、ケンブリッジの居心地があまりにも良くて、一年間過ごしたいと仰っていた。かつて留学されていたロンドンには所要で出向くことはあっても、とにかく人が多く治安も悪く、居るだけで疲れてしまうから、用が済んだらさっさとケンブリッジに戻ると仰っていた。ケンブリッジでのAI についてのプロジェクトに参加されていて、そこでのご自身の講演や様々な発表を聞かれてのご感想など、短い時間であったがいずれも大変興味深く、いろいろと考える材料を頂戴することができた。三月にコロンビア大学に移られてしまわないのなら(何の教育義務もないし、講演はしてくれと頼まれているだけだから、必ずしも長期滞在の義務はないとのこと)、できたらストラスブールでも講演していただけないかとお願いしておいた。
 T先生と別れた後、遠い昔母方の祖父母が住んでいた家のあたりをぶらりと散歩した。半世紀近く前のことであり、何か当時の面影が残っているかわからないままに、記憶を辿りながら歩いていると、なんとなく見覚えのある細い商店街の通りを見つけ、そこを歩きはじめると、おのずと子供の頃の記憶が少しずつ蘇ってきた。そして、かつての祖父母の家の跡に迷うことなく行き着いた。その家の玄関までは飛び石つたいの小道があったのだが、それがほぼ昔のまま残っているのには、ちょっと驚かされ、懐かしさに胸が締め付けられ、辺りには人一人いない静かな住宅街で、「ああ、まだそのままなんだ」と、思わずひとりごちた。しかも、現在のその家(といってもすっかり建て直されているが、敷地は同じ)の主は、祖父母からその土地家屋をそのまま買った夫婦が今も住んでいることが表札からわかった。もういつのことだったかよく思い出せないが、祖父母が柿生に引っ越した後、一度祖父母と母と妹と私をその夫婦が夕食に招待してくれたことを思い出したりした。その家の並びにある幼稚園も、建物はすっかり新しくなっていたが、同じ敷地にそのままあった。
 その一角をぐるりと一回りしたあと、駒場公園内の前田侯爵邸を見学。実に見事な洋館でじっくりと見学するに値する。しかも無料。和館の方は時間がなくて見学できなかったが、またの機会の楽しみにとっておこう。こちらも無料。公園内の日本近代文学館、すぐ脇の日本民藝館、公園周辺の閑静な高級住宅街も含めて、半日あるいは一日の散歩コースとしてお勧めでございます。