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第135回雀三郎つるっぱし亭

2014年09月28日 09時55分13秒 | 落語・講談・お笑い
つるっぱし亭

金曜は「雀のおやど」へ。

久し振りの落語会。


「つる」(米輝):△

この人の落語を見るのは初めて。
「ヨネキ」と読むんやね。「ベイキ」かと思っていた。

マクラは「笑うお稽古」やお仕事でウケなかった話など。
正直、若手がこういったマクラを振るのは好みではない。
もっとダイレクトに「面白い」と思った話を振ればいいのに。

ネタは思ったよりはきっちりしていた。
何となく吉弥っぽい。
全体に無駄と感じる若干説明的とも思えるような台詞が入っていたり、
逆に面白い台詞が抜けていたり、と、
少し雑な印象ではある。

「南京虫は脚気患うか」を「水虫」に変えていたが、
それだったら「南京虫」も伝わらんだろうから全部変えてしまっても良いのでは?
何がしたいかよく分からない。
恐らく元のテキストのせい。

「雄がツー、雌がルー」まで端的に言ってしまったら、
流石に間違えないのでは、と感じてしまったり。

細かいところだが、まっちゃん(だったか)が鉋を掛ける仕草、
小拍子でやっているのだが
それを見台に打ち付けて鉋を掛け出すので
いちいち小拍子を打っているようでちと鬱陶しいし流れを損ねる。
個人的には小拍子は置いたままで掛け出す方が良いと思う。

「ツー」「ルー」の言い方はそこまでクサ過ぎず、
まあまあ良い感じ。


「植木屋娘」(雀三郎):○-

パンフの誤字の話から
軽く「昔は字が読み書きできない人がいた」という話を振ってネタへ。
このあたりのスムーズさは流石。

ネタはそれぞれの登場人物の第一声はきっちり描写し、
後は軽く流す、という感じの作り方なので
あまりもたれずに聞ける。
枝雀ベースで聞き慣れていると若干不足感もあるだろうが、
個人的にはこれくらいで良いかな、と思う。

ただあまりやり慣れていないネタなのか、
ところどころ台詞の順序や強弱の付け方に
違和感、或は「勿体ないな」と感じる部分が散見された。
特に幸右衛門が覗く際の台詞回しで、
お光が伝吉さんに注がれるのを断るところが早いように感じた。
その後で「おとっつぁん、きょとの慌て者」が入るのだが、
個人的にはこの台詞が先の方が良いように思う。
まあ、どの程度既に親しくなっているのか、
どこでどの程度気まずくなるのか、という判断の違いかも知れないが。

サゲにつながる「継ぎ木、根分け」は
最初に伝吉さんを貰いに行った際に話すパターンが多いような気がするが、
そこでは言わずに結局サゲの直前。
これはこれで、伝吉さんを貰いに行く場面の台詞数が元々多いので
気を盛り上げにくいと判断すれば、
最後に回すのはアリなのかも知れない。
まあ、忘れて最後に回した、という可能性もあるかな。
聞いていて思ったのだが、仕込みなしで
「うちの商売が植木屋、接ぎ木も根分けも秘伝」と言い切ってしまって
良いのかも知れない。

あと全体におかみさんの比重が高い印象。
お光に養子の話をするのもおかみさんだし。
ふと思ったのだが、おかみさんは「のの字」って読めるんやね。
それだったら手紙もお寺に行くのではなく、
おかみさんに読ませたら良いのでは、と思ってしまった。
これは恐らく、
おかみさんが「のの字書いているし」と言ったことに対して
「のの字ってどう書くんや」と幸右衛門が返したため、
「おかみさんが字を読める」点に注目してしまったからでは、と思う。

お光の妊娠を知ったおかみさんが帰ってきての慌て方を
幸右衛門に似せていて「夫婦だな」と感じさせるところなど、
色々興味深いところも多かった。


「ペッパーラッパー」(たま):○-

前座と雀三郎から「ハゲ」を巡るエピソード。
面白いのだが、4人登場すると少しごちゃごちゃするなあ。

ネタは「くっしゃみ講釈」であれば講釈師であるところ、
ディスクジョッキーに酷い目に遭ったので
それに仕返しをする、という設定。
「くっしゃみ講釈」のパロディーとしての部分と、
この新作のオリジナルとしての部分とがあり、
どちらもまあ楽しめる。

ディスクジョッキー志望だった男と
その兄貴分という若い二人の男の会話の仕方や価値観など、
何となく福笑の新作を思い出しながら聞いていた。
「渚にて」や「キタの旅」といったネタのような雰囲気。

胡椒を買いに行き、なければ唐辛子、
サークルKに買いに行く、というのを忘れて
「ピンクレディーの歌で思い出す」という話。
これはこれで無理から感もあって悪くない。
結局買えずに一度戻ってきて、
さらっと「胡椒を手に入れて」と言って進めるあたり、
ちと竜頭蛇尾の感、無きにしも非ず。

クラブに入ってDJが踊る動きは良かった。
その後フリップで「ポーカーフェイス」の和訳版を見せていくのだが、
ここは少しクドい印象。
字面で見て面白いのだが、
長いのと同じ歌詞の繰り返しになるのでダレてしまう感じ。
個人的には、DJが踊る動きの中に胡椒をまいて
踊りながら胡椒まみれになっていく、という方が
絵面として映えるように感じた。
全体に面白いことが詰め込まれているのだけど、
聞く側としてはちと消化不良になるのでは、と思った。


「質屋蔵」(雀三郎):○

軽く質屋の話をマクラに振ってネタヘ。
旦那と番頭の会話、
最初の番頭の喋り方に(何となくだが)「幽霊が怖い」という
小心な雰囲気が既に出ているように感じられた。

旦那の最初の一人喋りが長いネタだが、
そこについて特に長さは感じられず。
「立ち聞きしていた」丁稚が叱られて熊さんのところに行く、
熊さんに対して「旦那がエライ怒っている」というあたり、
丁稚の鬱憤晴らしの雰囲気が出ていて悪くない。

熊さんと番頭が怖がりながらの色々が面白いが、
若干、熊さんと番頭がどちらがどちらか、分かりづらいところがあった。

三番蔵から音がして旦那がやってくる。
「相撲」「浴衣が踊っている」「道真公の絵姿」の3つ。
「浴衣が踊っている」は初めて聞いた。
まあ、華やかな絵面になるので悪くないと思う。
もっと派手な設定があっても良いかも知れないが、
蔵の中の「暗さ」もあった方が良いので
これはこれで良いバランスなのかも知れない。
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