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第97回出没!ラクゴリラ

2012年05月09日 10時54分46秒 | 落語・講談・お笑い
連休前の木曜、太融寺の「ラクゴリラ」の会へ。

南天襲名最初の「ラクゴリラ」。
披露口上が付く。

6時開場で5時過ぎに整理券を取りに行ったのだが、
既に20番を過ぎていた。
結局90人くらい入っていたのかな。


「天狗刺し」(喬介):△+

上がった時、ネタに入る際の喋り方から
この人のアホっぽいニンが伝わっており、よくウケている。
個人的にはちと内輪ウケ感が強く、あまり好きにはなれないが。

ネタは、三喬からだろう。
口調や間の置き方が三喬通りでおかしい。
「師匠の周りのアホな弟子」や「天狗フード」など、
何となく三喬らしい科白。

前半のアホな相談、個々の設定や科白ではウケているが、
「それをあんたに相談に来た」ではあまりウケていなかった。
結局アホのニンで押しており、それが嵌まっていた、ということだろう。
それはそれで一つのやり方かな。

鞍馬山の場面はあまりウケないが、
「還暦」や「師匠の悪口」などでウケを取っていた。
捕まえた後のアホ声などは流石。

全体には、この人のニンを知っている客の内輪ウケが多い、という印象。


「道具屋」(文三):○+

軽く喬介をいじってネタへ。

最初の呼ばれて入ってくる場面から、アホの存在感が素晴らしい。
ニコニコしているアホ、
それと相対する伯父さんの商売のいい加減さが楽しい。

「本屋の善さん」を探す件はなく、
便所の前に連れて行く場面から。

全体に、細かい科白を足してウケを取っていた。
「電気スタンド」は説明している途中で客がいなくなってしまう、など、
自然で面白い。
アホが次第に腹を立てていく契機など、
きっちり構築されていた。
ただ最後は、少し「怒り」が出過ぎているかも。

サゲは「手元を見ております」。
サゲ前、一瞬リズムが狂ったように感じた。


「近日息子」(花丸):△+

パンフレット(未だ「こごろう」と書かれている)に軽く触れてネタへ。
本人が間違えたのでは仕方がない(笑)

作次郎の「先繰り機転」のポーズが面白かった。
最初に「先繰り機転」と言われた時から、
サゲ前まで繰り返しのギャグでこのポーズを入れてウケを取っていた。

全体には、ネタを短くするために無理をしているかな、という印象。
例えば最初の親子の会話での道頓堀での「近日より」の説明は
やはり実際に行ってみて弁当を無駄にする、と言う方が面白いと思うし、
単に棺桶を担いでくるよりも
医者を連れてくる、首を傾げた医者を見てその後棺桶を担いでくる、
という二段階の方が「先繰り機転」にも合って良いと思う。

若い連中の会話はまあまあ。
いろいろ耳慣れない科白も入っていた。
最後見台を持ち上げるのも良いと思う。

くやみの場面はもう少し困惑が出た方が良いかな。


二代目南天襲名披露口上:○

上手から生喬、南天、文三、花丸が紋付袴で並ぶ。

生喬は先日の「らくご道」での話とほぼ同じだが、
この人の南天への愛情・尊敬を感じる。
文三はあっさりと。
花丸が上手い。
以前の文三襲名の口上の際にも感じたが、
花丸は笑わせながらも、こういった「いい話」が非常に良いな。


「野ざらし」+踊り「ずぼら」(生喬):○-

釣りの話をしてネタへ。
若い男、隠居さんとも楽しそうにやっている。
隠居さんが「ボーン」と言いながら顔を震わせるのは良し悪しだけどなあ。

若い男の独り気違い、先日の「三人兄弟」とも重なってくるのだが、
自分で想像し、そこに没入する「妄想」が良い。
「どう見せるか」も勿論考えているのだろうが、
まずは如何に自分が「その世界に没入するか」がメインだろうな。
周囲を押し退けたり、川に嵌まったり、
そもそもの「女のために釣りをする」思い違いから
自然に発露している感じで良かった。

川に嵌まって隣の人の針に捕まってサゲ。
もう少し科白を抜いて、トントンと運べたかも知れない。

終わった後、初代南天にちなんで「ずぼら」。
踊っている内に、もう少し枯れ、もっと良くなっていくと思う。


「胴乱の幸助」(南天):○-

軽くマクラを振ってネタへ。

最初の「立って立ってんねん」からアホの底の抜けた陽気な様子が良い。
その他、非常に細かい部分まで目が行き届き、
少しでも面白くしようと色々手を付けているのが分かる。
割木屋のおやっさんの説明、
喧嘩の際の説明やしっかりした男が向こう脛を蹴られて
笑いもって死にそうになるところなど、
詳細にクスグリが足されている。

割木屋のおやっさんは「背が低い」という設定で、
これは良し悪しかなあ。
後の稽古屋の場面で「中を覗けない」話があり、
そのための設定だと思うのだが、
入れなくても良い情報かも、とも感じる。
背が低い人が止める仕草は面白いし、
「人に敬われたい」意識の背景なのかも知れないが、
個人的には、あまり重要でない情報を入れるのは好みではない。

止めた後、店へ上がるまでに2人がペチャクチャ喋っているのを見て
「諍え!」と怒鳴るのは面白いな。 
ただ、「諍い」という言葉が分かりにくい
(「諍う」って動詞はそもそもあるのかな?)ので、
大きなウケにつながるものでもなかった。

店に上がって仲直り。
アホのおやっさんに対する説明はかなり変えており、
確かに2人の「相対喧嘩」の際に言っていた言葉なのだが、
つなげると本当に分からなくて、非常に面白かった。

「金やって喧嘩させる」はなく、
「向こう傷のおやっさん」の独り喋りを詳しく。
ただ、その独り喋りを聞いていると、
このおやっさんは何故喧嘩の仲裁が好きなのか、に意識が向いてしまった。
「皆に言われたい」とか「血がしゅーっと出て」といった
この独り喋りの科白からすると、
どうも「自己顕示」「承認欲求」、
特に「背が低い」コンプレックスへの裏返しから出ているのでは、と感じた。
そしてそこから、素直に「喧嘩を仲裁する」行為を楽しめなくなってしまった。
普通の感じ方ではないと思うのだけど。

稽古屋。
最初から「男の師匠」と言っておく。まあ、手かな。
浄瑠璃は上手くない。
男はそれでも良いが、師匠はもう少しそれっぽくやらないとキツいかな、と
個人的には思う。

おやっさんが入ってきての会話は、まあ、普通。
「独りで嫁と姑の喧嘩をやっている」若い男を見ての反応は
誇張しつつ、上手く作っていた。
なぜ姑が嫁いじめしているのか、という話も上手く入れていた。

京都へ。
「大阪から弄りに来た」と思う伏見・帯屋の番頭が
おやっさんを叩く反応が繰り返しになっていた。
帯屋の場面では、出てきたおかみさんの手を握ったり、
お客さんを姑と思い込んで首を絞めたり、と
けっこう手を付けていた。
ただ、前半でもけっこうギャグを入れてこってりやっているので、
全体的のバランスとしてはこのあたり、
聞いていて疲れた感、無きにしも非ず。

番頭が「とうの昔に」心中した、と言っているのだが、
そう言ってしまうとおやんっさんの反応は「汽車で来たら良かった」にはならんだろうから、
「とうの昔に」は入れるべきではないと思う。
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