前月同様、木曜は「CSスカイ寄席チャンネル」の公開収録へ。
15分ほど開始時刻は遅くなったが、
やはり朝から落語会、というのは珍しい。
「平林」(咲之輔):△-
この人は(たぶん)初めて見た。
あまり初々しくないし、マクラでの喋り方など、好みの芸風ではない。
旦那に旦那らしい落ち着きがない。
全体には春団治っぽい「平林」だが、
トチリ・カミが散見された。
前座で特に陽気でもない「平林」をやるんだったら、
せめてきっちり喋って欲しい。
まあ、師匠が師匠だから仕方ないか。
# 聞きながら「女子衆さんが出てくる」やり方を思い付いた。
基本的には「人物描写の練習」という程度の意味合いだが。
「手水廻し」(壱之輔):△-
久し振りに見た。
入門15年らしい。
マクラで春之輔のことをいろいろ。
昔テレビに出ていたとか、私は全然知らない
(単に、面白くも上手くもない落語をする暗い人、という印象)が、
周囲のお客さんは頷いていた。
その後、返事の「はい」が「ない」になる場所や「手打ち」「半殺し」という
よく聞くマクラ。
「ない」で首を横に振るのはおかしい。店員は肯定の意思表示をしている訳なので。
この辺り、雑。
ネタも何てことはない。
飲み方も傾け過ぎ。そんなに傾けたら頭から水を被ることになるだろうに。
正直「15年でこれか?」という感覚。
まあ、師匠が師匠だから…。
ただ、その師匠を選択したのはその人のセンス。
「つぼ算」(梅團治):○
大阪の噺、東京の噺、といったところからネタへ。
以前見たときは「ここは2代目春團治」「ここは枝雀」と見えていたのが、
梅團治の中で消化されてきたように思う。
結局2代目梅團治のアホ(最初の「この家より良い家」などのように、イチビリが強い)
のリズムに溶け込んできたのかな。
道具屋の番頭が如何にも小商人らしい雰囲気で、
これがこの人のニンだろう。
時間の関係か、混乱するところの加薬も少なく、あっさりやっていた。
「寝床」(鶴二):△+
習い事のマクラからネタへ。
旦那に旦那らしい落ち着きがない。
義太夫の会が非常に楽しみなことはよく出ていたし、
稽古する声色は生理的に面白かったが。
言い訳を伝える部分は省いていた。
時間短縮のためだと思うが、旦那が次第に苛立っていく流れが弱くなったように思う。
あとはごく普通か。
穏やかな声の人なので、やや眠くなった。
「まんじゅうこわい」(三喬):○-
「古典の日」のマクラ。私自身は、聞くのは3回目。
オチで完璧に滑っていた。「それ何?誰?」という客席の反応。
この反応と、それを受けて焦る三喬が面白かった。
ネタはごく普通に。
若い者の中に隠居さん(「あれは爬虫類やったか」を言う)がいるのが、
後でおやっさんが入ってきやすくするための仕込みとなっているんだな。
怪談は悪くないが、ハメを入れるのはやはり違和感がある。
饅頭の食べ方が丁寧。
一つ一つの大きさ、皮の素材の違いを表現するのが流石。
そこまで拘る箇所か、という疑問も無きにしも非ず、だが。
「代脈」(佐ん吉):△+
医者のマクラいろいろ。
ネタは代脈の突き袖でおさまり返る様子や羊羹への拘りなど、
個人的には楽しめたが、
他のお客さんにはあまりハマっていなかったように思う。
「兵庫船」(ひろば):△
この人を見るのは久し振りだな。
旅の話を少しマクラに振ってネタへ。
サゲまで。きっちり演ってはいるのだが不足感がある。
ネタのせいかも知れないし、旅の解放感に欠けるからかも知れない。
いろいろ「言ってはいけない」と言われたアホが
逆ギレして大声で連呼するのは可笑しかった。
「かわり目」(雀松):○
特に酔っ払いをクサく描かない演り方で、
良いのだが眠くなった。
途中の「おかみさんへの想い」を酔っ払いが呟くところ、クサく演られがちだが、
さらっと自然に呟いている雰囲気に好感が持てる。
ここで切るならば、もう少しクサくやる必要があるのかも知れないが。
若干「可愛く」見せるところは、この人の売り方かなあ。
見慣れている人間としてはあまり好みではない。
サゲまで。
うどん屋が逃げておかみさんが帰ってくるところでは、うどん屋の科白なし。
それもあってか、サゲに到る部分がスムーズに進んでいたように思う。
「動物園」(南天):○
大阪のおばちゃんマクラ。
営業ではこんなマクラを振っているんだな、と感じた。
特に誇張もないがよくウケていた。
おじさんがアホに仕事を紹介する部分の科白がちと長いかな。
「条件がある」といった会話で進めていく分には気にならないのだが、
独り喋りになると長く感じる。
トラの皮を着る仕草に重点を置いて、楽しそうにやっている。
パンなどの外とのやり取りもややオーバー目に、
いろいろ科白を足したりして楽しく仕事をしている印象。
「鹿政談」(千朝):△+
「はい」と「ない」のマクラ
(壱之輔と同じだが、午前の部と客が入れ替わっている前提だから仕方がない)、
三都の名物、奈良の名物、大仏の小咄といったフルパッケージ。
ネタは、米朝通りにやろうとしているのだろうが、
この人独特の体の動きや口調が気に障る。
曲淵甲斐守が「鹿ではなく犬ではないか」と周囲に言うところなど、
意図が明確に見える。無論良し悪し。
塚原出雲の作り方、最初はやはり悪代官の憎憎しさを出しているが、
言われた後のうろたえ方は小物で悪くない。
人物の一貫性としては疑問だが、
この程度は客の先入観に合わせる意味で、やむを得ないところなのかも知れない。
「犬鹿」「蝶」は押されて苦し紛れに出た、というより
最初から「犬鹿蝶」と言う気に見えて引っ掛かる。
決して嫌いな人ではないのだが、
米朝を歪めて伝えてしまっているところが全体には気になるところ。
放送はCSスカイビジョン寄席チャンネルで、
毎週月曜朝8:00-8:57だそうな。
どの演目が放映されるのかは分からないようだが。
15分ほど開始時刻は遅くなったが、
やはり朝から落語会、というのは珍しい。
「平林」(咲之輔):△-
この人は(たぶん)初めて見た。
あまり初々しくないし、マクラでの喋り方など、好みの芸風ではない。
旦那に旦那らしい落ち着きがない。
全体には春団治っぽい「平林」だが、
トチリ・カミが散見された。
前座で特に陽気でもない「平林」をやるんだったら、
せめてきっちり喋って欲しい。
まあ、師匠が師匠だから仕方ないか。
# 聞きながら「女子衆さんが出てくる」やり方を思い付いた。
基本的には「人物描写の練習」という程度の意味合いだが。
「手水廻し」(壱之輔):△-
久し振りに見た。
入門15年らしい。
マクラで春之輔のことをいろいろ。
昔テレビに出ていたとか、私は全然知らない
(単に、面白くも上手くもない落語をする暗い人、という印象)が、
周囲のお客さんは頷いていた。
その後、返事の「はい」が「ない」になる場所や「手打ち」「半殺し」という
よく聞くマクラ。
「ない」で首を横に振るのはおかしい。店員は肯定の意思表示をしている訳なので。
この辺り、雑。
ネタも何てことはない。
飲み方も傾け過ぎ。そんなに傾けたら頭から水を被ることになるだろうに。
正直「15年でこれか?」という感覚。
まあ、師匠が師匠だから…。
ただ、その師匠を選択したのはその人のセンス。
「つぼ算」(梅團治):○
大阪の噺、東京の噺、といったところからネタへ。
以前見たときは「ここは2代目春團治」「ここは枝雀」と見えていたのが、
梅團治の中で消化されてきたように思う。
結局2代目梅團治のアホ(最初の「この家より良い家」などのように、イチビリが強い)
のリズムに溶け込んできたのかな。
道具屋の番頭が如何にも小商人らしい雰囲気で、
これがこの人のニンだろう。
時間の関係か、混乱するところの加薬も少なく、あっさりやっていた。
「寝床」(鶴二):△+
習い事のマクラからネタへ。
旦那に旦那らしい落ち着きがない。
義太夫の会が非常に楽しみなことはよく出ていたし、
稽古する声色は生理的に面白かったが。
言い訳を伝える部分は省いていた。
時間短縮のためだと思うが、旦那が次第に苛立っていく流れが弱くなったように思う。
あとはごく普通か。
穏やかな声の人なので、やや眠くなった。
「まんじゅうこわい」(三喬):○-
「古典の日」のマクラ。私自身は、聞くのは3回目。
オチで完璧に滑っていた。「それ何?誰?」という客席の反応。
この反応と、それを受けて焦る三喬が面白かった。
ネタはごく普通に。
若い者の中に隠居さん(「あれは爬虫類やったか」を言う)がいるのが、
後でおやっさんが入ってきやすくするための仕込みとなっているんだな。
怪談は悪くないが、ハメを入れるのはやはり違和感がある。
饅頭の食べ方が丁寧。
一つ一つの大きさ、皮の素材の違いを表現するのが流石。
そこまで拘る箇所か、という疑問も無きにしも非ず、だが。
「代脈」(佐ん吉):△+
医者のマクラいろいろ。
ネタは代脈の突き袖でおさまり返る様子や羊羹への拘りなど、
個人的には楽しめたが、
他のお客さんにはあまりハマっていなかったように思う。
「兵庫船」(ひろば):△
この人を見るのは久し振りだな。
旅の話を少しマクラに振ってネタへ。
サゲまで。きっちり演ってはいるのだが不足感がある。
ネタのせいかも知れないし、旅の解放感に欠けるからかも知れない。
いろいろ「言ってはいけない」と言われたアホが
逆ギレして大声で連呼するのは可笑しかった。
「かわり目」(雀松):○
特に酔っ払いをクサく描かない演り方で、
良いのだが眠くなった。
途中の「おかみさんへの想い」を酔っ払いが呟くところ、クサく演られがちだが、
さらっと自然に呟いている雰囲気に好感が持てる。
ここで切るならば、もう少しクサくやる必要があるのかも知れないが。
若干「可愛く」見せるところは、この人の売り方かなあ。
見慣れている人間としてはあまり好みではない。
サゲまで。
うどん屋が逃げておかみさんが帰ってくるところでは、うどん屋の科白なし。
それもあってか、サゲに到る部分がスムーズに進んでいたように思う。
「動物園」(南天):○
大阪のおばちゃんマクラ。
営業ではこんなマクラを振っているんだな、と感じた。
特に誇張もないがよくウケていた。
おじさんがアホに仕事を紹介する部分の科白がちと長いかな。
「条件がある」といった会話で進めていく分には気にならないのだが、
独り喋りになると長く感じる。
トラの皮を着る仕草に重点を置いて、楽しそうにやっている。
パンなどの外とのやり取りもややオーバー目に、
いろいろ科白を足したりして楽しく仕事をしている印象。
「鹿政談」(千朝):△+
「はい」と「ない」のマクラ
(壱之輔と同じだが、午前の部と客が入れ替わっている前提だから仕方がない)、
三都の名物、奈良の名物、大仏の小咄といったフルパッケージ。
ネタは、米朝通りにやろうとしているのだろうが、
この人独特の体の動きや口調が気に障る。
曲淵甲斐守が「鹿ではなく犬ではないか」と周囲に言うところなど、
意図が明確に見える。無論良し悪し。
塚原出雲の作り方、最初はやはり悪代官の憎憎しさを出しているが、
言われた後のうろたえ方は小物で悪くない。
人物の一貫性としては疑問だが、
この程度は客の先入観に合わせる意味で、やむを得ないところなのかも知れない。
「犬鹿」「蝶」は押されて苦し紛れに出た、というより
最初から「犬鹿蝶」と言う気に見えて引っ掛かる。
決して嫌いな人ではないのだが、
米朝を歪めて伝えてしまっているところが全体には気になるところ。
放送はCSスカイビジョン寄席チャンネルで、
毎週月曜朝8:00-8:57だそうな。
どの演目が放映されるのかは分からないようだが。
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