朝寝-昼酒-夜遊

日々感じたことを思いのままに書き散らすのみ。
※毎週土曜更新を目標にしています。

忠臣蔵五段目・六段目

2010年01月21日 06時20分37秒 | 歌舞伎・文楽
藤十郎の声(唾が絡む音)があまり好きではないので
行こか行くまいか迷っていたのだが、
結局昨日、松竹座の「仮名手本忠臣蔵」を見に行った。
とりあえず、上方と江戸で演出が最も違う、と聞いた五段目・六段目を見る。

江戸のものは数年前に見ているだけなので、
印象や曖昧な知識と照らし合わせて見ていた。


五段目。

藤十郎の勘平、翫雀の定九郎、薪車の千崎弥五郎。与市兵衛は誰だろう。
幕を開けると勘平が笠を被っている。
これを取ったところで声が掛かるのは江戸も同じかな。
ここに弥五郎が通りかかり、勘平が火を貸してもらおうとし、顔を合わせる。
薪車は初めて見たが、若く、あまり歌舞伎っぽくない発声だな、と
最初思ったが、次第に気にならなくなった。
この人、竹三郎の弟子なんだな。

弥五郎と別れ、勘平が引っ込んだところで舞台が廻る。
江戸では廻っていなかったような気がする。
掛け藁なし。地蔵さんが祀られている。
掛け藁については、
米朝がマクラで「季節がいつか分からん」とネタにしていたことを思い出した。

この後与市兵衛とそれを追いかける定九郎が出てくる。
定九郎の科白や動きが多く、いろいろウケをとっている。
地蔵さんを蹴倒してそこに座り、
与市兵衛がくどくど言うのを聞きながら
足で蚊を追ったり、刺された体で叩いたり掻いたり。
その後で「金を持っている身の因果と諦めろ」と無茶を言ったり、
殺すときには念仏とお題目を両方唱えたりしていた。
結局殺して金を盗ってしまい、
花道で猪に遭遇してまた舞台に戻り、そこで撃たれる。

そこに勘平。
手探りの動きが糸にきちんと乗るのは流石。
懐に手がいき、一度は盗らずに戻ろうとする。
花道で引き返し、もう一度懐を探って金をとる、という流れ。
定九郎って、首に財布を掛けていたような気がするのだが、
財布を引っ張って体が起きる→紐を切る、流れはなし。
あっさり盗っていた。
このあたり、緩急がきちんとついているところ、藤十郎は上手いのだな、と感じた。


舞台が廻って六段目。

秀太郎のおかる、竹三郎のおかや、孝太郎のお才。女衒源六は分からない。
最初おかるが若女房らしくなく(歩き方とか)違和感があったのだが、
クドキなどでは気にならなかった。

源六やお才のちょっとした捨て台詞に雰囲気があって良い。
お才は孝太郎だったのか。普通に女将の感じが出ていた。

おかやはもう少し弱い方が好み。
それが与市兵衛の死骸を見たりして、
婿への不信感が高まり、責めるところで手強さが出る方が良いと思う。

勘平を追い詰めていく科白や設定が、理詰めで作られている。
ほぼ江戸と同じだと思うのだが、
与市兵衛の死骸を運んできた猟師仲間?が
「ぽんぽーんと助鉄砲していやる」と言うのだが、
この「ぽんぽーん」が舅を二発撃って殺したと思っている勘平の胸に応えるとか。
# 二発撃って、は私の勘違いかも。
 元々「二つ玉」は(「強薬」と言っているとおり)「倍の火薬を使う」意味なのだが、
 誤解もあって、「二発撃つ」演出になっている。
 今回どちらだったかはっきり憶えていない。

あと、折角渡した50両を突き返されたのも、
勘平が切腹するきっかけになっているのだと感じた。
与市兵衛を殺したのは自分だと思い込んでいる
(だから、傷を改めようともしない)のだが、
その申し訳なさだけに切腹する感じではない。

千崎と原郷右衛門が入ってきたタイミングで着替えようとする。
江戸はこのタイミングで着替えてその恰好で切腹までいくのだが、
上方のではおかやが「逃げるのではないか」と止める。
結局着替えられず、山猟師の恰好のままで2人に対面することになるが、
武士の着物はこのタイミングで舞台に出ており、
切腹して果てるときに掛けてやることになる。
このあたりが理詰めで作られている感じ。

「上方では後ろを向いて切腹する」と聞いていたのだが、
そもそも切腹のタイミングが違うようだ。
状況を説明する時はまだ腹を切っていない。(江戸ではここでは切っているのでは?)
それを聞いた郷右衛門?が与市兵衛の傷を検めている時に
向こうへ這っていき、その場で切腹してしまう、
結果として「後ろを向いて切腹している」ことになっている感じ。
当然、「色に耽ったばっかりに」と言いながら顔に血を付ける、
なんて派手な演出はない。
(そもそも、この科白のタイミングではまだ腹を切っていないか。)

このあたりの藤十郎の芝居、どんどん追い詰められていく様が
理詰めで作られている感じがする。
最後の述懐でも、切腹している人間の喋り方など、よく作られている。
最初は不愉快な藤十郎の唾の絡んだ音も、聞き込んでくると気にならなくなった。

やはり筋が良く出来ており、周りも手堅く、満足できた。
あと大序~三段目、七段目を見ようかどうか思案中。
四段目も参考のために見た方がいいのも知れない。
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1月20日(水)のつぶやき

2010年01月21日 00時18分47秒 | つぶやき
08:58 from Twit
購読しているメルマガで「不可欠なものか、必要なものか区別する」という話があった。語義としては同じなのかも知れないが、観点としては良いと思った。事業仕分けでも同じことだな。
10:37 from movatwitter
松竹座5、6段目の幕見席チケット入手。これから2時頃まで、難波校の自習室で昨日の復習など。
11:47 from movatwitter
択一のテキスト反映完了。問題数がかなり多い。今日明日できっちり見直しておかないと。
15:52 from movatwitter
松竹座昼の部終演。満腹。自習室でちょっと復習の続きをしていこうかな。
by kkmaru on Twitter
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