高層ビルの最上階などで景色を眺めながら食事を楽しむ「回転レストラン」が姿を消しつつある。1980年代には全国のホテルやデパートなどで50店舗ほど営業していたとされるが、今では数店舗のみだ。再開発や建物の老朽化といった時代の波に押され、風前のともしびとなっている。
確かに、1972年代に社会人になった私は、当時ホテルニューオータニの最上階の回転レストランや、有楽町の駅前にあった交通会館の最上階回転レストランでお食事をするのは、自分に対するご褒美だったと思う。
今、回転レストランを探すのは難しいように思う。回転停止や閉店が相次ぐ理由は、周囲に超高層ビルが建設されて眺望が損なわれたことや、機械の部品交換が難しいことだ。
今は、超高層ビルがどんどん作られていて、最上階の景色が様かわりし、回転はしないけれど、景色の良いレストランがあちこちにあるから、回転レストランの人気が落ちているのだろうと思う。
回転レストランの歴史をみてみると、回転しながら展望を楽しむ施設は、1957年に開業した神戸市の六甲山上の「回る十国展望台」(2002年営業終了)が国内初だった。東京五輪のあった1964年には、東京・紀尾井町のホテルニューオータニが開業と同時に回転レストランをオープンした。
その後、1980年代に最盛期を迎え、バブル期の雰囲気も相まって『座っているだけで360度の景色を見せてくれる』というぜいたくさが回転レストランが受けた理由らしい。
1990年代のバブル崩壊後は、回転を止める店が増え、2020年に東京交通会館の「銀座スカイラウンジ」が老朽化で回転を停止し、首都圏から回転レストランがなくなった。
回転レストランがなくなっている理由は、構造上、メンテナンスをする企業が減っていることも大きい。
ところが、他方で、珍しさを前面に出し新たに開業する店もある。神戸ポートタワーで4月26日にオープンしたカフェ兼バー「Ready go around] 」は、60年前から回転レストランなどとして営業していた店を2年半かけて改装した。
大型連休中も客の入りは好調で、若い人には新鮮で、年配の人には懐かしさを感じてもらえる魅力があるらしい。神戸に行ったらぜひ寄ってみたい店だ。