沖縄の友人から、コロナ渦で貧困家庭が大変な状況になっていると連絡があった。友人達は貧困家庭の方々にお弁当を給付したり、住まいも提供しているなど、素晴らしい働きをしている人たちだ。
コロナ渦で非正規雇用も大打撃を受けている状態がずっと続いている。収入の面だけでなく、正規職員に比べて、健康をないがしろにされているようだと言う。
緊急事態宣言が発令されてから正規職員たちが週5日の勤務日のうち3日間の在宅勤務を認められるているのに、非正規職員は1日しか認めてもらえなかった。残りの4日間は郵便物の開封や電話番などの業務をこなすために、新型コロナウイルスに感染するリスクを負って出勤させられた。
多くの会社で正社員がテレワークしている陰で、非正規が出勤していることを忘れてはならないのだ。在宅勤務する中でも出勤命令を受ける立場なら、本来はもっと高い賃金を手にしていても良いはずだ。
こうした非正規と正規との不当な賃金格差の是正を組織の上層部に訴えるのは、日ごろから「同一労働同一賃金」を運動方針に掲げている労働組合の役割だろう。ところが職場にパートタイム労働者や嘱託社員、派遣社員などがいても、6割の労働組合は加入資格を与えていない。
前にも書いたが、家計の担い手は男性正社員であり、非正規労働者の賃金は家計を補助する程度で十分という認識が根底にあるからだ。労働界は男性中心で、体質は極めて古いのだ。
採用や昇進、退職勧奨などでの男女差別を禁じる男女雇用機会均等法が1986年に施行されてから35年がたつが、女性差別は残っている。今でも、ある企業の人事担当役員は、「新卒採用で女性より男性を優先して採っている。女性は結婚すると退社してしまうからね」と、就職差別の実態を明かした。
逆に辞めたくないのに、結婚をきっかけに退職させられた女性もいる。ある女性は男女雇用機会均等法の施行から間もない時期に某都市銀行に総合職として入行したものの、1990年代半ばに社内結婚を機に会社から退職を求められた。この銀行はその直後、より進歩的な都市銀行と合併したことで、女性に結婚退社を要求しなくなったという。
寿退社の強要などがすでに日本の産業界から一掃されていると思ったら大間違いだ。昭和の時代から続く男女差別は一向に改善されていない。これが実態だ。