神戸の空の下で。~街角の歴史発見~

足かけ8年、150万PV突破。「近畿の史跡めぐり」のサブタイトルも、範囲が広がったために少し変更しました。

姫路・魚吹八幡神社。

2009年09月11日 | □兵庫県 -姫路
厄除け・安産祈願・家内安全・事業繁栄・合格祈願


魚吹八幡神社

(うすきはちまんじんじゃ)
兵庫県姫路市網干区宮内193

通 称
津の宮
(つのみや)



宮内交差点を曲がると、大きな鳥居が魚吹八幡神社へと導いてくれます。


〔御祭神〕
応神天皇
(おうじんてんのう)
神功皇后
(じんぐうこうごう)
玉依比賣命
(たまよりひめのみこと)


 202(神功皇后摂政3)年のこと。神功皇后三韓征伐から凱旋しての帰途、宇須伎津と呼ばれていたこの地に船を停泊させた際に、神託を受けて玉依比賣命を祀る小さな社を築き「敷嶋宮」と名づけたのが魚吹八幡神社の始まりといわれています。これに関しては様々な伝説が残されており、皇后が乗った船が浅瀬に乗り上げた際に船べりに魚が群れを成して集まり、砂を吹き出して船を進めたという話や、神社を建てる際に多数の魚たちが群れをなして集まって砂を吹き上げ、一夜にして浅瀬を埋め立てて土地を生み出したという話が伝えられています。実際に魚が浅瀬を埋め立てたということはないでしょうが、瀬戸内海に面し、温暖で住み良い土地だった網干津に多くの人々が住み着き、砂で堤防を築いて干拓を進めていった姿を魚に例え、魚が砂を吹き上げていったという伝説を創作し、神話として語り継いでいったのではないかと考えられます。





車2台が通行可能な幅広い石畳の参道を進むと神社が見えてきます(左)。
右は、1686(貞享3)年以前に建てられた入母屋造りの壮大な楼門。


 創建に関しては、319(仁徳天皇7)年に「御父・応神天皇、御祖母・神功皇后を宇須伎津の地に祀るべし」との霊夢を見た仁徳天皇が、この地に紀角宿禰を遣わして応神天皇神功皇后玉依比賣命の3神を祀る神社を建立したという伝説も残されています。しかし、725(神亀2)年説や860(貞観2)年説など様々な説も残されていて、正確な時期は定かではありません。敷嶋宮は平安時代の末期には京都の石清水八幡宮の別宮となり、「魚吹八幡神社」と呼ばれるようになりました。また、網干津にあることから「津の宮」とも呼ばれています。





淡路島の神社建築技術が用いられている魚吹八幡神社の社殿。



 播磨を代表する古社である魚吹八幡神社も、1576(天正4)年には播磨攻略を進める羽柴秀吉軍の兵火に巻き込まれて境内が灰燼に帰してしまうなど苦難の時期を迎えたこともありましたが、江戸時代の1645(正保2)に入って当時の龍野藩の藩主であった京極家が社領を寄進して財政的にバックアップを行い、それをもとに氏子の皆さんが中心になって見事魚吹八幡神社は再建を果たします。このような魚吹八幡神社の氏子の皆さんのパワーは今もなお健在で、播州地区では最大の12,000戸の氏子数を誇り、強い結束で伝統文化を守りながら地域の絆を深めています。秋季大祭の翌日には地元の中学校の生徒たちが境内の大掃除に協力するなど、次世代への継承もしっかりと行われています。





鐘楼と手水舎(左)。右は、社殿前にある砲弾を用いた戦利兵器奉納碑。



 魚吹八幡神社では元旦の「千本突き」や3月の最終土曜日に行われる「武神祭」、7月14日に行われる「千燈祭」など様々な祭事が執り行われていますが、もっとも有名なのは10月21日と22日の秋季例祭で行われる「提灯祭り」です。もともと3柱の御祭神を乗せた神輿の渡御の際、道中の御神燈として御旅提灯を出したのが始まりではないかといわれている「提灯祭り」は、2日に渡って行われる秋季大祭の宵宮、10月21日の夜7時頃から行われます。
 平松吉美大江島興浜新在家余子浜垣内の7地区がそれぞれに趣向を凝らして作りあげた提灯の隊列が、すっかり陽の落ちた石畳の参道を進んでいく様はまさに壮麗のひと言。しかし、これらの隊列が楼門前まで来ると一転、地区ごとに互いの提灯を激しくぶつけ合い、抑えていたパワーが爆発。光の乱舞、竹を打ち鳴らす激しい音、そしてそれを見守る群衆のどよめきが入り混じって、祭りは最高潮の盛り上がりを見せます。3台の神輿、18地区の屋台、4地区の壇尻(だんじり)、1地区の獅子舞、そして7地区の提灯練りが参加する魚吹八幡神社の秋季大祭は、2007(平成19)年には兵庫県の指定無形重要文化財に指定されています。





1645(寛永21)年頃の建築といわれる摂社・敷島神社(左)と神輿庫(右)。
 
社務所前にある、力石を抱える三ノ宮卯之助の像(左)と「さざれ石」(右)。


アクセス
・JR「網干駅」下車、南へ徒歩20分。
・山陽電鉄網干線「網干駅」下車、北へ徒歩10分。
魚吹八幡神社地図  Copyright:(C) 2011 NTT Resonant Inc. All Rights Reserved.
 
【境内図】

拝観料
・境内無料

拝観時間
・常時開放

公式サイト


播磨の祭り
藤木 明子,北村 泰生
神戸新聞出版センター

このアイテムの詳細を見る