木村草太の力戦憲法

生命と宇宙と万物と憲法に関する問題を考えます。

砂川政教分離訴訟(12)

2011-10-05 17:12:43 | 憲法学 砂川政教分離訴訟調査
というわけで、砂川政教分離訴訟のクライマックスは、
小学校用地1200平米の代金+利子を、
ローンこと神社用地250平米の固定資産税で返済できるか?
という、まことに政教分離訴訟らしくない論点にある。

話を単純化するため、1平米=1円という計算をしてみよう。

小学校用地の代金は1200円。
利子は法定利息で5%だとすると、1年目の利子は60円。

これに対し、250平米の土地=250円也の
固定資産税として、その時価の10%とずいぶんな率で
課税されるとしよう。

ローン返済額は、なんと毎年25円・・・。
1年目の利子に満たない。
ということは、未来永劫、ローンは返済できない。


このような計算が示しているのは、
砂川市は、神社用地の固定資産税免除程度では、
つりあわないくらいの
ものすごい贈与を受けている、と言う事実である。

そうすると、この事案では
神社に「特権」が与えられた、と認定することはできないのでは?
ということになる。

では、違憲の結論は誤っているのか?

二つの考え方がある。

一つの考え方は、
最高裁は、
「仮に経済的につりあいがとれていても」神社と市が関係をもってはいかん、
と考えた、というものである。

し・か・し、
このような考え方からすると、
市が宗教団体から土地やモノを買ったりすること一般がいかん
ということになる。


というわけで、もう一つの
より単純で一撃必殺の考え方を採る必要があろう。

それが、すなわち、


・・・バブル景気である。

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92 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
一言 (cafe)
2011-10-15 06:40:06
 この砂川市空知太神へ、市有地の無償提供が憲法第20条、第89条政教分離違反の判決は、松本市の国立信州大学(提訴時、その後、国立大学法人化しても国有地の神社事件法律構成に変わりなし)宗教法人伏見稲荷神社分祀の白翁稲荷大明神政教分離違憲判決(平成16年7月14日東京高裁国家賠償法訴訟判決確定)を、証拠提出されて証拠採用となった、札幌地裁一審判決の二審、及び三審判決で、最高裁の右、違憲判決確定となった経緯でした。したがって、その判断基準は、宗教法人法第3条類推適用の宗教施設へ、公有地を無償提供する事実を、政教分離原則に反する判断となったものでした。上記のような、土地所有者が市へ無償で当該土地を寄付するに当たって、こう固定資産税の借家借地法貸借賃料、ないし金融機関の融資利子など、商業金融などの市場原理に則った不動産資金と利子、貸借など、経済的論理に基づく市場原理と、公共財産行政財産行政処分の財務会計、その管理管理を、比較考量して処分したものではなかった。わたしは、その信大神社違憲判決に当たった原告、控訴人でしたから、その判決文の提供を当該事件の石田弁護士、高橋原告代表、谷内原告事務局長などから依頼されて、協力を頼まれた経過があって、これらの調査に当たったのでした。
 以上、念のため。
 
 
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>cafeさま (kimkimlr)
2011-10-15 19:13:35
どもです。
書き込みの趣旨がいま一つ理解できなかったのですが、
経済的均衡の論点は、
砂川市の実際の担当者が主観的に何を考えていたか、
とは何の関係もない法的評価のための論点なのですよ。

ではでは。
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その訴訟と審理、判決の法的根拠と効果要件、学理の判例証拠採用など一連の経緯は一筋ではない、イヤハヤ!!最後に原告の病気入院となった、サーどうする? (cafe)
2011-10-16 07:39:12
 顛末記、これは、小説ですが、、、でも判決に総てが反映された!
 右の協力要請は、そんなことでエスカレートして行きまして、平成16年9月上旬、「この空知太神社例大祭を写真撮影してくれ」、と頼まれたので航空機に乗って、出かけた。その後、いろいろとあって、わたしの訴状判決を札幌地裁が証拠採用した関係から、裁判へ参加する必要性が生じた。こうして、法的評価の論点がそのわたしの国立大学神社確定判例を基準にして、1-2.3審と出た結果となり、富平神社の提訴を高橋原告がしたいと言うので、訴状を頼まれて書いて送った。そのような意味から少なくとも、法的評価との訴状、審理、判決の係りから、証拠資料の作成まで調査を含め、さまざまな面倒を見てきたのでした。頼まれれは、断れないし、労力も資料など膨大でした。いやはや、この信教の自由、政教分離訴訟も、大変な紆余曲折、学理、法理論、その解釈と経て結局のところ、最高裁判決となった経緯でした。
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>cafeさま (kimkimlr)
2011-10-16 07:42:25
はい。
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付記 (cafe)
2011-10-16 07:54:14
 わたしは、米国のペンシルバニア大学博士課程を終えて、故国へ帰りまして後に、1973年の10月1日石油危機対策政府シンクタンクの立ち上げ、その中東・国際エネルギー問題にあたり、政府エコノミストとして、国際経済の業務を仕事にしてきたので、経済法と政策を取り扱って毎日新聞のエコノミスト誌、朝日新聞のアサヒジャーアンル総合雑誌、文芸春秋誌、政府・公正取引委員会、通商産業省、政府経済研究所などの報告書、法律経済社関係の学会誌などにも、書いてきました。
 念のため。
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>cafeさま (kimkimlr)
2011-10-16 15:32:55
書き込みありがとうございます。
経済の専門家でいらっしゃるのですか。

政教分離原則は、かなり専門性の高い難解な原則であります。
学位はアメリカでとのことですが、
日本の大学の法学部でも学位を取得されると、より訴訟についての理解が深まることと思います。

首都大学東京でもオープンキャンパス、
科目等履修生などの制度を整えておりますので、
ぜひご利用ください
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有り難うございます (cafe)
2011-10-16 17:37:16
 どうも、有り難うございます。わたしは、第二次大戦の戦後焼け野原となって、教育以外に復興の方法はないものと、時代の中で思いましたが、教員の教科履修で英文科へ教職の授業を選んで、後は時代の高度経済成長だから、教育と経済のテーマに取り組み、イリノイ州立大学へ会社の海外研修生、米国連邦政府奨学生となって、帰国後に博士課程のペン大済学へ行き、1973年石油危機対策の政府・経済企画庁シンクタンクを立ち上げるために、学課を修了していたから帰国して、今度は折り返しの中東・国際経済を、世銀、IMF、アフリカ、アラブ諸国、エネルギーの世界全域調査で現地へ飛ぶのだから、博士論文を書く暇もなく、イスラム、ユダヤ、キリスト、その他の宗教教派と中東諸国社会の現場で、政府ミッションの外務省、その他の諸官庁、商社、Jetroなど、混成部隊で総合的な政策の調査をしたりでした。戦争の危険、病理の危機抱え、無事帰国でできれは「御の字」、何とか生きながらえて、文部省組織教授審査を一応通った。大学の教授、著作と雑誌原稿書きを並行して、代表論文は、経済では公正取引委員会委託調査の「国際ウランカルテル」。衆議院予算委員会の質疑で、政府大臣と政党質問者のテキスト資料になり、国会の議事録に掲載されています。また、福島原発を含む安全性の通産省委託調査を、20数年前にやったこともあり、その関係で目下、人権の保障を請求の趣旨にして、誰も「株主と国の国策問題を提起しない」ので、事実関係を明らかにする国賠訴訟を提起しています。但し、わたし一人では、到底、手に負えないことが明白でして、体調を大きき崩しました。さて、教育法関係では、ご存知でしょうか?教授会の自治が、”国会の議院運営法に則る民主的手続きを経なければならない”と言う、田村裁判長の違憲判決を、勝ち取って確定しました。これは、勿論、一人でできるものではなく、有斐閣「教育百選」に掲載されているのが、それです。わたしの名は、教授とだけで載っていない。文部大臣を理事長などが、公文書偽造、教授会の同様な偽造と、刑事事件(現地捜査のテレビニュース登場)を含む、明治以来最初の事件について、わたしが覚悟を決めて右の違憲判決を確定した経緯です。その理由は、「教育は、嘘から生まれない」、”虚偽の大学、学問の自治なしは、憲法、教育基本法、学校教育法、教育行政法規などに違反する”ので、どうしても学科長として、許容できない。誰も、わたしが率先して、この判決を出し、大学教授会自治に、手続きの瑕疵となり、違憲・違法の無効の是正のなめの地裁確定判決経緯とは、もう、今では一昔前だから、知らないでしょう。此処に、戦後の高等教育における欠陥が生じていた。当然ながら、文部大臣偽造と一体の処理問題なので、そのバックアップを受けた。違憲の判決を、確定までもち込んだ結果、現在でも大学教授会の自治運営で、「憲法の学問の自由に基づく、国会衆院議院運営法に基づく手続き」と、なっている唯一の違憲判例です。右の教育百選判例を適用しているのに、こんなエピソードがその歴史の底にあったと言うだけの話なので、いやはや、「とんだ下らない私小説の雑想回顧を、中秋の夕空を眺めながら。眞に恐縮ですが、当時は、「憲法、学問の自由に反すると豪語したけれども、まさか誰ひとりも憲法裁判の処理になるとは、思いもしなかった。」こうして、教育学の学徒も、その分野で”自らソクラテスとなって、皿に毒杯を持たざることには、”世の中を変えられないと、身に染みて思ったものでした。勉強不足だったと、この時ほど後悔したのはなかった。今でも、同じなですが、ところで当該訴訟関係も意外に難しく、「正念場に入って体力勝負となって、先生のご教授を旨にして、核心の部分、最重要の憲法課題に集中するよう、もうひと踏ん張り。」疲れるが、上告、控訴と並行しています。  


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>cafeさま (kimkimlr)
2011-10-16 22:40:10
なるほど。コメントの趣旨がちょっと良くわからなかったのですが、
政教分離関係の訴訟に参加されていて、
法学専門知識がないことで御苦労されている、
どのように法学の知識を身につけるべきかをお悩みになっている、
とのことですね。

本当にお疲れ様でございます。
法学は、体系的に身につけるべきものなので、
日本法学の学位をお持ちでないということなら、
強く法学部入学をお勧めいたします。

都内でしたら、ぜひ首都大学東京法学系も
お考えください
都心からはいささか離れておりますが、
自然にも恵まれた素晴らしいキャンパスです
返信する
今迄この裁判実践を調査研究と結びつけてできないかなと思ったことも一再ならずあったが裁判の忙しさに取り紛れて、、、 (cafe)
2011-10-18 00:46:39
 どうも、有り難く拝聴致しました。とこかく、これらの裁判をうちながら、法学をやるには歳甲斐のないもので、体力勝負ですから心身が持つかどうか?でも、折角始めたのですから、誰か若い方、また専門職の方などへ、少しでも引き継いで、さらに調査研究をして頂けたら大変に有り難いので、考えてみます。
 ところで、先生の述べておられたような、砂川政教分離訴訟の税制を含む、経済面の貸借関係なども、かつてわたしもいろいろと考え、関係データ資料、その他の固定資産税の処理を取り入れて、新たな違憲・違法の事実を多角的に、住民監査請求、住民訴訟などを提訴するよう、原告へアドバイスしたこともありました。
 実際に、わたしも、税法処理の同様なケースで、違憲、違法問題を多角的に処理してきました。その代表例は、有斐閣「判例六法」憲法第89条の判例6項、その判例タイムズ判例、朝鮮学園・朝鮮総連県本部占拠徴税の判例タイムズ判例などでした。その外にも、神社公民館社会教育施設を、民事訴訟完勝、及び行政訴訟の住民訴訟、計二件で、違憲を勝ち取りました。何れも、新判例でしたから、膨大な労力を費やしました。
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追伸 (cafe)
2011-10-18 01:06:39
 明日は、東京地裁で福島原発爆発事故被曝の国賠訴訟、第2回弁論です。
 十余例の従来、原発訴訟と言われた訴訟実績を調べ、わたしが、この東電と関西電力の安全性調査を、通産省委託調査で20数年前、もう二昔以上前ですが、調査レポートを提出した経過によって、誰かがやらねばと体調を整えながら、準備中です。
 そんなことで、なかなか、政教分離訴訟の憲法関係を、調べる時間が取れません。
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