uncolored wind

私に吹く風
アートとモノづくり

硫黄島からの手紙

2006-12-27 12:32:23 | 映画

この指とまらん会での話題。「その時赤ん坊がこの手の中に」を読み合わせる。

隣人に挨拶をしないのは心の暴力。大人社会のいじめは複雑で難しい。

「顔の見えない作物」の話。10ha以上作付けすると経済援助をするという作物は

専門家の中では全て「顔の見えない作物」と呼ばれ、企業を経ないと消費者の手には届かないという話。

「ベトナム・ホーチミン」の話。明るくガイドをしてくれた方のお父さんが、当時村長をしていてポルポトに殺され、地面から布切れが出ていて引っ張ると人骨だったりする話。

「硫黄島からの手紙」の話。・・・

で、昨日見てきた。クリントイーストウッドはよく調べている。映画館で見ると爆撃音が洞窟に響き、機関銃の音、ハエのたかる音、手榴弾の音が絶え間ない。もういい加減この場面が終わって欲しいと祈るような気持ちになる。画面ではそれをしのぐ絵面。現実はこの状況が何日も続くのだと思うと「地獄」とはこのことだと考えさせられる。「命」の捉え方にもたくさんあることがわかる。「天皇陛下のために命を無駄にしてはいけない」「自分のために命を無駄にしない」「命を盾にして少しでも戦況を長引かせ家族を守る」「命をただただ捨てられない」「生きて恥をさらすより、敵に殺される前に自害する」・・・いろんな人が自分の価値観で人の命を左右し支配する。まさに「地獄」です。アメリカ兵の描き方も偏りがない。負傷して母の手紙を傍らに息を引き取る兵隊や、覚悟して捕虜になった日本兵を見張るが自分が標的になるので保護せず殺傷する兵士など、観る人の気持ちに敵味方を作らせない。スピルバーグ監督の評もなるほどと思う。公開が短いが見ておいてよかった。