アメリカのカルフォルニア大学などの研究チームが、モルヒネと同等の効果を持つが、副作用のない鎮痛薬を開発したと発表しました。
この痛みを取るということは、現在でも臨床上最も重要な治療の一つと考えられています。 本来痛みは体の危険を知らせる重要なサインですが、あまりにも強いと疼痛性ショックなどで死に至ることもあり、また末期ガンのガン性疼痛などは非常に激しく、モルヒネ以外では取ることができないようです。
ですから医療現場では、今でもモルヒネはよく使用される薬となっていますが、やはりもともとが麻薬ですので、色々な副作用があるようです。最も重篤なのが呼吸の抑制作用で、このために米国だけでも年間3万人以上が発生しているとされています。その他嗜好性の問題やひどい便秘などが見られるようです。
このため昔からモルヒネに代わる鎮痛剤の開発は精力的に行われてきましたが、鎮痛作用と麻薬性の分離が本当に難しいようです。私も短期間でしたが、この課題に挑戦したことがあります。以前モルヒネの話で触れたことがありますが、この薬はオピオイドレセプターという脳内の受容体に結合することにより、作用を発揮します。この受容体は基本的には気分を高揚させるのが主な作用ですので、いわゆる麻薬性との分離は本当に困難でした。
しかし最近の研究では、モルヒネの色々な副作用は、オピオイドレセプター以外にも結合する受容体があることが分かりました。そこでこの研究グループは、コンピューターシミュレーションを用いて、オピオイドレセプターにのみ強く結合する化合物をスクリーニングしていったのです。
こういった手法は受容体の立体構造が明らかになってから、色々と試みられてきましたが、あまり良い結果は出ていませんでした。これは化合物がとりうる立体構造というのが非常に多岐にわたり、すべての可能性を調べるのが難しかったということもあるようです。
この研究グループは既知の化合物約300万について、それぞれの化合物がとりえる何万というパターンをすべて調べていったとしています。この試験をクリアできた化合物は約2,500で、そのうちいわゆるオピオイド類との類似性が高い化合物を除去すると、23種の化合物が残ったとしています。
さらに詳細な分析を行い、他の受容体にまったく結合しない化合物1種を特定したとしています。これを「PZM21」と名付け、マウスを使った動物実験では、モルヒネの様な副作用は全くでなかったと報告しています。
この化合物が本当に優れた鎮痛剤となるのかは、臨床試験などの結果を待たないといけませんが、こういったコンピュータを用いた化合物探索はこれからも増えそうな気もします。
この痛みを取るということは、現在でも臨床上最も重要な治療の一つと考えられています。 本来痛みは体の危険を知らせる重要なサインですが、あまりにも強いと疼痛性ショックなどで死に至ることもあり、また末期ガンのガン性疼痛などは非常に激しく、モルヒネ以外では取ることができないようです。
ですから医療現場では、今でもモルヒネはよく使用される薬となっていますが、やはりもともとが麻薬ですので、色々な副作用があるようです。最も重篤なのが呼吸の抑制作用で、このために米国だけでも年間3万人以上が発生しているとされています。その他嗜好性の問題やひどい便秘などが見られるようです。
このため昔からモルヒネに代わる鎮痛剤の開発は精力的に行われてきましたが、鎮痛作用と麻薬性の分離が本当に難しいようです。私も短期間でしたが、この課題に挑戦したことがあります。以前モルヒネの話で触れたことがありますが、この薬はオピオイドレセプターという脳内の受容体に結合することにより、作用を発揮します。この受容体は基本的には気分を高揚させるのが主な作用ですので、いわゆる麻薬性との分離は本当に困難でした。
しかし最近の研究では、モルヒネの色々な副作用は、オピオイドレセプター以外にも結合する受容体があることが分かりました。そこでこの研究グループは、コンピューターシミュレーションを用いて、オピオイドレセプターにのみ強く結合する化合物をスクリーニングしていったのです。
こういった手法は受容体の立体構造が明らかになってから、色々と試みられてきましたが、あまり良い結果は出ていませんでした。これは化合物がとりうる立体構造というのが非常に多岐にわたり、すべての可能性を調べるのが難しかったということもあるようです。
この研究グループは既知の化合物約300万について、それぞれの化合物がとりえる何万というパターンをすべて調べていったとしています。この試験をクリアできた化合物は約2,500で、そのうちいわゆるオピオイド類との類似性が高い化合物を除去すると、23種の化合物が残ったとしています。
さらに詳細な分析を行い、他の受容体にまったく結合しない化合物1種を特定したとしています。これを「PZM21」と名付け、マウスを使った動物実験では、モルヒネの様な副作用は全くでなかったと報告しています。
この化合物が本当に優れた鎮痛剤となるのかは、臨床試験などの結果を待たないといけませんが、こういったコンピュータを用いた化合物探索はこれからも増えそうな気もします。