ごっとさんのブログ

病気を治すのは薬ではなく自分自身
  
   薬と猫と時々時事

モルヒネに代わる鎮痛薬を発見

2016-08-26 10:32:53 | 
アメリカのカルフォルニア大学などの研究チームが、モルヒネと同等の効果を持つが、副作用のない鎮痛薬を開発したと発表しました。

この痛みを取るということは、現在でも臨床上最も重要な治療の一つと考えられています。 本来痛みは体の危険を知らせる重要なサインですが、あまりにも強いと疼痛性ショックなどで死に至ることもあり、また末期ガンのガン性疼痛などは非常に激しく、モルヒネ以外では取ることができないようです。

ですから医療現場では、今でもモルヒネはよく使用される薬となっていますが、やはりもともとが麻薬ですので、色々な副作用があるようです。最も重篤なのが呼吸の抑制作用で、このために米国だけでも年間3万人以上が発生しているとされています。その他嗜好性の問題やひどい便秘などが見られるようです。

このため昔からモルヒネに代わる鎮痛剤の開発は精力的に行われてきましたが、鎮痛作用と麻薬性の分離が本当に難しいようです。私も短期間でしたが、この課題に挑戦したことがあります。以前モルヒネの話で触れたことがありますが、この薬はオピオイドレセプターという脳内の受容体に結合することにより、作用を発揮します。この受容体は基本的には気分を高揚させるのが主な作用ですので、いわゆる麻薬性との分離は本当に困難でした。

しかし最近の研究では、モルヒネの色々な副作用は、オピオイドレセプター以外にも結合する受容体があることが分かりました。そこでこの研究グループは、コンピューターシミュレーションを用いて、オピオイドレセプターにのみ強く結合する化合物をスクリーニングしていったのです。

こういった手法は受容体の立体構造が明らかになってから、色々と試みられてきましたが、あまり良い結果は出ていませんでした。これは化合物がとりうる立体構造というのが非常に多岐にわたり、すべての可能性を調べるのが難しかったということもあるようです。

この研究グループは既知の化合物約300万について、それぞれの化合物がとりえる何万というパターンをすべて調べていったとしています。この試験をクリアできた化合物は約2,500で、そのうちいわゆるオピオイド類との類似性が高い化合物を除去すると、23種の化合物が残ったとしています。

さらに詳細な分析を行い、他の受容体にまったく結合しない化合物1種を特定したとしています。これを「PZM21」と名付け、マウスを使った動物実験では、モルヒネの様な副作用は全くでなかったと報告しています。

この化合物が本当に優れた鎮痛剤となるのかは、臨床試験などの結果を待たないといけませんが、こういったコンピュータを用いた化合物探索はこれからも増えそうな気もします。

テニス観戦チケット

2016-08-25 10:47:30 | テニス
毎年10月初旬に日本での唯一のATPツアーである楽天オープン(ATP-500)が開催されます。

私は一昨年、昨年とこの大会を有明まで観戦に行きました。一昨年は錦織が全米オープンで準優勝し、錦織人気が急激に上がった年でした。それで私も本物を見たいと、楽天オープンのチケットを探したのですが、9月の初旬でしたので2回戦しか手に入りませんでした。

テニスの観戦はいわば賭けのようなもので、目的の選手の試合が見られるかどうか運によります。2回戦は2日間やりますので、どちらに錦織が出場するか全くわからないのです。それでも1昨年はこれがうまく当たり、錦織の試合とラオニッチの試合を見ることができました。

そこで昨年は少し早めに購入し、できれば準々決勝の日を買いたいと思い、かなり早めに申し込んだのですが、やはり2回戦しか残っていませんでした。その後錦織人気はますます上昇し、出場するすべての試合をどこかのテレビが放映するまでになっています。そうなると当然楽天オープンのチケットは購入しにくくなるはずです。

そこで今年はチケットの発売予定を7月から調べ、発売と同時に購入することにしました。その第1弾が7月24日の12:00からの楽天のみの先行販売でした。そこでこの日は2台のパソコンとタブレット、スマフォをワンクリックで購入画面にアクセスできるようにセットし、30分前ぐらいから時々つないでみていました。これは当然発売前なので、発売後になってからというメッセージが出ていました。

ところが10分前ぐらいからアクセスが集中しているので、やり直せという画面に変わってしまったのです。この後かみさんとしつこくアクセスを繰り返しましたが、どれもつながりません。結局20分後ぐらいにパソコンがつながったのですが、この時点ですべてのチケットが完売になっていました。

次が8月1日の一般発売で、この日は10:00からとなっていました。この日は楽天だけでなく、コンサートチケットなどを買っているeプラスにもアクセスできるようにして、10分前ぐらいからこの2社にアクセスを試みました。当然つながらないのですが、約2分後に楽天につながったのです。

急いで調べてみると、準々決勝の日は1階席はすでに売り切れ、2階席が4枚残っていました。かみさんの友人も一緒に行きたいといっていましたので、この2階席を3枚購入したところ、無事手続きも進み購入完了できたのです。ほぼ同時にeプラスにもアクセスできましたが、こちらはすでに完売になっていました。これはかなり運がよかったとしか言いようがありませんが、何とか今年もチケットが確保できました。

ちなみにこの席は6000円なのですが、その後チケットショップでは2万から4万程度で売り出しています。

近赤外線でガン縮小

2016-08-24 10:32:04 | 健康・医療
アメリカ国立保健研究所(NIH)が、体に無害な近赤外線を当ててガンを攻撃する免疫を活性化させ、がんを縮小させることにマウスで成功したと発表しました。

ガン細胞は、免疫を抑える働きのある「制御性T細胞」を利用して、ガン細胞を攻撃する免疫細胞から巧みに逃れているとされています。この制御性T細胞というのは、免疫細胞の一種で昔からその存在は知られていましたが、色々な役割が分かったのは1990年代後半のようです。

もともとは単に過剰な免疫反応を抑える働きをする細胞として認識されていましたが、免疫反応での最も重要な役割である、自己と非自己を見分ける働きに関与することが分かりました。この制御性T細胞はあらゆる組織に存在し、これがあると他の免疫細胞が自己であると認識して攻撃をしないというシステムのようです。

実際はもう少し複雑なようですが、ガン細胞はもともとは正常細胞ですので、この制御性T細胞を持っており、そのため免疫システムが働きにくいわけです。そこでこの研究チームは、制御性T細胞に結合する性質を持つ抗体に、光を受けると発熱する化学物質を結合させた薬を作り出しました。

この薬を肺ガンや大腸ガンを皮膚に移植したマウスに投与したわけです。その後患部に近赤外線を当て、化学物質の発熱により、ガンの周囲にある制御性T細胞を死滅させました。その結果ガン細胞は免疫細胞の攻撃を受けるようになり、ガンを一時的に大幅に縮小させることができたとしています。

さらに光を当てていない部位のガンが縮小することも確認でき、これはガン細胞を攻撃する免疫細胞が体内で移動しているためと推測され、転移したガンにも効果が期待できるようです。この辺りの実験結果については、この説明ではあまり正確でないような気もしますが、こういった実験では予期せぬ効果が出ることは多いようです。

私は先に書きましたように、過剰な免疫反応を抑えるという点で、この制御性T細胞が自己免疫疾患の治療に使えないかということに興味を持っていました。今回の実験ではこの制御性T細胞が、ガン細胞を免疫細胞から守っているということが確認できたわけで、新たな興味が出てきたと言えます。

研究チームは、すでにこの化学物質を利用した治療方法を人間の頭頸部ガンの末期患者を対象にした治験を米国で行っているようです。ガン細胞を狙い撃ちにする、免疫細胞を利用した今回の方法が実用化できれば、今まで以上の高い治療効果が期待できるのかもしれません。

オリンピック 終わりました

2016-08-23 10:27:00 | その他
色々と楽しんできたオリンピックもついに終わりました。

前回のロンドン五輪は、まだ勤めていましたので、当然ですがこれほど多くの競技を見ることはできませんでした。まだ内職はしていますが、午後がちょうど再放送などの休みの時間になりますので、適度にこなしながら見ることができました。

最終的にメダル数が金12、銀8、銅21と合計41個というのは、素晴らしい結果だと思います。オリンピックは参加することに意義があるという言い方をしますが、実際にはメダルを取るために応援しています。オリンピックはそういう意味では非常に厳しく、誰かが言っていましたが、3位と4位では天国と地獄という言葉があっているような気もします。

この点からも大会初日に競泳の個人メドレーで、萩野と瀬戸が金と銅を取ったのは大きかったと思います。これで応援する方も期待が持てましたし、たぶん日本の選手たちも元気が出たのではないでしょうか。

印象に残っているのはやはりテニスの錦織です。開催前はかなり厳しいスケジュールですので、オリンピックには出ずに次のグランドスラムである全米オープンに備えたほうが良いと思っていました。しかしオリンピックのテニス中継を見るのは今回が初めてでしたが、やはり通常のATPツアーとはやや雰囲気も異なり、3位決定戦まで6試合を楽しみました。しかしこれもナダルに勝ち、銅メダルになったから余計よかったのかもしれません。

女子卓球の石川を応援していました。卓球がここまで注目を集めるようになったのは、福原の力だと思っています。私は昔から卓球は好きでしたが、試合をテレビで見るということは全くありませんでした。しかし福原が出てきてからは、ある程度勝てるようになり、テレビでも放映しある意味メジャーな競技となってきました。

個人戦の石川はアクシデントで初戦敗退してしまいましたが、団体では活躍し銅メダルの原動力となりました。しかしどこの国も中国からの帰化選手で固めているようでは、本当のメジャーな競技にはならないような気もします。男子卓球も頑張り、打倒中国も夢ではなくなったようです。

バドミントンについてはこのブログでも書きましたので省略しますが、奥原が3位決定戦なしで銅メダルになりましたが、もう一試合見たかったような気もします。メダルに最も貢献したのは柔道やレスリングの格闘技でしたが、応援していてもやや面白みに欠けたような気もします。それでも日本の強さが際立っていましたので、応援のやり甲斐がありました。

これで今日から普通の日常になりますが、何となく物足りないような気がしています。まあ祭りの後の寂しさのようです。

30年前の中国旅行の話

2016-08-22 10:39:21 | 旅行
前回といっても3か月も前になりますが、中国の経済事情などを書いたついでに、30年ほど前に中国にいった話を書きました。途中になってしまったので、続きを書く予定でいましたが、つい忘れてそのままになってしまいました。

この時は中国科学院から私の所属する小さな学会が招待された中国出張ですが、実際はいろいろと接待され、団体旅行気分で行ってきました。昔の上海の様子は前回書きましたが、この学会は日本と中国だけでしたが、中国人の参加者数が非常に多く、我々は日本人席で小さくなっていました。

このとき面白かったのが、開会の時中国科学院の偉い人風の挨拶がありましたが、中国語でいろいろ話していました。ところがよく聞いてみると実は英語で、発音が完全に中国語なのでほとんど理解できませんでした。たぶん私の英語も似た様なものなのかもしれません。

日本人グループには、日本語ができる学生2人と世話役としての英語ができる大学院生が3人ついていましたので、普通の生活には全く問題がありませんでした。毎晩のようにレセプションや懇親会がありましたが、色々な大学教授などにかなり女性がいることが不思議な感じがしました。

この時何回か乾杯をするのですが、この酒がアルコール度数が50%ぐらいありそうな強い酒で、飲めない場合は小さな器に酒をこぼしてからこのしぐさをすると教えてもらいました。この時期の中国はまだタバコ社会で、ほとんどの人が吸っているのですが、灰皿が見当たりません。聞いてみるとそのまま床に捨てて靴でもみ消すというのです。床といってもかなり立派な絨毯ですので、この習慣にはかなり抵抗がありました。

この後150キロぐらい離れた無錫に移動したのですが、なぜ行く必要があったのかよくわかりませんでした。この時は日本の古い観光バスでしたが、このバス旅行はかなり怖いものでした。

道路は国道らしい道で、それなりの幅があるのですが、左右に自転車が3列ぐらいになって途切れることなく走っています。ですからバスは道の中央を走っているのですが、対向車が来るとクラクションを鳴らしながら、自転車の列によって行くのです。特にスピードを落としたりしませんが、自転車も慣れているのか特に問題なくすれ違うのですが、見ていると本当にぎりぎりでたぶん事故も多そうな気がしました。

この移動には数時間かかりましたが、この何列にもなっている自転車が途切れることは有りませんでした。やはり中国の人口が多いことを実感しました。無錫についてからはほとんど観光だった気がしますが、そのあたりについてはまた気が向いたときに書きます。