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ごっとさんのブログ

病気を治すのは薬ではなく自分自身
  
   薬と猫と時々時事

大腸の炎症で糖尿病に

2016-08-21 10:40:25 | その他
このところ肥満に関する記事が多いような気がしますが、今回は肥満による大腸の炎症で糖尿病が発症するという研究結果です。

糖尿病というと現在治療している患者数も316万人に上り、強く疑われる人が960万人もおりさらに予備軍がと続きますが、通常の2型糖尿病はいわゆる病気ではないと思っています。問題は高血糖のまま放置すると、合併症を引き起こし、深刻な状態になることです。

私の周りにも友人で糖尿病性腎症になり、現在透析を受けていたり、親戚でも糖尿病性網膜症になりほぼ失明した者もいます。この合併症は高血糖の状態が続くと、糖によって血管が損傷するためと言われていますが、私は若干これを疑っています。

どんなに健康な人でも通常の食事をすれば、血糖値は上昇しこの血液中の糖分が、細胞内に取り込まれて血糖値は徐々に下がってくるというサイクルを繰り返しています。この血糖値がなかなか下がらず、空腹時でも高いままというのが糖尿病ということになるわけです。

この原因の大部分が生活習慣、特に肥満とされていますが、大量に糖類を摂取したとしても、それをすべて体内に取り込むのがいわば生命の基本ですので、血糖値が高いままになるということとは結びつかない様な気がします。

さて今回発表されたのは慶応大学の研究グループの成果です。マウスに脂肪分を60%含む高脂肪食を与えながら4週間飼育し、肥満マウスを作り出したようです。その結果、マウスは免疫細胞のマクロファージの集積を促す蛋白質「Ccl2」の産生が増加し、マクロファージが集積して大腸の慢性炎症を引き起こしたとしています。

さらに炎症性の物質が血中を循環してインスリンの効きを悪くしていることも明らかになりました。ここまでは単に肥満になると、大腸の慢性炎症が起きやすくなるという結果です。研究グループはまた、大腸の腸管上皮だけでCcl2が欠損する遺伝子改変マウスを作製して調べたところ、大腸だけでなく脂肪組織の炎症も抑えられたとしています。さらにインスリンの効きが良くなり、血糖値の上昇も30%程度低下したとしています。

この結果は何となく意味は分かるのですが、炎症と血糖値の増加がなぜ結びつくのかが抜けているような気がします。研究グループは今回の研究結果は、肥満になっても腸管で炎症が起こらないと糖尿病になりにくいことを示し、将来的には腸の炎症を抑える新しい糖尿病治療薬の開発が期待される、としています。

これは肥満になると大腸の慢性炎症が起きることが前提となっていますが、あまり聞いたことがないような気もします。いろいろ報道される科学ネタも、すべてが納得できるわけではないということで紹介しました。

食品中の有毒物質

2016-08-20 10:33:35 | 自然
3か月ほど前ですが、身近な有毒植物としてスイセンやスズランを取り上げました。

最近理化学研究所が、毒のないジャガイモを開発というニュースを見ましたが、たいしたことではないと思っていました。ところがこのジャガイモなどの毒は、私が思っている以上に危険であることが分かりました。

ジャガイモに含まれる毒成分はソラニンが有名ですが、これはステロイドアルカロイドという分類で、熱安定性も高く通常の調理方法では分解しません。ソラニンの作用としてはコリンエステラーゼの阻害などの神経毒で、頭痛、嘔吐、下痢などとされています。

この中毒量は成人で200~400mgとされており、通常のジャガイモの含量は100ℊ(中程度のイモ1個)あたり1.5mgであり、全く問題ないと思っていました。特に芽の部分は含量が多いようですが、除いてしまえば残りは食べられると思っていました。

ところが子供の場合はこの感受性が高く、成人の10分の1程度でも食中毒となり、小学校などで自家栽培したジャガイモを食べて集団中毒になる事例がかなり多いようです。このジャガイモのソラニン合成は、空気に触れると開始されるようで、栽培中であっても土がかかっていないようだとかなりの量がたまってしまうようです。

理由はよくわかりませんが、通常に栽培してもいわゆる小芋にはかなり多く含まれ、100gあたり75mgもあるとされています。ですから特に子供の場合は、こういった小芋を1,2個でも食べれば中毒の危険があることになります。通常市販されているジャガイモには、こういった小芋は含まれていないようですが、自家栽培などではできることがあるようです。普段普通に食べているものですので、毒性は低いといっても多量に合成される可能性があるというのは、やや怖い気もします。

次がインゲンマメですが、これに毒物が含まれているということは知りませんでした。毒性物質はレクチンの1種のフィトヘマグルチニンと記載されていますが、この物質についてはよくわかりません。レクチンというのは糖鎖結合タンパク質の総称ですので、どういった毒性があるかも一概には言えないようです。

以前このレクチンにダイエット効果があるとされて、たぶんインゲンマメを使って下痢や嘔吐などの症状が出たようです。但しレクチン類はタンパク質ですので、通常の加熱調理すれば分解するはずですので、あまり問題はないのかもしれません。そのほかズッキーニにもあまり聞いたことがない有毒物質が含まれていて、下痢や腹痛を起こすようです。

このように普通に食卓に上がるかなりの食品にも有毒物質は含まれているようで、加熱などをしっかりしないといけないというのは、気にすべきことなのかもしれません。

夏の夜の怪談

2016-08-19 10:29:09 | その他
私は昔から怪談話のような怖い話が好きだったのですが、どうも最近はあまり怖さを感じなくなってきたようです。

特に夏になるとこの手の話が多くなり、小さいころは怖がりながら聞き夜トイレに行けなくなったような記憶があります。怖い話を聞くと涼しくなるという感じがありますが、これは交感神経が刺激され、血管が収縮するためとされています。こういった余分な知識が増えた分、怖さを感じなくなってきたのかもしれません。

やはり怪談というと江戸時代の四谷怪談や番町皿屋敷、牡丹灯籠のようなものを思い浮かべますが、古くは平安時代の今昔物語から雨月物語と、日本の文化として定着しているような気がします。

私は残念ながらこういった心霊現象的な体験はなく、怖い思いをしたことがありません。基本的に幽霊などの霊という物を信じていませんが、妖怪はいてほしいという願いを持っています。

幽霊と妖怪というと同じようなものと思う人は多いかと思いますが、私は霊というのは死後の世界ですので、何かが残ることは無いと思っています。しかし妖怪は遠野物語の世界や、水木しげるの世界であり、ちゃんとした生命として描かれています。ですから座敷童や河童のような妖怪は、存在する可能性を否定するものではないと考えているわけです。

こういった怪談については、単に恐怖心をあおるだけではなく、人間存在の根源にある悲しみや畏怖心、いとおしさに訴えるものとしています。私は特にどういう物かなど考えずに、純粋な文学として価値があるものもあると思っています。

こういった心霊的な物語は現在でも続いており、1970年代の口裂け女や1990年代にもトイレの花子さんなどの都市伝説が生まれています。こういった話が生まれてくる時代背景があるのかもしれませんが、別に深刻な問題でもなく適度に楽しんでいます。

現在はこういった怪談話を聞くこともほとんどなく、ホラー映画などを見る程度ですが、基本的には怖い話は耳で聞いた方が怖いようです。それでも日本のホラー映画は、この昔からの怪談を引き継いでいるようで、海外のホラー映画とは一味違い割と好きでたまに見ています。

この海外との差を言い出すと長くなりますが、基本的には日本の独特な宗教観が絡んでいるような気がします。今でもネットの心霊的な怖い体験談などたまに読んでいますが、霊を信じていない割には面白く感じています。恐怖心というのは人間の根源的な感情といえますので、それに訴えかけるような新しい怪談話の登場を期待しています。

オリンピック バドミントン

2016-08-18 10:53:30 | その他
オリンピックも終盤に向かって盛り上がっています。面白そうな競技は再放送も含めていろいろやっていますので、このところテレビを見る時間が多くなっています。

先日私も若いころバドミントンを少しやっていたということ書きましたが、オリンピックも男子は負けてしまいましたが、女子が非常に頑張っています。そこでバドミントンについて書いてみます。

私も羽根突き的な感覚で始めましたが、実際は全く違っていました。ラケットでシャトル(いわゆる羽根です)を打ち合うわけですが、これはプロのような人が打つと、打った瞬間初速はたぶん300キロを超すスピードとなります。ところが羽根の抵抗が大きいため、急速に減速するというのがバドミントンの特徴です。

通常の試合を見ていてもあまり分からないのですが、スローで映したりすると高いところを飛んでいるシャトルが、コートエンド付近では急に減速し、ほぼ垂直に近いような形で落ちてきます。ですから打つ角度や強さをコントロールすると、ネットを超えた途端に落ちてきたりと非常に多彩なシャトルを打つことができるわけです。

スマッシュのように鋭角に打たれると、反射的にラケットを出しますが、すべてに急激なシャトルスピードの変化という難しさが付きまとうわけです。つまり相手のコートのすべてのところに落とすことが可能であり、それを拾うためには非常に大きな運動量が必要となります。

私はほとんどダブルをメインでやっていましたが、こういったシャトルの特殊性から、シングルスとは全く異なった動きや打ち方が必要となります。ですからバドミントンの場合は、シングルスとダブルスは異なる競技といえるくらい色々と異なっているわけです。

そういった点で今回の日本女子は、シングルスでもよいところ(準決勝)まで行き、ダブルスでも決勝進出というは本当にすごいことです。

このダブルスの高橋・松友ペアのすごさは、常に前後の陣形を保って試合ができるところです。通常ダブルスは、守るときは中央で左右に分かれた陣形となり、攻めるときに前後の陣形になるのが普通です。つまりこの日本ペアは常に攻める姿勢を保ちながら、しっかり守ることもできるという強さを持っているわけです。これならば今日の決勝も期待できるのではと思っています。

シングルスも日本人対決というややひどい組み合わせになってしまいましたが、勝ち残った奥原は次に来るであろう位置の読みがすばらしかったと感じています。いつの間に日本のバドミントンがこんなに強くなったのか分かりませんが、今日の試合を楽しみにしています。

記憶の連動の仕組み

2016-08-17 10:20:42 | 自然
富山大学と東京慈恵会医科大学の研究グループが強烈な体験をするとその前後のささいな出来事も覚えていることが多いという記憶の連動の仕組みを明らかにしたと発表しました。

記憶が連動するのは、それぞれの出来事を記憶する脳の神経細胞の領域が重複しているためとういことが分かりました。以前から例えば東日本大震災の起きる前のランチに何を食べたかを覚えているとか、大きなショックや嬉しいことのように、いわゆる記憶に残るような出来事があると、その前後の通常では忘れてしまうような出来事まで覚えているという、記憶の連動現象が知られていました。

これは動物実験でも確認されており、「行動タグ」と呼ばれていたようです。記憶というのは非常に難しい課題のような気がしますが、どうやって動物実験をするのかさえ分かりませんが、それなりの手法があるようです。

私の息子が記憶喪失になったことがあります。大学2年の時でしたが、過労と睡眠不足が重なり出先で倒れたようです。そのまま入院したのですが、高校卒業からその時期までの記憶が抜けてしまったのです。私や家族とは普通に話ができるのですが、大学の友人や付き合っていた彼女を認識できず、見ていても不思議な光景でした。

それでも3日ほどでこの記憶は戻ったのですが、完全に戻っているのかどこかは抜けたままなのかは結局わかりませんでした。当然なぜ記憶が抜け落ちたかも分からないままでした。その後20年ほど経っていますので、記憶はブラックボックスではなく、科学の手が入ってきたようです。

さて今回の成果はやや分からないところがあるのですが、マウスにささいな出来事と強烈な体験を記憶させるためにそれぞれ「新奇物体認識課題」「新規環境暴露」と呼ばれる実験をしました。新奇物体認識課題としてマウスが好奇心を示す物を四角い形の箱に入れ、新規環境暴露としてはマウスを慣れない立方体や円柱の形の箱に入れるという実験です。記憶の有無を調べる実験をした結果、ささいな出来事だけを体験させたマウスは24時間後にはその出来事を忘れるようです。

しかし、ささいな出来事を体験させる前後1時間以内に強烈な体験もさせると24時間後もそのささいな出来事を覚えていることが分かりました。次に強列な体験をさせたマウスの脳の海馬の神経細胞を調べると、ささいな出来事、強烈な体験それぞれを記憶した神経細胞の領域の大部分が重なっていることも判明したということです。

このようにマウスでどの神経細胞に記憶されたかとか、記憶の有無を確認できるようになったことは、すごい進歩のような気がします。