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卵巣ガンの「薬物療法」分子標的薬2剤が承認

2023-03-21 10:39:27 | 
ガンの3大治療として手術、放射線療法、および薬物療法が知られています。日本では手術が圧倒的に多く、切除可能なガンであれば90%以上手術が実施されます。

若中年であれば手術の負担にも耐えられますが、高齢者への手術が本当に必要かは疑問に思っています。

また薬物療法については、現在主流となっている細胞毒性薬剤を、手術後念のために投与するという方法はあまりにも身体の負担が大きいような気がします。

ここでは卵巣ガンの薬物療法の最新状況について紹介します。卵巣ガンは年間1万3000〜1万5000人の女性がかかっているといわれています。組織学的に大きく漿液性ガン、明細胞ガン、類内膜ガン、粘液性ガンの4つのタイプに分類されます。

卵巣ガンは早期では症状が出にくく見つかった時には進行していることが多いため、薬物療法が重要となってきます。最近の卵巣ガンのトピックスは、分子標的薬のPARP阻害薬オラパリブとニラパリブが承認されたことのようです。

卵巣ガンの治療の考え方は少し特殊といえます。最初に腫瘍減量手術を行って、できるかぎり腫瘍を摘出します。手術でガンを取りきれなかったり、切除した組織を調べて悪性度が高かったりした場合は、進行度によらず薬物療法を実施します。

手術による完全切除が難しそうなケースでは、最初に薬物療法を実施してガンが縮小したタイミングで手術を行うという方法も取られています。薬物療法では、従来からの抗ガン剤であるタキサン系とプラチナ製剤を組み合わせたTC療法が長年標準治療として行われてきました。

10年ほど前からは、TC療法に分子標的薬の血管新生阻害薬のベバシズマブを追加する治療も始まっています。さらに今回の承認で、オラパリブとベバシズマブという組み合わせも可能になりました。

PARP阻害薬はガン細胞の傷を修復する作用を持つ酵素であるRARPを働かなくすることで、ガン細胞の死滅を促します。

初回治療の維持療法として、DNAの傷を修復して細胞のガン化を抑える働きに異常のある状態(HRD陽性)や、HDRに関わるBRCA遺伝子に変異のある場合に使えるのがオラパリブで、遺伝子の状態にかかわらず使えるのがニラパリブとなっています。

分子標的薬のベバシズマブでは消化管せん孔、血栓症、高血圧などの副作用があります。そのためいわゆる血液をサラサラにする系の薬(抗凝固薬など)を使っている場合や、高血圧や糖尿病などがある人への投与には注意が必要とされています。

こうした従来薬に比べて副作用の少ない抗ガン剤が開発されていることより、卵巣ガン治療もより安全なステージに移行し始めているといえそうです。


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