ごっとさんのブログ

病気を治すのは薬ではなく自分自身
  
   薬と猫と時々時事

人はなぜ「まばたき」をするのか、驚きの役割

2024-01-29 10:36:51 | 自然
半年ほど前ですが、若干目がかすんだ感じやまばたきが増え涙が出る気がして、眼科医に行ってみました。

非常に多くの目の検査を受け、基本的に眼の病気はないと診断されましたが、私の症状は結膜炎という事で目薬を処方されました。無意識にやっている「瞬き」にはどんな意味があるかの研究結果を紹介します。

単純にいえば瞬きは「目を潤すため」と言えそうですが、実は他にも深い役割がありそうという研究が行われています。瞬きで有名な話がアメリカの大統領選挙で、テレビ討論で候補者の瞬きが視聴者が抱く印象に無意識に影響を及ぼすことが知られています。

これまでの選挙では、瞬きの回数が多いと焦っている、余裕がないという印象を与え、負けることが多いそうです。ヒトはおよそ3秒に1回の割合で瞬きをしており、一生で換算すると実に5億回以上瞬きをしていることになります。

この瞬きには、突然の音や光などに対して反射的に行うもの、眼が染みたときなどに意図的にするもの、そしてとくに原因がなく自発的に行っているものがあります。

1回の瞬きで視覚情報が0.3秒ほど遮断されるため、起きている時間の約1割は瞬きのせいで視覚情報の入力が途絶えている状態です。瞬きをすると0.002ccの涙液が分泌されて、眼の表面に潤いの膜ができます。

しかし目を潤すためには、15秒に1回ぐらいの頻度で十分であることが分かっています。多大な視覚情報を犠牲にしてまで、頻回に瞬きする理由は未だに謎となっているようです。

大阪大学の研究チームは、瞬きをするタイミングに注目し、ある映画を見ている時いつ瞬きをしているかを調べる実験を行いました。すると同じ映画を見ている時、瞬きの瞬間が0.2秒以内の精度で同期していることが明らかになりました。

どのシーンで瞬きの同期が発生しているのかをコマごとに調べると、主人公が車から降りた瞬間やドアを閉めた瞬間など、映像の暗黙裡の句読点でした。つまり無意識に環境の中から出来事のまとまりを見つけ、その切れ目で選択的に瞬きをしていると言えます。

次に脳の中で何が起きているのかを知るために、MRIの中で同じ映像を見せて瞬きに伴う脳の活動の変化を調べました。すると瞬きのたびに、記憶をつかさどる海馬と内的な考え事をしているときに活発に働くデフォルトモードネットワークの活動が増えていました。

瞬きには連続する視覚情報を区切って、意味付けたり記憶したりする働きがあるのかもしれません。現在のところこの程度しか分かっていませんが、その他無意識に「会話の間」を共有しているという研究もあるようです。

意味なくしていると思っていた瞬きにもそれなりの役割があるというのは面白いことです。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿