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冬野菜の凍結耐性を高めるための工夫

2024-04-14 10:33:31 | 自然
今年は暖冬といわれてきましたが、3月に入っても寒い日が続きました。

ホウレンソウなどの冬野菜は気温低下を感知し、凍結耐性を高めるるために細胞壁の多糖を増やすことを、埼玉大学などの研究チームが突き止めました。

この働きは多くの植物で認められており、凍結耐性を改変することで農作物の収量増加や品質の向上につながる可能性があります。冬野菜は他の季節より甘くておいしいことが昔から知られていますが、このおいしさのもとは細胞内の糖分です。

細胞液が水ならば理論的には0℃以下で凍ってしまうのですが、冬野菜の細胞液は気温低下を感じると糖分が増えて凝固点を下げるなどして、零下でも凍らず生存できるようにしています。

埼玉大学の研究チームは、これまで構造の分析などが難しく凍結耐性の仕組みが分かっていなかった細胞壁に注目しました。ホウレンソウや小松菜、シュンギク、エンドウの4野菜について細胞壁を抽出し、細胞壁を構成する多糖3種(ペクチン、ヘミセルロース、セルロース)を分離しました。

気温22度で栽培し続けた場合と同4度で1週間栽培した場合について、多糖3種それぞれに含まれるグルコースを始めとする単糖の割合を比較したところ、ペクチンの構成要素である単糖ガラクトースの割合が2倍ほど顕著に増加していました。

先行研究などから、ペクチンで増加したのはガラクトースが連なる側鎖「β-1,4-ガラクタン」と考えられました。寒さにさらすと細胞壁内でガラクタンが増えるかを調べたるため、実験植物のシロイヌナズナを準備しました。

組織中のガラクタンが光るようにして観察すると、細胞壁で蓄積しているのが確認できました。一方突然変異によってガラクタンを合成できなくなったシロイヌナズナは、寒さにならした後でも零下10度に置くと、組織が広く死んでしまいました。

不溶性の多糖が占める細胞壁の凍結耐性の仕組みは細胞内とは別で、研究チームは細胞壁の厚みの増加や多糖のネットワークの密さといった植物の形状の変化を起こすものとして、ガラクタンが関わっているのではないかとしています。

こうした凍結耐性の仕組みは、モデル植物でも完全に分かったとはいえないようです。まあ私にとっては、低温栽培のホウレンソウの方が本当においしいのか程度の興味と言えるのかもしれません。

なお先日シロイヌナズナを見ることがありましたが、そこら辺の雑草のような植物で、これが実験植物として使われているという事も面白いのかもしれません。