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夢を見ないマウスを遺伝子操作で作成

2018-09-08 10:36:47 | 自然
寝ている間に夢を見ないマウスを遺伝子操作で作ることに、理化学研究所などの研究グループが成功しました。

人間にもある睡眠との関係が深い遺伝子を特定したことで、睡眠障害などの治療薬開発につながる可能性があるようです。

睡眠には、身体も脳も休んでいる「ノンレム睡眠」と、身体は寝ているが脳は起きている「レム睡眠」の二つがあります。レム睡眠の時には夢を見たり、記憶が固定されたりすることが知られています。

レム睡眠を制御する分子としては、神経伝達物質のアセチルコリンが知られており、いくつかの薬理学的な証拠が得られています。しかしアセチルコリンがレム睡眠に本当に不可欠であるかどうかはこれまで不明でした。そこで研究グループは、マウスにおけるアセチルコリンの役割を、個体レベルの包括的な遺伝学的手法を駆使して評価することを試みました。

この詳しい手法は省略しますが、睡眠量の解析によって、二つのアセチルコリン受容体(Chrm1およびChrm3)を欠失したマウスにおいて、睡眠量の著しい減少が観察されました。

この遺伝子を欠失させたマウスの睡眠量を詳しく解析したところ、Chrm1遺伝子欠失マウスは、レム睡眠とノンレム睡眠の時間がともに減少(34分と117分短縮)していました。一方CHRm3遺伝子欠失マウスではノンレム睡眠のみが著しく減少(約153分)し、レム睡眠は1回の持続時間が短くなり頻度が増える影響がみられたものの、総量に変化はありませんでした。

この結果からChrm1遺伝子はレム睡眠、Chrm3遺伝子はノンレム睡眠を主に制御していると考えられます。そこで両遺伝子を同時に欠失させたマウスを作製し、睡眠量を解析したところ、レム睡眠量がほとんど検出できないという結果が得られました。

このマウスは記憶力が通常より悪いようでしたが、生きる上では支障がありませんでした。このようにレム睡眠が動物にとって本当に必須なのか、必須であるならばどのような役割を持っているのか、また睡眠はどこまで削れるのかという問いを、改めて検証するきっかけになるようです。

この両遺伝子を欠失させたマウスの検証は続いているようですが、こういった研究がさらなる睡眠研究ならびに睡眠障害に対する効果的な治療薬の開発が進展すると期待されています。

このように睡眠を含めた脳の働きについて最近は遺伝子の特定という方からいろいろ進んでいますが、現在は遺伝子が特定できれば簡単にゲノム編集技術により欠失させることができますので、複雑で難解な脳機能の解明も急速に進むことが期待できそうです。

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