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食欲を抑える神経細胞を発見

2022-01-21 10:25:14 | 健康・医療
海外ほどではありませんが、日本でも肥満が多くの病気の一因であるというという話はよく聞きます。

最近の研究によれば、肥満の60%以上は遺伝による体質のためとされており、こういった肥満は病気と結びつかないような気もします。

北海道大学の研究グループが、食後に活性化して食欲を抑える働きのある神経細胞が脳の視床下部の「背内側核」という部分にあることを突き止めたと発表しました。

研究グループはこの神経細胞の活動を人工的に増やすと、食事量が低下したことを確認し、肥満の予防や治療開発への貢献が期待されるようです。

北米や欧州諸国などでは2030年までに国民の60%近くが肥満になるという試算があり、肥満対策は心臓病や脳卒中予防の観点からも重要です。食欲の調節は肥満解消のためにも大切で、脳の視床下部が調整することは分かっていました。

しかし全身代謝や体温、食欲などを司る視床下部のどの部分の神経細胞がどのような仕組みで食欲を調節するかなど、詳しいことは解明されていませんでした。

研究グループは活性化した神経細胞を蛍光タンパク質で標識できるマウスを作製し、このマウスを使って食後に視床下部のどの部分の神経細胞が活性化するかを調べました。

実験マウスを空腹にし、餌を与えて30分後、1時間後、2時間後にそれぞれ活性化している神経細胞を蛍光タンパク質で標識しました。その結果1時間および2時間後に視床下部の背内側核と呼ばれる領域で活性化する神経細胞が増加したことが分かりました。

これまで満腹中枢と言われていた視床下部の腹内側核や弓状核と呼ばれる領域を含め、背内側核以外の神経細胞に変化はありませんでした。

研究グループが神経細胞の活動を人工的に増加、減少させる「DREADD」と呼ばれる技術で、マウスの背内側核の神経細胞を活性化させたところ、マウスの食事量は有意に低下しました。また逆に同じ神経細胞の活性化を抑えると、食事量が増加しました。

この神経細胞を活性化させるとマウスの場所嗜好性が変化することから、研究グループはこの神経細胞が心地よさといった感情にも関係している可能性があるとしています。

研究グループによると、今回の研究成果は正常体重のマウスがどのように満腹感を感じるかについて、神経メカニズムの一部を解明したことを意味し、食べ過ぎによる肥満防止や拒食症対策などに応用することも期待できるとしています。

今回の研究から、具体的に食欲をコントロールする薬剤の探索まではまだまだ大きい壁がありますが、肥満対策の第一歩を踏み出すことができたといえるのかもしれません。


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