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うつ病の原因解明か

2020-10-30 10:26:46 | 健康・医療
コロナ禍で活動は制限され、心身に変調をきたす人も少なくないようです。

うつ病は生涯で15人に1人が経験するという「国民病」ですが、東京慈恵会医科大学の研究チームによって、その原因がウイルスにあることが判明しました。

過労や強いストレスによって引き起こされるうつ病は、誰もがかかる可能性を帯びていますが、その発症メカニズムについては長らく解明されいませんでした。

今年6月にこの研究チームは、体内の「ヒトヘルペスウイルス」が唾液を介して口から鼻に逆流し、脳に感染すると特定のタンパク質が作られることを発見しました。このタンパク質を持つ人は、持たない人に比べて12倍以上もうつ病にかかりやすいという結果も得られています。

動物を含めると数百種類にのぼるヘルペスウイルスの中で、ヒトに感染するのは9種類といわれています。この内訳は省略しますが、ここで問題になるのはそのうちのヒトヘルペスウイルス(HHV)-6と7となります。

このHHV-6と7はヒトに100%感染する、人間ならば誰もが持っているウイルスです。通常幼児期に家族などを通じて感染し、これらのウイルスは突発性発疹といった軽い発疹症をおこすだけで、体内のマクロファージに感染して静かにしています。

これを潜伏感染といい、宿主が疲労すると敏感に察知して再活性化し、外に出ようと唾液中に出現します。従って唾液中のHHV-6と7の量を調べれば、その人がどれだけ疲労しているかを客観的に分析することができます。

HHV-6は潜伏感染中も「H6LT」というメッセンジャーRNAを発現させています。通常はこれからタンパク質は作られないのですが、身体が疲れてくると「増えろ」という指示を出すタンパク質を作り始めます。

すると眠っていたHHV-6が動き始め、唾液中に出て新しい宿主を探しに行きます。疲労には運動などの情報が脳に伝わって生体アラームとして発せられる「生理的疲労」と病気の脳が勝手に疲労を感じてしまう「病的疲労」があります。

この病的疲労にうつ病が潜んでいるようです。このうつ病と関わってくるのは「HHV-6B」という可能性を見出しました。HHV-6は口腔からさらに鼻へと遡り、脳の中でにおいを司る嗅球という部位に感染します。

ここでHHV-6は「SITH-1」というタンパク質を産出するのですが、これは細胞内の別のタンパク質と反応して活性化し、嗅球内にカルシウムを流入させます。その結果嗅球の脳細胞は死んでしまうといいます。

その他のタンパク質の挙動も含めて、うつ病を発症するとしています。うつ病の原因がウイルスというのは俄かに信じにくいことですが、よくわからないうつ病ですので、こういった可能性もあるのかもしれません。


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