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人は何が原因で命を落とすのか

2021-11-19 10:29:02 | 自然
生命は必ず死にますが、別に哲学的なことではなく自然の理と言えます。

ヒト場合何が原因で死亡するかは年代によってかなり異なっています。厚生労働省の死因順位の年次推移をまとめたものがありましたが、なかなか面白い経緯を含んでいました。

50年程度の昔は、死因の上位に胃腸炎、結核、肺炎などの感染症が含まれていましたが、時代と共に減少しています。感染症による死亡が激減したのは、抗菌薬(抗生物質など)などの治療の著しい進歩や、ワクチンなどの予防策の普及と衛生環境の改善によるものです。

しかし世界を見れば、医療水準の低い途上国での死因は依然として感染症が多いようです。世界保健機構(WHO)の調査によれば、こういった国の死因の10位以内のうち半分以上は感染症で、肺炎、胃腸炎(下痢症)、マラリア、結核、HIV感染などが入っています。

さて日本の2019年のデータでは、死因の1位はガン、2位は心疾患、3位が老衰、4位は脳血管疾患、5位が肺炎であり、この上位5疾患で死因の7割近くを占めています。近年老衰が徐々に上がってきていることは興味深い気がします。

ガンは1980年代から死因の1位を独走し、死因全体の4分の1以上を占めています。ガンの死亡率が延び続ける最大の理由は高齢化で、70代以後は急激に増加しています。ガンは遺伝子に何らかの異常が起き、正常な細胞がガン化し、これが増殖したものです。

医療の進歩によって長生きすることで、相対的にガンで死亡する割合が増えてきました。つまり昔はガンで死ぬ人が少なかったのは、ガンになる前に他の病気で死んでいたとも言えます。

ガンの治療法は近年非常に進歩していますが、それ以上に高齢者が増えているということのようです。ガンを除いて常に死因の上位を占めているのが心疾患と脳卒中です。これらで亡くなる人の大部分は、生活習慣病が背景にあり、高血圧、糖尿病、脂質異常症などが挙げられています。

それでも最大の要因が「加齢」であることは確かなようです。現在死因の上位には老衰と肺炎が含まれており、これらは年々増加していますが、いずれも加齢が主な原因です。

老衰はもちろん加齢そのものですが、肺炎(かつてと意味合いが異なります)についても主に高齢者の命を奪う病気です。

一方15歳から39歳までの死因の第1位は自殺となっています。またこの年代では「不慮の事故」が上位に入ることも特徴的と言えます。

以上のように死因というのは年代ごとに異なる特徴があり、また時代とともに変遷するということがこのデータからわかるような気がします。


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