電気を駆使する動物たち

電気は非常に身近なもので、多くの電気器具に囲まれて生活しています。

色々な動物が電気を発生したり、電気の受容器官があることが分かっていますが、ヒトでも筋肉を動かしたりするだけで弱い電場を発生させているようです。電気を利用する動物としてはデンキウナギなどが有名ですが、それだけではなく使い方もさまざまな動物が存在しています。

電気を利用する動物が多く生育するのが、淡水の生態系で濁った水の中で視界の悪さを電気を使って補っています。よく知られているデンキウナギを始めとして、約350種の魚が電気を発生させる構造を持っており、その電圧は高いもので860ボルトに達するようです。

電気は言うまでもなく電子の流れですが、動物はこれを発生させるものと、この電気を感知する方法で利用しています。電気を発生させる動物は、デンキウナギ、シビレエイ、アフリカの淡水ナマズなど、獲物に高圧の電気ショックを与えて動きを鈍らせて狩りをします。

一方電気を感知する動物は、獲物から生じる微弱な電場を感じ取ることができ、障害物や獲物（または捕食者）がどこにいるかを感知します。

例えばある種のサメはデンキを感知する動物で、頭部にある「ロレンチーニ器官」と呼ばれる感覚器官を使って獲物を探し出します。

ヒトが周囲の様子を判断するには視覚で様子を見たり音を聴覚で聴いたりしますが、濁った淡水の中を移動する動物にとっては電気が重要な役割を果たします。例えばデンキウナギが生息する南米のアマゾン川などには、絶え間なく地表から流れ込む多量の沈殿物があります。

そのためこの魚は、発電器官と電気受容器の両方を備えています。体には3種類の発電器官が並んでおり、そこから最大860ボルトにもなる電気を発生させます。この3つの器官は主器官、サックス器官、ハンター器官とよばれ、発電細胞で構成されています。

脳からの信号でこれらの細胞が一斉放電し、大量の電池がつながったように巨大な電気ショックを発生することができます。アフリカの熱帯淡水環境で見られるデンキナマズは、350ボルトに達する電気を発生させてエサを探します。

また西アフリカ原産のエレファントノーズフィッシュは、尾部の発電器官から流す電流をレーダーのように使って濁った水の中を進みます。その他オーストラリア原産の哺乳動物のカモノハシは、くちばしにある電気受容器を使って獲物を探知します。

このように非常に多くの動物が、ヒトが音や光で感知する情報を、電気という手法によって利用しているようです。

電気は何となく人間が作り出したような気がしますが、生物ははるか昔から有効利用していたというのは興味あることと言えます。