私は長年薬に関係する仕事をしてきましたが、治験(臨床試験)に直接かかわったことはありませんでした。それでも色々情報は入ってきて、治験をうまく進めるのは本当に大変だと感じていました。
厚生労働省は、新薬の効果などを調べる治験で患者に偽薬(プラセボ)を使わない手法の推進に乗り出すようです。その代りの患者データベースを運営する大学病院など数カ所を支援するとしています。
治験は薬と偽薬を投与したグループを比較するのが一般的ですが、有効成分を含まない偽薬の投与には倫理的な課題も指摘されています。確かに偽薬投与については、私も若干問題があると思っていました。
特に重篤な病気の場合治験が長期間になると、その間偽薬投与群は何の治療もしないという事になってしまいます。病気の種類によってはこの問題について何らかの処置はされているようですが、本当に偽薬投与群との比較が必要かは疑問に思っていました。
さて治験では、薬の効果や安全性を厳密な方法で検証する必要があります。一般的な手法では、ある病気の患者を無作為に2つのグループに分け、それぞれ薬と偽薬を使用した結果を比較します。
思い込みなどで客観的に評価できなくなるのを防ぐため、どちらが使われたかは医師にも患者にも伝えられません。しかし難病や小児ガンなどは患者数が少なく、治験の参加者を集めにくくなっています。
このため海外では偽薬グループの代わりに診療データを活用する動きが活発化しています。また患者は新たな治療法に期待して参加しても、偽薬が割り振られる可能性がありますが、こうした不利益も解消されます。
偽薬を使わない治験が可能になったのは、医療分野のビッグデータが蓄積されてきたためです。国内にはガンや難病、糖尿病といった分野で、大学病院や学会、国立がん研究センターなどが運営する患者データベースがあり、電子カルテなどから集めた患者の症状や治療内容、検査結果などの診療情報が蓄積されています。
同じ病気の患者の診療経過を集めたデータがあれば、一部を抽出することで偽薬グループのデータとみなして比較できる場合があります。
国内でも薬の承認申請に利用することはできますが、高いレベルの信頼性が求められるため活用が進んでいません。厚生労働省は承認申請に使えるデータを、大学病院などが製薬会社に提供できる体制整備を本格化させるようです。
こういった偽薬グループを除くことで、臨床試験の操作が格段に簡略化できそうですが、私の好きなプラセボ効果のデータが集まらなくなるのは少し残念な気がします。
厚生労働省は、新薬の効果などを調べる治験で患者に偽薬(プラセボ)を使わない手法の推進に乗り出すようです。その代りの患者データベースを運営する大学病院など数カ所を支援するとしています。
治験は薬と偽薬を投与したグループを比較するのが一般的ですが、有効成分を含まない偽薬の投与には倫理的な課題も指摘されています。確かに偽薬投与については、私も若干問題があると思っていました。
特に重篤な病気の場合治験が長期間になると、その間偽薬投与群は何の治療もしないという事になってしまいます。病気の種類によってはこの問題について何らかの処置はされているようですが、本当に偽薬投与群との比較が必要かは疑問に思っていました。
さて治験では、薬の効果や安全性を厳密な方法で検証する必要があります。一般的な手法では、ある病気の患者を無作為に2つのグループに分け、それぞれ薬と偽薬を使用した結果を比較します。
思い込みなどで客観的に評価できなくなるのを防ぐため、どちらが使われたかは医師にも患者にも伝えられません。しかし難病や小児ガンなどは患者数が少なく、治験の参加者を集めにくくなっています。
このため海外では偽薬グループの代わりに診療データを活用する動きが活発化しています。また患者は新たな治療法に期待して参加しても、偽薬が割り振られる可能性がありますが、こうした不利益も解消されます。
偽薬を使わない治験が可能になったのは、医療分野のビッグデータが蓄積されてきたためです。国内にはガンや難病、糖尿病といった分野で、大学病院や学会、国立がん研究センターなどが運営する患者データベースがあり、電子カルテなどから集めた患者の症状や治療内容、検査結果などの診療情報が蓄積されています。
同じ病気の患者の診療経過を集めたデータがあれば、一部を抽出することで偽薬グループのデータとみなして比較できる場合があります。
国内でも薬の承認申請に利用することはできますが、高いレベルの信頼性が求められるため活用が進んでいません。厚生労働省は承認申請に使えるデータを、大学病院などが製薬会社に提供できる体制整備を本格化させるようです。
こういった偽薬グループを除くことで、臨床試験の操作が格段に簡略化できそうですが、私の好きなプラセボ効果のデータが集まらなくなるのは少し残念な気がします。
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