花粉症は1980年代から急激に増え、日本では4人に1人が発症すると言われています。
どうもこれは日本だけの傾向ではなく、他の先進国もこの数十年でアレルギー患者が急増しているようです。これは社会が衛生的になり、雑菌などに触れる機会が減ったためという「衛生仮説」が一つの原因と考えられています。
一方免疫系では1995年に「制御性T細胞(Tレグ)」が発見され、この衛生仮説もよりうまく説明できるようになりました。
免疫細胞は、よく軍隊に喩えられるように「パトロール隊」「司令官」、そして攻撃の「実働部隊」などの役割を持っています。例えば傷口から細菌が侵入すると、血管やリンパ腺にいる「パトロール隊」が捕らえ、「司令官」のT細胞に「こんな異物が侵入しました」と報告します。そのときT細胞が有害だと判断すれば、「実働部隊」に攻撃命令を出します。
しかし、スギ花粉など有害でない異物まで「実働部隊」が誤って攻撃してしまうのがアレルギー反応です。花粉症だけでなく、自己免疫疾患と呼ばれる病気も、ほぼ同じ原因で起こります。この時司令官の誤った命令を止めさせる役割を持つ細胞である「Tレグ」が存在します。このTレグの働きが弱った時は、攻撃が止められずアレルギー反応が起こるわけです。
一方社会が衛生的になるに従い、細菌などを攻撃する免疫細胞の力が弱まった結果、それを制御するTレグも強い力が必要でなくなってしまうわけです。この辺りは結核などの感染症のグラフとアレルギー増加のグラフを書くときれいな逆相関を描くようです。
つまりアレルギーの発症を抑えるには、Tレグの量を増やして活性化すればよいことになります。この方法の一つがアレルギーの抗原を少しずつ摂取するスギ花粉の舌下免疫療法や、スギ花粉症治療米も同じメカニズムでTレグを活性化すると考えられます。
さらにTレグを全体的に活性化する薬剤の研究も進んでいるようです。このような薬が開発できれば、従来の対症療法薬とは根本的に異なり、いわゆる根治療法となりうるわけです。
このような薬の開発もある程度進んでおり、具体的なものはよく分かりませんが数年先には実用化まで進むとも言われています。このようなTレグをコントロ-ルできれば、アレルギー疾患以外の病気への応用も期待できるわけです。
例えばガン細胞のTレグ活性を抑えることができれば、新たなガン免疫療法も可能となりそうです。まだまだ免疫系細胞のコントロール方法が確立できるまでには時間がかかりそうですが、こういった制御性T細胞・Tレグの研究が進展すれば、今までにないタイプの薬の開発につながりそうな気がしています。
どうもこれは日本だけの傾向ではなく、他の先進国もこの数十年でアレルギー患者が急増しているようです。これは社会が衛生的になり、雑菌などに触れる機会が減ったためという「衛生仮説」が一つの原因と考えられています。
一方免疫系では1995年に「制御性T細胞(Tレグ)」が発見され、この衛生仮説もよりうまく説明できるようになりました。
免疫細胞は、よく軍隊に喩えられるように「パトロール隊」「司令官」、そして攻撃の「実働部隊」などの役割を持っています。例えば傷口から細菌が侵入すると、血管やリンパ腺にいる「パトロール隊」が捕らえ、「司令官」のT細胞に「こんな異物が侵入しました」と報告します。そのときT細胞が有害だと判断すれば、「実働部隊」に攻撃命令を出します。
しかし、スギ花粉など有害でない異物まで「実働部隊」が誤って攻撃してしまうのがアレルギー反応です。花粉症だけでなく、自己免疫疾患と呼ばれる病気も、ほぼ同じ原因で起こります。この時司令官の誤った命令を止めさせる役割を持つ細胞である「Tレグ」が存在します。このTレグの働きが弱った時は、攻撃が止められずアレルギー反応が起こるわけです。
一方社会が衛生的になるに従い、細菌などを攻撃する免疫細胞の力が弱まった結果、それを制御するTレグも強い力が必要でなくなってしまうわけです。この辺りは結核などの感染症のグラフとアレルギー増加のグラフを書くときれいな逆相関を描くようです。
つまりアレルギーの発症を抑えるには、Tレグの量を増やして活性化すればよいことになります。この方法の一つがアレルギーの抗原を少しずつ摂取するスギ花粉の舌下免疫療法や、スギ花粉症治療米も同じメカニズムでTレグを活性化すると考えられます。
さらにTレグを全体的に活性化する薬剤の研究も進んでいるようです。このような薬が開発できれば、従来の対症療法薬とは根本的に異なり、いわゆる根治療法となりうるわけです。
このような薬の開発もある程度進んでおり、具体的なものはよく分かりませんが数年先には実用化まで進むとも言われています。このようなTレグをコントロ-ルできれば、アレルギー疾患以外の病気への応用も期待できるわけです。
例えばガン細胞のTレグ活性を抑えることができれば、新たなガン免疫療法も可能となりそうです。まだまだ免疫系細胞のコントロール方法が確立できるまでには時間がかかりそうですが、こういった制御性T細胞・Tレグの研究が進展すれば、今までにないタイプの薬の開発につながりそうな気がしています。
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