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コロナ後遺症の謎を解くカギとなる「微小血栓」

2023-02-10 10:42:27 | 健康・医療
新型コロナの第8波も収束の気配を見せていますが、このまま収まるのかまた次の波が来るのか予断を許さないところです。

ただし次の波のころには分類も見直され、季節性インフルエンザと同じ扱いになっている可能性が高く、毎日発表されている感染者数も把握されなくなり実質的な終息といえるのかもしれません。

やはり最近は身近な友人や知人も感染していますが、それほどひどい症状はなく、後遺症もあまり出ていないようです。

このコロナ後遺症については、その仕組みを解明する研究が2年以上にわたって行われ、提唱された仮説のひとつに「微小血栓」があります。微小血栓ができて毛細血管がふさがれると、血液や酸素の流れに影響が生じさまざまな症状につながるという説です。

これは南アフリカの研究チームが提唱していますが、新型コロナウイルスのスパイクタンパク質が微小血栓の形成を誘発することと、こうした微小血栓は人体に備わった血栓を溶かす仕組みでは壊れにくいことを示しています。

動脈や静脈をふさぐ血栓とは異なり、毛細血管にできる微小血栓はフィブリノゲンという水に溶けるタンパク質が炎症を起こす分子と反応するとできます。ヒトの身体は通常こうした血栓を血管からの出血を止めるために活用しており、血栓を溶かす機能も持っています。

急性のコロナ患者や6か月以上にわたって症状が出ているコロナ後遺症患者の血液に、相当量の微小血栓ができていることが分かりました。しかも糖尿病などの微小血栓とは違い、コロナの微小血栓は簡単に壊れないことが判明しました。

こうした壊れにくい微小血栓を詳しく調べたところ、大量の炎症分子と血栓を壊れにくくする「α2-アンチプラスミン」というタンパク質が含まれていることが分かりました。

毛細血管が微小血栓で塞がれてしまえば、臓器や組織への酸素や栄養の供給が妨げられ、疲労、筋肉痛、ブレインフォグといったコロナ後遺症につながる可能性があります。健康な血液にスパイクタンパク質を加えてみたところ、微小血栓の形成が誘発されました。

またスパイクタンパク質が存在すると、血栓が自然に除去される「フィブリン溶解」の働きを受けにくくなることもわかりました。

この様な微小血栓が長期にわたって存在すると、誤って健康な組織を攻撃する「自己抗体」というタンパク質が作られ、体を衰弱させる不調を引き起こす可能性もあるようです。

この治療法として抗凝固薬の「アピキサバン」と血小板の働きを抑える2種類の薬を1か月併用したところ、微小血栓自体の減少や血小板の活性化の軽減が見られたようです。

まだこういった研究は始まったばかりですが、原因究明が進めばコロナ後遺症の早期治療が可能になるのかもしれません。


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