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認知症予防の点鼻薬を開発

2022-01-24 10:25:33 | 
現在認知症の治療薬は出ていますが、これは認知症の原因としてアセチルコリン説をもとに開発されたものです。

その後アミロイド説が出て、現在はこれが原因の可能性が高いとされています。この様に原因が変わってきているのに、昔の説に基づいた治療薬ではほとんど効果がないような気がしますが、依然としてそれが使われているのが現状です。

大阪市立大学の研究グループが、医薬品などの2つの成分を合わせた点鼻薬が、アルツハイマー病を含めた複数のタイプの認知症に高い効果を発揮することをマウスを使った実験で確認したと発表しました。

認知症はアミロイドβやタウと呼ばれるタンパク質が脳内に蓄積し、分子が数十個集まった状態の「オリゴマー」となって発症するとされています。

研究グループは1994年に結核などの治療に抗生物質として使われる「リファンピシン」に、オリゴマーを脳から除去し認知機能を改善する効果があることを明らかにしました。この薬は安価なのですが、肝障害などの副作用が生じる点が問題でした。

欧米で抗酸化サプリとして使われる天然のポリフェノールである「レスベラトロール」に、肝臓を保護する作用があることに着目しました。そこでリファンピシンとレスベラトロールの合剤を作って実験しました。

レスベラトロールは、神経細胞が自ら痛んだ細胞を修復する物質を作る作用を増強することが知られています。実験ではアルツハイマー病などの認知症のマウスに、合剤を週5日、計4週にわたり鼻から投与しました。

マウスの「モリス水迷路」で所要時間を調べる実験や、脳の組織の顕微鏡観察などにより認知機能や病理を調べました。その結果合剤を投与したマウスは、避難の所要時間が学習により正常に近いレベルで日々短縮し高い認知機能を示しました。

また脳内のオリゴマーの除去や、肝障害のレベルも正常値を保っており、合剤が相乗作用を発揮し有効性と安全性が高いと結論付けました。

このように点鼻薬として鼻から投与すれば、一部は血液を介さずに脳に到達でき、血液脳関門の透過の問題も回避できます。実際にレスベラトロールも認知症に対する効果が期待されていたものの、内服ではやはり効果が出ませんでした。

認知症は発症の20年以上前から脳に異常が生じ、発症時にはすでに多くの神経細胞が消失しています。今回の合剤の点鼻薬が認知症の予防薬として期待されているようですが、まだ初期の動物実験の段階ですので先は長いといえます。

アミロイド説に基づいた治療薬の治験がほとんど失敗していますので、この様な点鼻薬というのは新しい発想といえるような気がします。


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