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覚えにくい薬の名前、命名の由来とルール

2023-06-06 10:36:02 | 
私は長年吸入薬を使用していますが、未だにその薬の名前をはっきり覚えていません。一般に薬の名前は何の意味もなく謎めいているような感じさえ受けます。

実際は医薬品の名前は、混同による投薬ミスを最小限に抑えるための安全策が施されているようです。そのため奇妙に思える医薬品の名前も「非常に厳格なプロセス」を経てつけられています。

簡単にいえば、医薬品の名前を決めるプロセスには3つの段階があるとしています。まずブランド戦略やマーケティングを専門とする代理店や企業によって、候補となる名前が考案される創作の過程があります。

次に製薬会社の商業、規制、法務の各部門の専門家が参加する評価の段階、最後に法的な審査や当局による承認を受けるプロセスとなります。

すべてがこのようなプロセスを経るのかはよく分かりませんが、私のいた研究所から出た抗生物質を例にとってみます。もう30年以上も前の話ですが、微生物の生産する有用物質を探索するグループがあり、そこから新規な抗生物質が見つかりました。

これは順調に開発研究も進み、グラム陰性菌にも強い抗菌力がある抗生物質として発売することとなりました。当時は抗生物質の命名は語尾に「マイシン」とつけることが一般的でした。

これを元にいろいろ候補が出たのですが、この物質の生産菌が相模川の流域から採取されたものであることから英語表記で「サガマイシン」と決定されました。これを発見した研究者から相模の名前を入れたいという意向が出て、カタカナ表記は「サガミシン」という事になりました。

私はこの命名にはあまり関与していませんでしたが、この「サガミシン」というのはなかなか良い名称だと思っています。ここでも医薬品ビジネスは国境を越えて展開するため、全世界に通用する名前にする必要があります。

そのため名前の一部にある国ではおかしな意味を持つような言葉が使えません。名前を付ける点ではこういった言葉をパーモイドと呼び、避けるべき単語がリスト化されているようです。

例として出した抗生物質は「マイシン」を語尾に付けつことが一般的ですが、最近の抗体医薬は語尾に「マブ」を付けることが多いようです。このように名前の中に意味を持たせることで、医師や薬剤師がどんな薬かを分かりやすくする工夫もされています。

特にカタカナ表記では分からないのですが、英語では関連する酵素の略号を入れるなどしていますので、よけい分かりにくい名前となるようです。

薬の名前は「一般名」と「商品名」があり、ここでは一般名の話しをしましたが、こういったことも薬の名前が分かり難い原因となっているのかもしれません。


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