ごっとさんのブログ

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第5のガン治療法BNCTの普及が遅い理由

2024-07-28 10:34:10 | 健康・医療
私の高校時代からの友人が、先月突然亡くなりました。本人が周りには知らせるなという事で、詳しい事情は分かりませんが胃ガンだったようです。

昨年末には忘年会で楽しく飲みましたが、その時は元気でしたので急な発症だったのかもしれません。ガン治療は外科手術、放射線治療、化学療法の3本柱が基本となっています。

2014年には免疫チェックポイント阻害薬を使用し、自身の免疫を利用してガンと闘う第4の治療法が承認されました。さらに2020年にはBNCT(ホウ素中性子捕捉療法)、2021年にはアルミノックス療法(光免疫療法)が保険適用されて診療が開始されました。

BNCTとアルミノックス療法は「第5の治療法」と呼ばれています。アルノミノックス治療の仕組みは、ガン細胞に特異的に結合する薬剤を患者に投与し、患部にレーザー光を当てることでレーザーと反応させ、ガン細胞だけを壊すというものです。

BNCTは、ガン細胞に取り込まれやすいホウ素の同位体を含んだ薬を投与した後、中性子線を照射し中性子とホウ素が反応してアルファ線という放射線の一種とリチウム粒子が発生し、2つのエネルギーによってガン細胞が破壊されるという仕組みです。

どちらもガン細胞だけを狙い撃ちするのが特徴で、正常な細胞への影響が少ないため従来の放射線治療や抗ガン剤に比べると身体的な負担は比較的軽くて済むとしています。

治療にかかる日数もアルミノックス治療では治療に2日、BNCTは1日、その後1週間の入院で経過観察をするため短期間で終わります。BNCTは東北BNCT研究センターにおいて保険診療で行われた頭頸部扁平上皮ガン55例の治療において、完全奏功26人(47%)、部分奏功13人(24%)で奏効率は71%でした。

問題はアルミノックス治療は実施可能な施設が全国約100カ所ありますが、BNCTは東北BNCT研究センターと大阪医科薬科大学にある関西BNCT共同医療センターの2カ所のみという事です。

BNCTのほうが良好な治療成績であることが分っていても、BNCT施設が遠いとの理由も一部あり、適応がある場合には全国的に施行可能なアルノミックス治療が優先されているようです。再発頭頸部ガンの予後は厳しく、10〜50%の人が半年ほどでなくなります。

東北BNCT研究センターの治療成績では、1年生存率が90%、2年は66%、またガンが完全に無くなったまま生存している無病生存率は2年で30%としています。

保険診療で受けられる確かな治療法であり、その対象となる患者にとっては希望となるはずのBNCTはなぜ施設がこんなにも限られているのでしょうか。

このあたりは開発経緯とも関連があるようですが、誰でも受けられるような施策を待ち望んでいると言えるでしょう。