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CBDとは何の略号か

2021-12-06 10:27:57 | 化学
ネットでそれほど良く見る略号ではありませんが、CBDというものが10億円の市場だったものが今年には100億円規模になるという記事を見ました。

そこでCBDを調べてみたところ、カンナビジオールという化合物であることが分かりました。実はこのCBDは私にとってなじみのある化合物で、昔てんかんの治療薬をテーマとして取り上げるか調査していた時に、CBDが効果がある物質として出ていました。

CBDの類をカンナビノイドといいますが、これは植物の麻の成分で大麻にも含まれているテトラヒドロカンナビジオールという物質と類似しているのです。

純粋なCBDには大麻のような精神作用や依存性、中毒性がないのですが、麻から抽出すると若干の大麻成分が混入してしまうようです。これをてんかんの薬として使用するには問題はないのですが、大麻取締法が微妙に絡んでくるようです。

CBDは構造中にポリフェノール構造を持ちますので、抗酸化作用が期待されるとともに気分をやわらげる作用があるとして、サプリメントとしての需要が出ているようです。

現在の大麻取締法では、大麻を含む麻の成熟した茎と種子には中毒作用がなく、ここからの抽出物は合法とされています。海外では難治性てんかんの薬として使用されていますが、パーキンソン病などさまざまな病気に効果がある可能性があるとして、研究が進められているようです。

実は人の身体の中では、内因性カンナビノイドが常時生成されているようです。カンナビノイドは神経伝達物質の伝達経路に関わっており、過剰な神経伝達を抑えています。

こういった背景からCBDが一般的な嗜好品として、化粧品、飲食品、雑貨、ペット用品などで取り扱われるようになってきました。特にコロナ禍でストレスを抱える人が増えたことなどから、市場規模が大きく伸びているようです。

この法整備も進みつつあり、昨年から厚生労働省内で「大麻などの薬物対策の在り方研究会」が開催され、医療大麻の解禁、部位規制の撤廃、成分規制の導入などについて話し合われています。

こういった背景があり、CBDに需要が伸びているようですが、私の専門の薬化学という観点からは、カンナビジオールは医師の処方もなく安易に摂取するにはやや危険な化合物という気がします。

現在も話題になっているコエンザイムQ10のように、化粧品などに配合する分には問題はありませんが、カンナビノイドはやはり精神作用が出る可能性があり、脳血管関門を通過する化合物として注意する必要がある気がします。


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