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早期の前立腺ガン、治療か経過観察か

2023-05-09 10:36:35 | 健康・医療
前立腺ガンは男性の診断されるガンの1位といわれていますが、私の周りでも発症者は多く、ほとんどが手術をしています。

ただその後の後遺症はいろいろ出ているようで、あまり詳しく聞けませんが尿漏れなどで苦労しているようです。ギターの仲間の一人は昨年手術をしたのですが、ここにきてPSAの値がかなり高くなってしまったようで、放射線治療を受けると言っています。

前立腺ガンは進行や増殖が遅いガンの代表といわれていますが、やはり個人差は大きいようです。5年生存率はほぼ100%で、10年生存率も9割を超えていますのであまり心配することも無いのかもしれません。

ガンが前立腺の内部に留まる「限局性前立腺ガン」での治療の選択肢は、外科的な前立腺摘出術、放射線治療、そして定期的に検査を受けながら無治療で経過を診る積極的監視療法の3種があります。

オクスフォード大学の研究グループは、1999年から3つの治療法の長期経過を比較検討してきました。先月公開された最終報告では、追跡期間の中央値が15年を経た1643人のデータが解析されています。

対象者は監視療法(545例)、前立腺全摘手術(553例)、放射線治療(545例)に無作為に分けられ、それぞれの治療を受けました。対象の3分の1は、診断時点で転移・進行リスクが高い中〜高リスクガンでした。追跡期間中、45例が前立腺ガンで死亡しました。

内訳をみると、監視療法群が17例(3.1%)、全摘手術群は12例(2.2%)、放射線治療群では16例(2.9%)と各群間で有意差は認められませんでした。一方「ガンの転移」は監視療法群で51例(9.4%)、全摘手術群で26例(4.7%)、放射線治療群で27例(5.0%)でした。

病勢を抑えるために男性ホルモンを遮断するADTは、それぞれ69例(12.7%)。40例(7.2%)、42例(7.7%)で開始され、いずれも監視療法群で優位に多くなっていました。

研究グループは、手術や放射線治療によって転移や長期ADTは減るものの、死亡率の低下にはつながらなかったとしています。ちなみに監視療法群の133例(24.4%)は、治療を全く行わなかったにもかかわらず、診断後の十数年間何事もなく生きていました。

積極的な治療を行った場合、過剰医療の可能性もあったとしています。この研究では年齢に全く触れていませんが、前立腺ガンは高齢者に多いことからかなりの対象者が高齢であった可能性があります。

この結果からは、死亡率や転移がこの程度であれば、後遺症の出る可能性のある手術や放射線療法を行わず監視療法で様子を見るのが最も良さそうです。もしPSA値が高くなっても、監視療法の選択肢が増えたと言えるような気がします。


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