ごっとさんのブログ

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本庶先生ノーベル賞受賞

2018-10-04 09:52:27 | 時事
京都大学の本庶佑先生が今年度のノーベル医学生理学賞を受賞されました。

本庶先生は免疫の働きにブレーキをかけるタンパク質「PD-1」を発見し、このブレーキを取り除くことでガン細胞を攻撃する新しいタイプの「ガン免疫療法」の開発に結び付けた功績が評価されました。

一般に免疫チェックポイント阻害剤と呼ばれる薬が実用化されましたので、この基礎研究を確立された本庶先生がノーベル賞候補といわれていましたので、今年度受賞されたのは当然とも言えます。

この阻害剤であるオプジーボやその作用点であるPD-1については、このブログでも何回か取り上げましたので、ここではそういった功績については簡単に紹介します。

実は私は20年ほど前、本庶先生のところに伺って色々話をお聞きしたことがあります。なぜ本庶先生のところに行ったかはよく覚えていませんが、この頃既に先生は大御所として有名でしたので、話を聞くなら高名な先生ということで伺ったのかもしれません。

当時はまだ京都大学の医学部長にはなっていませんでしたが、知人の京都大学の先生に紹介してもらい、かなり緊張していた記憶があります。

当時先生はまだ免疫関係の仕事ではなく、アポトーシス(細胞死)の研究をされていました。このアポトーシスというのは、遺伝子が変異してしまったりして正常な機能を果たせなくなった細胞が、自ら死んでしまうという機構ですが、異常細胞の増殖を抑えるための重要な働きです。

これは私の専門外ですが、かなり色々な細胞でこのアポトーシスは起こり、どういうメカニズムで生じているのかに興味を持っていました。残念ながらこの時の先生との話はあまり良く覚えていませんが、私より少し年上なのですが、非常に精力的な話であったと記憶しています。

こういったときは京都の営業所に連絡をして、夕方話が終わった後接待の場所を確保しておいてもらうのですが、祇園当たりの非常に高そうな店で、会社としても本庶先生には気を使っていることが分かりました。

これは友人から聞いた話ですが、本庶先生は学会などでも非常に厳しく、発表に対して難しい質問をされるということでも有名でした。

さて先生はこのアポトーシス関連の遺伝子の中から興味深い遺伝子を発見され、PD-1と命名されました。これが実は免役のブレーキ役を果たしているということが分かったわけです。

ガン細胞はこの受容体を持っており、これに結合すると免疫が働かなくなり、ガン細胞が免疫の攻撃を受けなくなることが分かりました。そこでこのPD-1のふたをしてしまうような抗体医薬としてオプジーボが開発されたわけです。

このように基礎研究から応用開発までがうまくつながり今回のノーベル賞受賞となったわけで、私としても非常に喜んでいます。