ごっとさんのブログ

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パーキンソン病のマーカーにカフェイン

2018-01-25 10:43:40 | 健康・医療
血液中のカフェインがパーキンソン病のバイオマーカーになりうると、順天堂大学の研究グループが発表しました。

パーキンソン病は進行性の精神疾患ですが、このバイオマーカーが実用化されて早期発見ができれば、患者の病状進行を抑えることなども可能になると期待されています。

パーキンソン病は有病率が10万人当たり140人で(国内患者数約14万人)、神経変性疾患としては国内で2番目に患者が多い病気です。手足などが震えたり、こわばったりする症状が徐々に進行する難病で、高齢になるほど発症率は高まるため、社会の高齢化により患者数も増えると予想されています。

症状や画像診断などで診断しますが発症初期の判定は難しい状況でした。一方、患者に症状が出る少なくとも10年以上前から、脳内のある種の神経細胞が減少し始めることが最近の研究で明らかになり注目されていました。

順天堂大学大学院医学研究科の研究グループは、コーヒーなどに含まれるカフェインを適量摂取することがパーキンソン病の発症予防に効果があるとした報告に着目しました。

パーキンソン病の患者108人と健常者31人から採血して血液中のカフェインとカフェイン代謝物の濃度に差が出るかを調べました。その結果、健常者はカフェイン摂取量と比例してカフェイン濃度が高くなっていたのに対し、患者はその相関関係が弱く、健常者より濃度が有意に低い値でした。血液中のカフェインだけでなく9種類の代謝産物も摂取量との相関関係が弱いものでした。

ここでカフェインに注目したのはなかなか面白いと思われます。カフェインについてはこのブログでも紹介しましたが、ピリミジン類という核酸塩基と呼ばれる精神興奮作用がある化合物の仲間で、分子中の窒素へのメチル基の数でティンなどがあり、微妙に生理作用が異なる物質です。

最近カフェインの色々な効能については報告がありますが、あまり疾病での血中濃度などは調べられていないようです。カフェインはヒト体内で合成することはできず、肝臓で代謝され多くの代謝産物が生まれます。

作用としては心血管系への作用、抗腫瘍作用、神経保護作用などが報告されていますが、とくに男性パーキンソン病患者での発症予防・症状改善効果が示唆されています。

研究グループは、カフェインと9種類の代謝産物の濃度を調べれば、発症の初期でもパーキンソン病罹患を見つけることが可能で、これらが早期診断のバイオマーカーになり得ると判断したようです。

患者は腸管からカフェインを吸収する力が弱いとみられることから、同グループは適切量のカフェインを投与することにより、症状の進行を遅らせたり、発症を予防することにつながる可能性があるとしています。