ごっとさんのブログ

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体内時計と肝臓疾患との関わり

2018-01-06 11:07:37 | 自然
京都大学などの研究グループが、睡眠や目覚めなど約24時間で体が変化する「体内時計」をつかさどる時計遺伝子が、肝臓の細胞分裂に不可欠であることが分かったと発表しました。

この研究成果は肝炎や肝硬変などの予防や治療に役立つ可能性があるようです。研究グループは、肝臓の働きにも24時間のリズムがあることに着目しました。

時計遺伝子を働かなくしたマウスを作製して肝細胞を調べると、大きさが通常の2~8倍もある細胞が増え、中には複数の核を持つものも出てきました。細胞分裂がうまく進まず、途中まで分裂した細胞が融合してしまったようです。

この辺りを少し詳しく書きますと、哺乳類の時計遺伝子は3種類存在します。今回の研究ではこの3つの時計遺伝子が欠損したマウスを作製しました。一般に体細胞の各層は2n(父母から1ゲノムずつ受け継ぐ)ですが、正常の肝臓の細胞は一部の細胞が多倍体(4n)になっています。

欠損マウス全身の臓器の組織変化を調べたところ、肝臓の構成単位である肝小葉の中心静脈付近にある肝細胞の多倍体化が著しく進んでいることが分かりました。また肝細胞の増殖をつかさどるインスリンを介する細胞内シグナル伝達系を調べたところ、分裂促進因子活性化タンパク質の活性が顕著に減少していました。

これは時計遺伝子によって抑制されているタンパク質の影響で、娘細胞が親細胞と別れられず、再結合しその結果として多倍体化した核の大きな巨大細胞となることが明らかになりました。

今回の研究では、細胞分裂の最後の段階である細胞質分裂をも時計遺伝子が制御していることが分かりました。細胞の分裂は、開始から終了まで体内時計の強い影響下にあることが示されました。

今回、時計遺伝子の新しい機能が明らかとなり、長らく不明であった肝細胞の多倍体化の分子機構が解明されました。高齢者や肝炎などの患者では、肝臓に巨大な細胞が増えることが知られており、研究グループは、「生活習慣が原因で起きる肝臓病には時計遺伝子が関わっている可能性がある」と話しています。

体内時計というのは、時差ボケなどの原因であまり良いものではないのかと思っていましたが、単に体内の睡眠に関連するだけではなく、こういった細胞分裂の基本的な部分にもかかわっているかなり重要な機能があるようです。