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ごっとさんのブログ

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インフルエンザワクチンの不足を招いた原因

2017-12-22 10:42:25 | 
今年はインフルエンザワクチンの製造量が減って各医療機関で不足気味となり、13歳以上の任意接種については原則1回接種とし、2回接種は控えてほしいということを厚生労働省も通知する事態となりました。

その原因としてワクチン製造の難しい面が出ていました。今年度のインフルエンザワクチンの製造量は、2528万本で昨年度の使用量2642万本を下回り、過去5年間で最も少なくなったようです。

私はこのブログでも書いているように、インフルエンザはワクチンの効果がほとんどないと考えていますが、年間でこれほど多数のワクチンが使用されているとは知りませんでした。

この少なくなった原因は、ワクチンの製造に使用する株が製造過程で変更になり、すでに製造に入っていた分が使えなくなったことが一つです。さらに最終的な株の決定もずれこんで、各メーカーの製造開始も遅れたためのようです。

なぜこんな状況になったかは、なかなか難しい問題があるようです。インフルエンザウイルスはA型とB型に大別され、日本ではA型2種類とB型2種類の4種類のウイルスに効くワクチン(4価ワクチン)が製造されています。

どのウイルスを選ぶかは毎年、国立感染所研修所の諮問機関である「インフルエンザワクチン株選定のための検討会議」が出した流行予測をもとに厚生労働省が決定しています。今年はA型株の一種の増殖効率があまりにも悪いことが6月に判明しました。そのため急遽別の株に切り替えることになりました。

なぜこんな株を選んでしまったのかも不思議な気がします。これには「ワクチンの製造に用いる鶏卵への馴化によって起こるワクチンウイルスの抗原変異」という問題があるようです。これは意味がよく分かりませんが、簡単に言うと、製造過程で卵馴化(卵内の環境に適応してしまうこと)が起きると、ウイルスの性質が変化し、出来上がったワクチンはターゲットとするウイルスに効かないものになってしまうという現象のようです。

今年の選定株はこの卵馴化が起こりにくい株ということで選ばれたのですが、増殖効率の悪さまでは予測できなかったようです。

しかし卵馴化による抗原変異の問題は、ワクチンを製造している世界中の国々に共通の課題となっており、日本では「細胞培養ワクチン」の研究が進んでおり、今後が期待されているようです。

ここで「流行予測の精度」のほうは増しているようですが、いくらA何とか型が当たったとしても、そのウイルスが変異した物であればワクチンの効果がないということになります。

この解説記事では予防接種を受けるべきということが強調されていますが、ワクチンを作ることが大変であれば一度止めてみて流行の度合いを見ても良いような気がします。