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ごっとさんのブログ

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寄生虫の卵飲んで皮膚や腸を治療

2017-12-23 10:31:17 | 健康・医療
東京慈恵会医科大学は、寄生虫の卵を飲ませて免疫状態に変化を起こす治療法の臨床試験を始めると発表しました。

まずは安全性を確認するようですが、寄生虫によって一時的に感染症を引き起こすことで免疫システムを調整し、皮膚の乾癬や潰瘍性大腸炎などの患者への効果が期待されるようです。

この寄生虫によってアレルギー反応を抑える(免疫システムを正常化する)という試みはかなり以前から提唱されていて(10年ぐらい前のような気もします)、東京医科歯科大のある教授は体内に回虫を飼い(名前も付けていました)、これによって花粉症を防ぐなど一切のアレルギー症状を抑えることに成功したと話題になりました。

やはり人間に寄生するいわば害虫的な回虫をあえて腸に入れるというのは、やや気持ちが悪い気もしますが、この方法によって花粉症を治した人もいるのかもしれません。

今回は豚鞭虫(ぶたべんちゅう)と呼ばれる線状の寄生虫の卵を健康な男性に飲んでもらう試験です。卵からかえった虫は腸に寄生し、約2週間後に便と共に排出されます。豚鞭虫は、ブタ、イノシシの結腸、盲腸、直腸に寄生する線虫の1種で、宿主に赤褐色の血便や水様性下痢など豚赤痢に似た症状を引き起こすとされています。

ヒトに寄生した場合は、症状は一般に軽く症状がないことも多いようです。この豚鞭虫については、近年自己免疫疾患および免疫システムに関連していると考えられる疾病に効果があるのではという説が出ていたようです。

これは疫学的な研究から現代の先進国における高度に衛生的な状況で駆除された寄生虫が免疫系のバランスをとるのに役立つというアイデアに基づく仮説のようです。アメリカではすでに豚鞭虫卵のヒトに対する安全性の検討が始まっています。

メカニズムとしては寄生虫が制御性T細胞を活性化させるなど色々分かってきているようです。免疫システムは、細菌やウイルスに反応するタイプと、寄生虫や花粉に反応するものがあり、一方が働くともう一方は抑えられバランスを取り合うとされています。

乾癬や炎症性の腸の病気の患者は、細菌に反応する免疫システムが過剰に働いているためであり、寄生虫に感染させることにより病気の症状を抑えようとするのが、この治療法の狙いとされています。

寄生虫学の専門家は、長い歴史から見れば寄生虫など自然のとの共存が本来の形であり、効果が示されればこの治療法も受け入れられるだろうと話しています。

若干の気持ち悪さはありますが、共生を用いた治療法というのは薬より良いのかもしれません。